ECW Year in Review 1994 Vol. 3
 (DVD-R) 
 収録時間:約1時間5分
 ECW存命時に地方でのドサ巡業を含め、その興行の大半をビデオ
収録したと伝えられる、米国のプロレス・グッズ屋『Rf-Video』をご存知
か。その『Rf-Video』が2005年初頭より過去の貴重映像を順次DVD
−R化し、怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃し
ているんや。さてさて今回皆様にご紹介するのは、1994年のECWマ
ット上における名場面や各種アングルの起承転結を手堅く纏めた『Ye
ar in Review』シリーズの中の1タイトル(1994年の下期分)。あ、19
94年の下期って言うと、ECWが【Eastern Championship Wrestling】か
ら【Extreme Championship Wrestling】へと劇的に進化を遂げた、団体
にとっては非常に重要な時期。では、本DVD−RをテキストにECWの
進化の過程を振り返ってみましょ。

【注意】最近は一部で姑息にもデジタル・リマスタリングなる売り文句を
使う『Rf-Video』ですが、無論彼等にはそんな高額な編集機材を買う銭
も、コツコツと過去の映像をリマスタリングするような手間隙も絶対にお
まへん。ま、元ネタとなっているのが当時の市販ビデオやTV放送なの
で、そこそこ映像自体は綺麗。それでも過剰な期待はなされず、あくま
でも海賊商品だと割り切ってご購入される事をお勧めいたしますワ。

@No Roped Barbed Wire Match :
 Public Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock)
 vs. Dory Funk Jr & Terry Funk
 "Heatwave 1994"
 1994-07-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
  6月24日の定期興行『Hostile City Showdown 1994』での激突が無
 効試合となり、いよいよ遺恨の深まって来たパブリック・エネミーとドリ
 ー&テリーの『荒馬兄弟』。ならばと今宵組まれたのが、実況のジョー
 イ・スタイルス氏が解説するところの、『FMWスタイルの有刺鉄線マッ
 チ』や!。けど、こうして米国マット界でこんな語句が普通に使われて
 いたと知り、改めてあの頃って日本国と米国との間で、健全なキャッチ
 ・ボールが行われていたんやな、なんて感慨に浸ってしまいましたな。
 さて試合ですが、両軍ともTシャツ&長袖シャツの重ね着、Gパン等厚
 手のスボン(勿論こちらも重ね穿き)の着用、手袋やバンテージなどで
 手を保護と、完全防護での参戦。口汚い日本国のデス・マッチ・マニア
 (←誰の事?)なら野次のひとつも飛ばすところでしょうが、それでも
 リーのスープレックスとテリーのパイル・ドライバーの同時共演など、マ
 ニア連中の琴線をいちいち刺激する場面が多数あり、テリーに煽られ
 たお客達がパイプ椅子をガンガンとリングに投げ込むなんてカオス状
 態を経て、最後はゴミ箱を抱かされたままテリーが有刺鉄線でグルグ
 ル巻きにされて(←テリーのチャームが大爆発する最大の見せ場でっ
 せ!)、ジョニー・グランジ&ロッコー・ロックに2人掛かりで無理やりフ
 ォールを奪われて...。いやはやここまでやってくれるなら、もうお腹
 は一杯。勝敗なんて、ましてや試合に臨む井出達なんて問題外で満
 腹満腹大満足。しかし一度芸人魂に火が点いたテリー御大、こんなも
 のでは許してくれまへんデ。ドリーと手を取り怒りの大逆襲でジョニー・
 グランジ&ロッコー・ロックを完全KOに追い込み、2度と立ち上がれぬ
 ように土葬ならぬパイプ椅子葬にしてしまえと、またまたお客を煽動し
 てパイプ椅子をリングの中へ投げ込ませ...。哀れ、ジョニー・グラン
 ジ&ロッコー・ロックはテンコ盛りのパイプ椅子の下敷きとなって、静か
 に静かに息絶えてしまいました。
ATerry Funk vs. Cactus Jack
 "Hardcore Heaven 1994"
 1994-08-13 South Philadelphia, PA - ECW Arena
  今日、ECWって団体を振り返るにあたって、正に枕詞のごとく使用
 される映像ってのが、テリー御大とカクタスとが一騎討ちしているリン
 グにお客達が無数のパイプ椅子を投げ込む場面。多分皆様も一度は
 ご覧になられたと思いますが、あのシーンこそは本試合の一番のハ
 イライトですんや。あ、“前戯”の説明もなく、いきなり“フィニッシュ”と
 なってしまい(苦笑)申し訳ございません。肝心の試合展開なんやけ
 ど、両者が場外にてラフに絡み、続いてカクタスが十八番のハングマ
 ンズ・ツリー(トップ・ロープとセカンド・ロープの間に頭を突っ込んで前
 転し、まるで絞首刑となった罪人の如く無様に宙ぶらりとなって見せ
 る、所謂“自爆スポット”)をバッチリと決め、演者側も観客側もジワジ
 ワと熱を帯び始め、そろそろ試合も序盤の山場かと思われた時点で、
 何と先の試合にて“劣勢遺伝種”バッド・ブリードを下したばかりの“公
 衆の敵”パブリック・エネミーが無法介入を決行。テリー御大を袋叩き
 としてカクタスにフォールしろと指示を出すのですが、何故かカクタス
 はこれを拒否。で、そうこうする内にテリー御大が蘇生し、試合はテリ
 ー御大&カクタス対パブリック・エネミーの形へと発展。折角の一戦
 を潰された恨みとばかり、テリー御大とカクタスはパブリック・エネミー
 をブッ倒し、これだけではお前等(←観客)も納得行かんやろと客席
 を焚き付けパイプ椅子の投入を煽動。勿論これにはお客にも異論は
 なく、パブリック・エネミーは7月16日の定期興行『Heatwave 1994』
 に引き続いてパイプ椅子の下敷きとなってしまいました...。
 【注意】このDVD−Rでは試合自体はパラパラ漫画風に静止画が幾
 つも流れるダイジェスト版。パイプ椅子の投げ込みだけが動画で収録
 されております。
BDoink (Matt Borne/Borne Again)
 vs. 911 (w/Paul E.Dangerously)
 "NWA World Heavyweight Title Tournament"
 1994-08-27 South Philadelphia, PA - ECW Arena
CTazmaniac vs. Shane Douglas
 "NWA World Heavyweight Title Tournament"
 1994-08-27 South Philadelphia, PA - ECW Arena
D2 Cold Scorpio vs. Shane Douglas
 "NWA World Heavyweight Title Tournament"
 1994-08-27 South Philadelphia, PA - ECW Arena
Eダグラス、一世一代の大演説!
F高らかに“エクストリーム”宣言!
Gそれなら、ワシらも一丁...
  上記した様に、ECWがNWA傘下のローカル団体【Eastern Champi
 onship Wrestling】から独立独歩の【Extreme Championship Wrestling】
 へと名実ともに進化する契機となったのが、1994年8月27日にEC
 Wアリーナにおいて開催された『NWA王座争奪トーナメント』。B〜G
 はそのトーナメントよりピックアップされた試合と名場面ですワ。あ、と
 てもやないけどこのスペースでは詳細をお伝え出来ませんので、詳し
 くはこちらをご参照下さいな
HECW World Tag Team Championship :
 Public Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock)
 vs. Cactus Jack & Mikey Whipwreck
 "NWA World Heavyweight Title Tournament"
 1994-08-27 South Philadelphia, PA - ECW Arena
  『NWA王座争奪トーナメント』が行われた夜、パブリック・エネミーは
 カクタス&マイキーの凸凹コンビとのタイトル戦を行っています。尚、当
 初カクタスのパートナーはトミー・ドリーマーであったようなんですが、ド
 リーマーはパブリック・エネミーの襲撃を喰らって轟沈。パートナーを失
 って困り果てたカクタスが、控え室から嫌がるマイキーを無理やり引っ
 張り出して来たって寸法なんですワ。さてさてパブリック・エネミーとカク
 タスの間にはそれなりの遺恨もあり、これは荒れた試合になるやろと
 思ったら、「やっぱりこんな怖い試合には出たくない!」といきなりマイ
 キーが試合からエスケープするなんて情けない場面を演出(苦笑)。そ
 れでもカクタスのヘルプやロッコーの珠玉の自爆芸の甲斐もあり、最
 後はマイキーがロッコーを逆さ押さえ込みにてフォール!。あれあれ、
 5ヶ月に渡って防衛し続けて来たタッグ王座が、スルリとパブリック・エ
 ネミーの手から零れ落ちてしまいましたデ
IHandicap Match :
 Dean Malenko (w/Jason) vs. Dino Sendoff & Don E. Allen
 1994-10-01 South Philadelphia, PA - ECW Arena 
  8月27日の『NWA王座争奪トーナメント』にてECWと接点を持った
 のが縁やったのやろか、9月23日のフロリダ巡業(←多分、当人はこ
 こに住んでいるんやろね)にも顔を出していたらしいディーン・マレンコ
 が、【Extreme Championship Wrestling】と新たに屋号を変えたばかり
 のECWの本丸、ECWアリーナでの定期興行に出演。試合はハンディ
 戦でして、マレンコが所謂“ジョバー”2人を叩き潰したところにタズマニ
 アックが乱入!。得意のスープレックスでマレンコを投げまくり、これで
 新たな抗争関係が成立したみたいでっせ。
JI Quit Match :
 Tommy Dreamer vs. Sandman (w/Woman)
 1994-10-01 South Philadelphia, PA - ECW Arena
  戦っても戦っても遺恨が深まるばかりのドリーマーとサンドマン。10
 月1日のECWアリーナでの定期興行では、“参ったと言ったら負けよ”
 戦にて激突。試合はタバコを吸いながら、ダラダラとしたパイル・ドライ
 バーを繰り出すサンドマンに、正統派のドリーマーは苦戦する一方や。
 で、苦し紛れにサンドマンの吸っているタバコを手で払い除けたところ、
 運悪くそのタバコがサンドマンの目を直撃して...
 【追記】アクシデント気味ではあったけど、対戦相手の目をタバコの火
 で焼いてしまったドリーマー。非常に心配そうにサンドマンの様子を見
 やるものの、この惨劇を目の当たりにしてウーマン女史は錯乱するし、
 バック・ステージでも同僚達から非難が集中し...。正統派ドリーマー
 がこれで一気にヒールとなってしまったみたいですな。
KSabu (w/Paul E.Dangerously & 911) vs. Cactus Jack
 1994-9-30, Fieldhouse, Hamburg, PA
  6月24日開催の定期興行『Hostile City Showdown 1994』より約3ヶ
 月の時間をはさんで、十分に熟成させたサブゥとカクタスとの再戦。細
 かな試合展開にはあえて触れませんが、フィニッシュとなったサブゥの
 アラビアン・プレスの“呼び水”であるサブゥによるカクタスの頭部への
 ビール瓶攻撃(計5発!)はとことん凄惨。特撮用に作られたビール瓶
 ではないので、何度サブゥがカクタスの頭部へ振り下ろしても、ビール
 瓶は一向に割れません...。それにしてもその時に発せられる鈍い
 音と言ったら、こちらの背筋が凍り付きそうでしたワ。
LChris Benoit vs. Tazmaniac
 1994-9-30, Fieldhouse, Hamburg, PA
  8月27日と8月28日の連日興行にも顔を出していたクリス・ベノワ
 さてさてその連日興行が、NWA傘下のローカル団体【Eastern Champ
 ionship Wrestling】の仕切りであったとすると、今宵の興行こそがベノワ
 の【Extreme Championship Wrestling】でのデビュー戦のはず(間違っ
 ていたらゴメンね)。記録によるとレイ・オデッセイなる選手を前座で下
 したベノワ、ECWでは最も手の合いそうなタズマニアック(こちらは前
 座でスティーヴィ・リチャーズを下した模様)を相手に熱戦を展開。ただ
 この試合だけで両者に雌雄を付けるのは勿体無いですやんか。って
 事で、タズマニアックが雪崩式の北斗原爆にてベノワをフォールに入
 った瞬間、時間切れのリング・ベルが無情にも鳴って...。
Mサンドマン、涙々の引退宣言! 
  多分11月5日にECWアリーナにて開催された定期興行『Novembe
 r to Remember 1994』からの一コマ。Jにて目を負傷したサンドマン、
 どうやら経過が悪い様子で、顔面に大きな絆創膏を貼り、大きなサン
 グラスを掛けてリング・イン。「失明してしもたので、これを契機にワシ
 は業界から引退しまっさ...」と衝撃の宣言。と、ここに現れたのは、
 ピーチズ嬢(後の、当時も?、サンドマンの実の奥さん)。いくらアクシ
 デンであっても、サンドマンの目を負傷させた張本人トミー・ドリーマー
 のマネージャとしては、サンドマンが不憫に思えてしもたのでしょうな。
 でも抗争相手のマネージャに主人を心配されては、サンドマンのマネ
 ージャであるウーマン女史としては面白くはおまへん。いきなりピーチ
 ズ嬢に竹刀を浴びせ、ピーチズ嬢をKO。すると今度はピーチズ嬢を
 案じてドリーマーまでがリング・イン。しかしここまでのいっさいがっさい
 は全てサンドマン側の仕組んだ狡猾な罠。ウーマン女史に詰め寄るド
 リーマーの背後では、サンドマンが顔面から絆創膏を剥がし、守護神
 である竹刀を大上段に振り被り、音もなくドリーマーに近寄って...
Nポール・E、大いに語る!
  11月5日にECWアリーナにて開催された定期興行『November to R
 emember 1994』での出来事を振り返るポール・E。サブゥの無法介入
 を喰らったものの、パブリック・エネミーがカクタス&マイキーからタッグ
 王座を奪い返した事、サブゥがクリス・ベノワとの一騎討ちにて首に深
 刻なダメージを負った事などを述べ、それでもサブゥは今週末の土曜
 日(11月19日)のECWアリーナでの定期興行において、タズマニアッ
 クをパートナーにマレンコ兄弟との対戦を行うとアナウンス!。  
OSabu (w/Paul E.Dangerously & 911) & Tazmaniac
 vs. Malenko Brothers (Joe Malenko & Dean Malenko)
 1994-11-19 South Philadelphia, PA - ECW Arena
  Nでポール・Eが熱心に煽っていた試合。「世界に名立たるマレンコ
 兄弟です!」と実況のジョーイ・スタイルス氏も興奮気味に戦況を伝え
 ておりますが、やはりサブゥの首の具合は余り良くないのか、サブゥは
 十八番である場外ダイヴの自爆や、タズマニアックの合体技(今となっ
 ては貴重でっせ)なども繰り出すものの、試合はワシの想像以上に短
 時間で、タズマニアックがディーンを垂直落下式のタズプレックスにて
 フォールして幕に。ウーン、これは折角の好カードやったので、出来れ
 ば全選手が体調万全の時にじっくりと試合をやって欲しかったなァ。
 【追記】試合決着後にはパブリック・エネミーがお出まし。首にトラブル
 を抱えるサブゥに対して非情の合体のパイル・ドライバーを見舞い、そ
 のサブゥを心配して咄嗟にリングに上がったポール・Eまでをも撃沈。
 これが12月17日にECWアリーナで開催される94年最後の定期興
 行『Holiday Hell 1994』での、パブリック・エネミー対サブゥ&タズマニア
 ックの直接対決へと繋がって行くんですワ...。


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