Born To Be Wired
 South Philadelphia, PA - ECW Arena 1997-8-9
 (VHS-Tape)
 収録時間:約2時間33分
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『Rf-Video』って少
々怪しいプロレス・グッズの通販屋が1本10ドル(在庫処分なのか、
2008年3月期より20ドルから10ドルに大幅値下げされた)で発売
している、ECWによる1997年8月9日開催のフィラデルフィアはE
CWアリーナでの定期興行『Born To Be Wired』(←ステッペン・ウル
フの名曲『Born To Be Wild』のパロディ)の全容が納められた代物
ですんや。さてさてこのテープ、『Rf-Video』の商品紹介によると当
時興行会場にて販売されていた“オリジナル”だそうでして、それが
証拠にテープは白箱に収められ、あのトミー・ドリーマーのサインま
でが入っているって逸品。なるほど映像は無法ダヴィング・テープに
比べると少々マシに感じられるし、それではサインを書いたのがドリ
ーマー本人であると信じ、そろそろレビューでもしたためてみましょ
か...。

@Little Guido (w/Tracey Smothers & Tommy Rich)
 vs. Pablo Marquez
  『純血イタリア人軍』のグイドーと、マルケス(元“ザ・プエルトリコ
 人”エル・プエルト・リケーニョ)による一騎討ちが今宵のオープニン
 グ・カード。先手必勝とウラ・カンやトペで攻め込むマルケスでした
 が、『純血イタリア人軍』の参謀スマザーズと象徴天皇リッチ(一応
 元NWA王者)がセコな介入を行い、グイドーがちゃっかりと勝ち星
 をゲット。しかしフイニッシュ・シーン、マルケスの足がサード・ロー
 プに掛かっておりましたデ...。
ALouie Spicolli vs. Mikey Whipwreck
  名曲『ルイ・ルイ』で入場して来たスピコーリ、プランチャをしくじっ
 て肩口から場外へ落下した(見ていて、ヒヤッとしたな)マイキーを
 リングに引き戻し、マイキーのハリケーン・ラナによるフィニッシュ
 に献身的に貢献してやっての敗退。最後まで職務を放棄しなかっ
 たマイキーと、愚直なまでに職務に忠実であったスピコーリ...。
 どちらも感心感心。
BBam Bam Bigelow vs. Spike Dudley
  8月17日放送のPPV『Hardcore Heaven 1997』でも組まれる事
 となる一戦。巨漢のビガロが小柄なスパイクを一方的に攻め続け、
 最後はスパイクが繰り出した一瞬の丸め込みにて敗退。来るべき
 PPV『Hardcore Heaven 1997』へのPRをキッチリと勤め上げまし
 たデ。あ、ビガロによるスパイクの客席への“投棄”ですが、今宵は
 客席を煽るだけ煽って実行せず。観たかったらPPVを契約してね
 ってところなんでしょうな。ウーン、この商売上手!。
CChris Candido vs. Chris Chetti
  ビガロに続いて現れたのは、ビガロ同様ダグラス師匠の組織す
 る極悪ユニットの“トリプル・スレット”に属するキャンディード。「"Ho
 use of Hardcore"(←ECWによる選手育成機関)で鍛えられた弱
 冠25歳の若者です」と解説のジョーイ・スタイスルに紹介されたク
 リス・チェッティ相手に、特にキャリーしてやるでもなく、ただただダ
 ラダラとメリハリのないロング・マッチを披露(ま、これこそキャンデ
 ィードの“味”なんやろけど)。あ、このキャンディードですが8月17
 日放送のPPV『Hardcore Heaven 1997』でタズ("House of Hardc
 ore"の師範代、言わばチェッティの教官ですな)の保持するTV王
 座への挑戦が決まっており、客席からは試合中ずっと“タズを出せ
 や”チャントが掛かっていた事も記しておきます。
○3WAYダンスでやろか!
  ビガロ、キャンディードに続いてリング上に姿を現したのは、“トリ
 プル・スレット”の大看板である“フランチャイズ”・シェーン・ダグラス
 師匠。どうやら8月17日放送のPPV『Hardcore Heaven 1997』で
 は今宵のメインで行われる有刺鉄線戦の勝者(テリー御大又はサ
 ブゥ)との世界タイトル戦が組まれているみたいなのですが、それ
 よりも折角やから、94年2月5日の定期興行『The Night The Line
 Was Crossed : 一線を越えた夜』を思い出し、当日は3人で3WAY
 ダンスをやってみようやないか、と衝撃の提言!。おォ、あの伝説
 の3WAYダンスのリ・マッチでっか!!。
DShane Douglas (w/Francine) vs. Lance Storm
  自信満々で伝説の3WAYダンスのリ・マッチ宣言を行ったダグラ
 ス師匠。ランス・ストームを相手にして、控え室に居るはずのサブゥ
 を挑発するようにキャメル・クラッチなどを盛り込み、適当にストーム
 の見せ場を作ってやりつつ、最後は十八番のベリー・トゥ・ベリー・
 スープレックスで締め。今宵有刺鉄線戦で激突するテリー御大とサ
 ブゥは、どちらが勝つにしても尋常ではないダメージを負うはずで、
 いよいよダグラス師匠の狙い通りに物事が進んでいるみたいです。
EECW World Television Championship :
 Taz vs. Al Snow
  前述した様に、8月17日放送のPPV『Hardcore Heaven 1997』
 ではキャンディードの挑戦を受ける事となっていたタズ。しかし今宵
 こうして強敵アル・スノーとのタイトル戦が組まれているのやから、
 この試合の勝者とキャンディードが『Hardcore Heaven 1997』で戦
 うってのが本来の姿に思えるのやけど...。まァ、些細な事をボヤ
 いても仕方ないか。試合はタズのシュート・ギミック・スタイルとアル
 のマーシャル・アーツ・ギミック・スタイルの激突となり、タズが必殺
 のタズ・ミッションにてアルをチョーク・アウトしとりまっせ。
FBuh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley & Big Dick Dudley
 (w/Sign Guy Dudley & Joel Gertner)
 vs. Axl Rotten & Balls Mahoney & Hack Meyers
  この試合、当初はババ&D−ボン対アクセル&マホーニーのタッ
 グ戦やったのですが、リング・ベル早々“巨根”ダッドリーがあれこ
 れと手出しするものやから、アクセル&マホーニーがそれならこち
 らもと、控え室より“シャー!”ハック・マイヤースを連れ出して、正
 式に6人タッグ戦へと見直されたって次第。で、肝心の試合内容
 ですが、久々のECWマット復帰に客席も“シャー!”、“シャー!”
 とマイヤースを応援するものの、そのマイヤースにダッドリーズの
 フィニッシュ・ムーヴである3Dがズバリと決まってしまって...。
GTommy Dreamer (w/Beulah)
 vs. Rob Van Dam (w/Bill Alfonso)
  さてさて当時のECWの一番のネタと言ったら、6月6日に開催さ
 れた定期興行『Wrestlepalooza 1997』にて勃発した、ジェリー・“キ
 ングさん”・ローラー率いるUSWAとの熾烈な団体抗争。これの詳
 細は『Rf-Video』が編集した『ECW vs. USWA : Civil War of the 90
 s』(既にレビュー済)に詳しいのですが、8月17日放送のPPV『H
 ardcore Heaven 1997』ではドリーマーと“キングさん”との大将同
 士の一騎討ちがアナウンスされておりまして、今宵は言わばその
 前哨戦。サブゥと共にECW内に“WWF派閥”を立ち上げ、“キン
 グさん”率いるUSWAと歩調を合わすRVDを、男一匹ドリーマー
 が成敗するって図式(モロにPPVの煽りやね)ですワ。あ、試合の
 方ですが、ドリーマーがRVDの十八番であるヴァン・ダミネーター
 やフロッグ・スプラッシュを無断借用して攻め入るものの、サブゥの
 介入によってドリーマーが惜敗。来るPPV『Hardcore Heaven 199
 7』での“キングさん”との一騎討ちに赤信号が...。
○PPVのプロモは続く...
  サブゥ&RVDによる“WWF派閥”にいいように蹂躙されるドリー
 マー。と、ここでいきなりリングに乱入して来たのは、ダグラス師匠
 &ビガロ&キャンディードによる極悪ユニットの“トリプル・スレット”。
 なんとドリーマーを助けるどころか、サブゥ&RVDを押し退け、ドリ
 ーマーに殴る蹴るの暴行や。ウーン、ドリーマー率いる正規軍とU
 SWA軍+“WWF派閥”の対立図式に、“トリプル・スレット”の存
 在が霞んではアカンとの思いが、この凶行の根底にあるのでしょう
 なァ...(勿論、PPVのプロモが大前提やけどね)。
○まだまだPPVのプロモは続く...
  “WWF派閥”と“トリプル・スレット”がさんざん暴れた後は、ダッ
 ドリーズのお出まし。で、ここにFでダッドリーズに煮え湯を飲まさ
 れたアクセル&マホーニーやイリミネーターズ(サタンは足を負傷
 中みたい)、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』をガンガン鳴らしてニ
 ュー・ジャック親分(相方のムスタファの離脱により、保持していた
 タッグ王座を手放したばかり)が現れてダッドリーズを追撃。ドリー
 マーと“キングさん”による一大決戦を前に、ECW正規軍の底力
 を誇示しております(もっと早く出て来てドリーマーを助けてやれよ、
 なんて言うのは野暮でっせ)。
 【報告】サタンの左足の負傷についてですが、5月31日にニュー・
 ジャージー州はトレントンにて開催された定期興行(PG13及びダ
 ッドリーズとのタッグ式の3WAYダンス)で発生したアクシデントみ
 たいです。
HBarbed Wire Match :
 ECW World Heavyweight Championship :
 Sabu (w/Bill Alfonso) vs. Terry Funk
  4月13日に放送されたECW初のPPV『Barely Legal』において
 世界王座に就いたテリー御大。で、今宵はその世界王座を懸け、
 サブゥを相手の有刺鉄線戦となりました。また、前述したように本
 試合の結果に関係なく、8月17日放送のPPV『Hardcore Heaven
 1997』ではダグラスの発案によって伝説の3WAYダンスのリ・マッ
 チも決定しています。ただ、そんな事よりなにより、本試合の凄惨
 さにはただただ絶句。ホンマに両者とも体を張っております。まだ
 まだ世間にはプロレスなんてインチキの出来レースやなんて、己の
 頭の悪さ加減も認知せずに声高に話すアホが居てますが、そんな
 奴らにこそ観せてやるべき代物。途中、アクシデントにより有刺鉄
 線で腕をザックリとやったサブゥ(この試合において世界王座を獲
 得する事に)が、試合をこなしながら自らテーピングを施す場面
 んてたまりまへんデ...。
 【追記】本試合の映像は米版DVD『Deep Inpact』(現在、絶賛廃
 盤中)にも収録されておりますが、こちらのVHSテープ版には
 選手の入場シーンも収録されており、特にイーグルスの珠玉のバ
 ラード『ならず者』でテリー御大が姿を現すところは要チェック!。


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