Hardcore Heaven 1994
 South Philadelphia, PA - ECW Arena 1994-8-13
 (VHS-Tape)
 収録時間:約1時間54分
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『Rf-Video』ってちょっ
と怪しいプロレス・グッズの通販屋から1本12ドル(今回は定例の週末
セールに合わせてオーダーしたので送料が無料でした)で発売されて
いる代物(著作権を無視した海賊コピー・テープ)ですんや。で、その収
録内容はと言うと、まだECWが【Extreme Championship Wrestling】で
はなく、【Eastern Championship Wrestling】の略であった時代、1994
年8月13日にフィラデルフィアのECWアリーナにて開催された定期興
行『Hardcore Heaven 1994』の全容を納めたものなんですワ。

@Hack Meyers vs. Rockin' Rebel
  今宵の定期興行『Hardcore Heaven 1994 : ハードコア天国でウハ
 ウハ気分』、オープニング・マッチは“シャー!”ハック・マイヤーズと
 ロッキン・レベルの一騎討ちにてキック・オフ。お客も最初っからアク
 セルをキツく踏んでいるのやろね、マイヤーズが何か少しでも攻撃を
 行なう度に“シャー!、シャー!”と大騒ぎ(かつての全日本プロでも
 こんな光景がありましたな)。最後はレベルの仕掛けたバック・ドロッ
 プを巨体を利して崩し、そのままマイヤーズがレベルをフォールして、
 ジ・エンドとなっております。尚、ヒラヒラの付いたロング・タイツに、裾
 を伸ばした髪形で決めたレベルですが、やっぱりHBKを意識してい
 たんでしょうか。確かに遠目に見たらそれなりなんやけど、あのオッ
 サン顔ではちょっとねェ...(失礼)。
A"Ironman"Tommy Cairo vs. Chad Austin
  第2試合はカイロとチャドの激突。チャド、脇目も振らずヒール街道
 を邁進していると見え、これに応えんと思ったか、例の向こう正面最
 前列に鎮座される“麦わら親父”が立ち上がって罵倒を開始(苦笑)
 尚、試合はスープレックスとパワー殺法で一方的に押しまくるカイロ
 の一瞬の隙を突き、チャドがロープ悪用のフォールにてズル勝ちを
 収めております。
BECW World Television Championship :
 Mikey Whipwreck vs. Jason
  5月13日(多分)の定期興行においてピットブル1号からTV王座を
 引き継いだのがマイキー・ウィップレック。以降、911、ロッキン・レベ
 ル、チャド・オースチンを敵に回し、それらの全てを相手側の反則暴
 走を上手く引き出して下し(苦笑)、結果TV王座のベルトを防衛し続
 けて来ており、ここらがECWアリーナの常連客に受けたのか、場内
 はマイキーが姿を現した途端、“マイキー・チャント”一色(実況のジョ
 ーイまでがチャントをしとるもんなァ)。で、今宵は“地球一セクシーな
 両刀使い”ジェイソンを迎えての防衛戦や。試合はマイキーの青臭い
 ファイトと、全身に塗りたくったオイル同様にベトベトのジェイソンのフ
 ァイトが交錯する展開で、マイキーによる死んだ振りからの電光石火
 の丸め込みなども決定打とはならず。そうこうする内に余りに不幸な
 パイプ椅子のレフェリー誤爆が発生(苦笑)。と、ここを勝機と睨んだ
 のか、ジェイソンがピットブルの1号と2号を試合に介入させ...。
C"Superfly"Jimmy Snuka & The Tazmaniac
 vs. The Pitbulls (w/Jason)
  上記したようにジェイソンのTV王座奪取のため暗躍したピットブル
 の1号と2号。リングの上で雇い主であるジェイソンを肩車し大威張り
 ですが、ここに現れ出たのは“スーパーフライ”ジミー・スヌーカと、ま
 だ原人ギミックを遵守しているタズマニアック(現タズ)。“スーパーフ
 ライ”と“タズ・プレックス”の豪華な共演よって、僅か1分弱にてピット
 ブルどもをブチのめしてしまいましたワ。
DMr. Hughes (w/"The Franchise"Shane Douglas & Angel)
 vs. 911 (w/Paul E.Dangerously)
  ヒューズと911。共に図体がデカいだけで、他に何の取り得もない
 両人(失礼)のシングル戦ですワ。あぁ、これでは試合を観る時間さ
 え勿体無いか、なんてワシも最初は思っていたのですが.....。
 僅か数分程度の試合やけど、パンチとロー・ブローとチョーク・スラム
 だけで演じきったヒューズと911、素敵!。911の怒りを買い、とばっ
 ちりなど御免とエンジェル嬢を盾に、すたこらさっさと逃げ出す世界王
 者のダクラスさん、素敵!!。911のチョーク・スラムを2発も喰らっ
 たエンジェル嬢、素敵!!!。リング上で伸びるエンジェル嬢の顔に
 唾を吐き掛けて罵るポール・E、めちゃくちゃ素敵!!!!
EThe Sandman (w/Woman) vs. Tommy Dreamer
  コーナー・ポストに仁王立ちとなって、対戦相手であるドリーマーの
 登場を今か今かと待ち続けるサンドマン。と、本来使用する花道とは
 反対側の花道から竹刀を振りかざしてドリーマーが忍び寄り、卑劣
 にもサンドマンを背後から急襲。しかもドリーマー、サンドマンのマネ
 であるウーマン女史(←当時はケヴィン・サリバンの嫁で、その後に
 クリス・ベノワの嫁となった)の唇を無理やり奪い、レフェリーやリング
 ・アナまでを手に掛ける超大暴走や!。当然この無法に、即刻ドリー
 マーには反則負けの裁定が下るんですが、それでもドリーマーによ
 るサンドマンへの暴行は一向に収まる気配もなく...。あ、ドリーマ
 ーにボコられリング上に伸びたサンドマンやけど、ウーマン女史が火
 のついたタバコをくわえさせると、サンドマンはみるみるムックリと起
 き出して...(苦笑)。
 【追記】
  こうして火が点いた両者の抗争ですが、翌週(?、いくら探しても8
 月20日に興行があったとの記録は見当たらんのですワ)の定期興
 行での一騎討ちでは敗者がムチ打ちの刑に処される『シンガポール
 ・ケイン・マッチ』を導入。最後はドリーマーが敗退し、サンドマンから
 竹刀による非情の鞭打ち刑を受ける事に。またその後日談として、ド
 リーマーがサンドマンの目にタバコの火を押し当てて、サンドマンが
 失明するってネタも強行(こちらは10月1日の定期興行のはずや)。
 控え室に居たレスラー達も巻き込み、サンドマン自身もこのネタに信
 憑性を持たすため1ヶ月間外出を控え、陰謀と策略が渦巻く(苦笑)
 11月5日の定期興行『November To Remember 1994』へと雪崩れ
 込にで行くんですワ...。
FECW World Tag Team Championship :
 The Public Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock)
 vs. The Bad Breed (Axl Rotten & Ian Rotten)
  “公衆の敵”パブリック・エネミーと“劣勢遺伝種”バッド・ブリードに
 よるタッグ王座戦。ともに暴れ出したら手が付けられない無法者コン
 ビの激突とあって、リング・ベルが鳴る前からリングの周辺は戒厳令
 が敷かれておりますが、それでもせっかくの戒厳令を無視して向こう
 正面最前列に鎮座される“麦わら親父”が、パブリック・エネミーの片
 割れであるロッコー・ロックを罵ったものやから、ロッコー・ロックが瞬
 時にブチ切れ。“麦わら親父”からトレード・マークである麦わら帽子
 を奪い取り暴行をはたらきました(ウーン、試合を盛り上げんと、演
 者も観客も懸命やね)。さてさて本試合なんですが、相手側から10
 カウントを奪ったら(そこで本来なら試合は決着なんやけど...)公
 認凶器のバットが使えるってもので、早々にロッコー・ロックが10カ
 ウントを奪われ“劣勢遺伝種”にバットが渡たり、ここから第2幕(っ
 て言うか、本編)が華々しく開演。鉄拳とパイプ椅子とバットが飛び
 交い、戦場は何時しかリング周辺からカメラ等の機材席へ移行や。
 結果、最後は連係プレーで一日の長があった“公衆の敵”が“劣勢
 遺伝種”を下してタッグ王座を防衛しておりますが、こんな大荒れの
 試合、現地でライヴで体験出来たなら、さぞや楽しかったでしょうな。
GSabu (w/Paul E.Dangerously & 911)
 vs. 2 Cold Scorpio
  蝶の様に舞い蜂のように刺すスコーピオと、気まぐれ猫の様に次の
 一手が読めないサブゥの一騎討ち。サブゥを応援せんと、向こう正面
 には『サブゥはハードコア天国の門番』なんてサイン・ボードも揚がり、
 序盤スコの繰り出したパイル(サブゥの首がしっかりとホールドされて
 おらず、思わず観ているこちらが肝を冷やした)を受けたものの、リス
 クの高い捨て身のムーヴ連発でサブゥも反撃開始。ま、共に“持ちネ
 タ”は全て出し切らないと気がすまないタイプの選手とあって、正直な
 ところスゥイングした試合内容であったとは言えんけど、それでも“ハ
 ードコア天国”って興行名には相応しい一戦でしたデ。あ、ラストはや
 けに呆気なくサブゥがスコをフォールしてジ・エンドとなっております。 
H"Living Legend"Terry Funk vs. Cactus Jack
  今日、ECWって団体を振り返るにあたって、正に枕詞のごとく使用
 される映像ってのが、テリー御大とカクタスとが一騎討ちしているリン
 グにお客達が無数のパイプ椅子を投げ込む場面。多分皆様も一度は
 ご覧になられたと思いますが、あのシーンこそは本試合の一番のハ
 イライトですんや。あ、“前戯”の説明もなく、いきなり“フィニッシュ”と
 なってしまい(苦笑)申し訳ございません。肝心の試合展開なんやけ
 ど、両者が場外にてラフに絡み、続いてカクタスが十八番のハングマ
 ンズ・ツリー(トップ・ロープとセカンド・ロープの間に頭を突っ込んで前
 転し、まるで絞首刑となった罪人の如く無様に宙ぶらりとなって見せ
 る、所謂“自爆スポット”)をバッチリと決め、演者側も観客側もジワジ
 ワと熱を帯び始め、そろそろ試合も序盤の山場かと思われた時点で、
 なんとFにて“劣勢遺伝種”バッド・ブリードを下したばかりの“公衆
 の敵”パブリック・エネミーが無法介入を決行!。テリー御大を袋叩き
 としてカクタスにフォールしろと指示を出すのですが、何故かカクタス
 はこれを拒否。で、そうこうする内にテリー御大が蘇生し、試合はテリ
 ー御大&カクタス対パブリック・エネミーの形へと発展。折角の一戦
 を潰された恨みとばかり、テリー御大とカクタスはパブリック・エネミー
 をブッ倒し、これだけではお前等(←観客)も納得行かんやろと客席
 を焚き付けパイプ椅子の投入を煽動。勿論これにはお客にも異論は
 なく、パブリック・エネミーは7月16日の定期興行『Heatwave 1994』
 に引き続いてパイプ椅子の下敷きとなってしまいました...。
 【追記】
  この夜の定期興行が行なわれたのは8月13日。で、この2週間後
 である8月27日にはデニス・コラルッツォ氏らとのジョイント興行で
 WAのベルトを巡ってワン・ナイト・トーナメントが行なわれ、そこでシ
 ェイン・ダグラスによる“NWA世界王座のベルトのポイ捨て事件”
 勃発。これを契機にECWはNWA傘下から離脱し、団体名を【Easte
 rn Championship Wrestling】から【Extreme Championship Wrestling】
 に変更、改めてアメ・プロ業界に単身勇躍乗り込んで行くんですな。
 なので、もし8月13日以降、ドサを回っていないのなら、多分この夜
 の定期興行『Hardcore Heaven 1994』こそが、【Eastern Champions
 hip Wrestling】の最終興行。そう思ってメインのドタバタを観ると、なに
 やら舞台裏が透けて見える様にも感じられて...。


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