|
Classic Memphis Wrestling
Strangest Matches & Wildest Brawls
(DVD)
収録時間:約3時間9分 |
プロレスって芸を語る際、“ギミック”なる言葉は避けては通れません。
ぶっちゃけ、ワシの大嫌いな“ストロング・スタイル”ってのも、その実態
は“真剣勝負”って名の“ギミック”。そう、単なる“強そうな素振り”です。
で、今回皆様にご紹介いたしますのは、テネシー州メンフィス一帯(あの
ジェリー・“キングさん”・ローラーが長く統治しております)で過去に行わ
れた各種のギミック・マッチを手際良く編集した逸品。ではでは、音楽フ
ァンには憧れのロックン・ロール・シティであるメンフィスのリングにて繰
り広げられた、ちょっと変わった試合の数々をチェックしてみましょ。
【追記】ワシはこのDVD(DVD−Rではなく、キチンとプレスされたDVD
でした)を『RF-Video』から購入したのですが、チープなジャケット裏には
『RF-Video』のロゴがあるものの、DVD本体には『HIGHSPOTS』が編集
したとの表記があるし、確かに実際に本DVDを再生してみると冒頭のタ
イトルに『HIGHSPOTS』のロゴが入るって摩訶不思議な代物。映像に対
ロイヤリティを含め、毎度毎度の事ながら裏業界の相関図はワシらには
解読不能ですな。
@Tupelo Concession Stand Brawl :
Blonde Bombers vs. Jerry Lawler & Bill Dundee
どうやら、相棒ダンディがフォールされた事でタッグ王座から滑り落
ちたと思われる“キング”さんが大暴れ。戦いの場所は、リングから何
時しか売店へと移って...。ちなみに、“Tupelo”とはミシシッピ州に
ある町の名前みたいです。
AJudges Match :
Terry Sawyer vs. Lou Thesz
TVスタジオ内に設置されたと思われるリング上でソイヤーと戦って
いるのは、“神様”ルー・テーズ。試合はクラシカルな内容で、10分が
すぐに経過(DVDでは一部カット)し、とりあえず規定時間内では決着
が付かず。で、勝負の行方は3人の審判員の裁定に預けられる事に。
そして注目の裁定ですがトミー・ギルバート(エディ&ダグの親父さん)
とビル・ダンディがテーズに、ロバート・ギブソン(R&R超特急の片割
れ)がソイヤーにそれぞれ軍配を上げて...。
BThe Fabulous Ones vs. The Moondogs
スティーヴ・カーン&スタン・レーンから成る“The Fabulous Ones”とム
−ンドッグスの激突は、パイプ椅子や木製テーブルも導入された大荒
れの展開となって、即刻無効試合が宣告されたものの...。
CBunkhouse Match :
Austin Idol vs. Stan Hansen
我が国で“バンクハウス・マッチ”と言えば茨城W★INGの専売特許
ですが、言わばこの試合はその元祖。それにしても、いくらストリート・
ファイト・スタイルとは言え、スタン・ハンセン(勿論、十八番のテキサス
・ロング・ホーンやウエスタン・ラリアートもやってまっせ)の井出達は正
直苦笑もの...。あ、至極当たり前ですが、あのハンセンもしっかりと
“アメ・プロ”を演じてくれてまっせ。
DMan & Midget Mixed Tag Match :
Jimmy Hart & Billy the Kid vs. Roy Rodgers & Tiny Tom
我が国では大仁田率いるFMWにて有名となった、ミゼット選手を含
めてのタッグ戦。試合はハートのセコな反則によってロジャースが轟沈
し、一人リングに取り残されたミゼット選手のトムがとことん蹂躙される
って内容で、最後は“キング”さんが怒り心頭で助けに入るも...。
EJim Cornette & Jimmy Hart vs. Jerry Lawler
ハート&コルネットさんに勇敢にも(苦笑)2対1で挑んだ、我等が“キ
ング”さん。リング・ベルと共にパウダー攻撃を仕掛けて来たハート&コ
ルネットさんを物の見事に相討ちさせ、僅か1分程度で勝ち星をゲット。
エッ、ちょっとベタ過ぎるんやないか、でっか?。いやいや、ドロ臭いベ
タをキチンとやり遂げるのが南部プロレスの真骨頂なんやから...。
FHector Guerrero vs. Jimmy Valiant
若きヘクター(ゲレロ4兄弟の三男)を相手に、まだ“ブギ・ウギ”とな
る前の“ハンサム”時代のヴァリアントが、自身が保持するサザン王座
を懸けて防衛戦。で、試合開始早々、ヘクターがロープに振られたとこ
ろ、いきなりロープが3本ともダラリと垂れるってアクシデントが発生!。
ただヴァリアントは涼しい顔(腹の中では少しは焦っていたのやろか)
でその垂れたロープを悪用しつつヘクターを料理。ウーン、これぞプロ
のお仕事ですな。お見事でした。
GParking Lot Brawl :
Eddie Gilbert vs. Jerry Lawler
エディ・ギルバート(後にW★INGでブギー・マンを好演)がミッシー嬢
と思われるお姉ちゃんをはべらせて“キングさん”を挑発。勿論これに
は“キングさん”も黙ってはおれず、ガツンと一発ギルバートに見舞い、
これを合図に両者はスタジオを飛び出して真昼間の駐車場へ...。
HTexas Death Match :
Big Red & Ricky Morton vs. Sonny King & Buddy Wayne
ソニー・キング側にはトージョー・ヤマモトも付いた3本勝負のタッグ・
マッチなんやけど、特にテキサス・デスマッチっぽくないやないの、なん
て思っていたら、1対1で迎えた3本目、モートンにグイグイと締め上げ
られたバディ・ウェインがマジ(?)で失神して立ち上がる事が出来ず。
なるほど、これぞ正真正銘のテキサス・デスマッチの幕引きですな。
I1st EVER Scaffold Match :
Jerry Jarrett vs. Don Greene
さてさて“高所足場戦”と言えば、我が国ではW★INGマットにて行
われたアイスマン対ペレス・ジュニアが有名やけど、なんでもこの試合
こそが史上初の“高所足場戦”なんやて(ホンマかな?)。ただし、“落
ちたら最後”なんて期待を込めてこの試合を観てはあきまへん。足場
はどう観てもマットから3メートル弱の高さしかなく、加えてこの試合は
あっと驚きの3本勝負。そう、一度落ちたら勝負どころか命さえ落とし
かねない、なんて危険な代物ではなく、ちょっとした高さの足場の上で
の単なる落としっこ。しかし、それで20分程度を持たす(あ、ワシはす
ぐに飽きて早送りしたけど)両選手のスタミナ(体力やなく、精神力ね)
は凄いワ。尚、試合を制したのは“ダブルJ”ことジェフ・ジャレットのお
父さん、ジェリー・ジャレットでした。
JManager vs. Midget :
Downtown Bruno vs. Karate Kid
ベビー・サイドのミゼット選手と、ヒール・サイドのマネージャとの一騎
討ち。これもギミック戦における常套句のひとつですな。
KBoxing Match :
Tony Burton vs. Tojo Yamamoto
トージョー・ヤマモトによる(あくまでプロレスの範疇での)ボクシング・
マッチ。あ、対戦相手のトニー・バートンって、スタローンの映画『ロッキ
ー』シリーズに出ていたのと同一人物?。
LRenegade Cyclone Stampede :
P.Y. Chu-Hi, Mike Masters, Frankie Lancaster,
Action Jackson,The Grappler, Load Humongous
6選手参加による、オーバー・ザ・トップ・ロープ式の時間差入場ラン
ブル戦。ちなみにチューハイ(あの、安居酒屋で大人気のお酒)と呼ば
れているのは、“P.Y.Chang”を名乗っていた頃のトージョー・ヤマモトの
パートナーであったらしいフィル・ヒッカーソン(Phil Hickerson)。またジ
ェイソン風のホッケー・マスクで最後にリングに現れ、その巨体を生か
してあっさり勝利を収めた“Load Humongous”は後のシッド・ヴィシャス
(なんでもヤマモトに鍛えられたんやて)。で、皆さんにお尋ねしたいの
ですが、ここに出ている“ザ・グラップラー”って、W★INGマットで“狼
酋長”ワフー・マクダニエルにインディアン・ストラップ・マッチにて挑ん
で見事に玉砕したあの人と同一人物でっか?。マスクは似ているけど、
W★INGに来ていた奴に比べてやけに貧弱に見えるんですが...。
MTupelo Concession Stand Brawl 2 :
Eddie Gilbert & Rick Morton
vs. Masa Fuchi & Atsushi Onita
今回のレビュー、意識してFMWやW★INGって語句を使っているの
やけど、それはFMWって団体に、大仁田厚が全日プロ時代に武者修
行で訪れたアメリカ南部にて実体験したであろう、非常にドロ臭いプロ
レスの影響が色濃く出ていると考えるからなんや。そう、FMWとは“電
飾化”された南部プロレスやと思うんですワ。で、この映像。相棒の渕
正信やマネージャのトージョー・ヤマモトと共に、会場併設の売店の調
理場にまで繰り出し、鮮血で顔面を真っ赤に染めて、エディ・ギルバー
ト&リック・モートン相手に果敢に突進する大仁田厚。まさかこの時は、
後々小銭を貯めて整形を繰り返した末、無残にも顔面崩壊にまで至る
なんてのは露ほども思わなかったやろね。
【追記】業務用マスタードをタップリと掛けられて全身黄色に染まった渕
正信、とてもプリティ・グッドでしたデ。
NMan & Woman Mixed Tag Match :
Bill Dundee & Suzet Ferreirra
vs. David Oswald & Wendi Richter
今では珍しくも何ともない男女混合タッグ戦やけど、その昔、ターザン
後藤夫婦対リッキー・フジ&工藤めぐみの一戦を裏ビデオで観た時は、
何やらちょっと照れ臭い気分がしたもの。けど、こうしてテネシー地区
では前々から男女混合タッグ戦も“お品書き”の一つとして人気を博し
ていたみたいですワ。
OEmpty Arena Match :
Terry Funk vs. Jerry Lawler
直訳するなら“空っぽの体育館での試合”。そう、所謂“ノー・ピープル
戦”って奴でして、我が国では初期FMWにおける大仁田厚対ターザン
後藤の一戦が有名やろか。さてさて、ここではテリー・ファンクと“キング
さん”(共に大仁田のプロレス芸への影響大)がお客さんの全く入ってい
ない会場にて激突。オーディエンス・ノイズがないので、両者の舌戦や
息遣いもリアルに聞こえ、たとえ一瞬たりとて目が離せぬ内容や。ただ
し試合は、バリバリのヒール・バージョンであるテリーが、バリバリのベ
ビー・バージョンである“キングさん”を攻め、“キングさん”が怒りの余り
テリーの持ち出したフォークを振り上げたところで一旦映像が停止。で、
続いてモニター画面に流れたのは、顔面を朱に染めて「頼むから医者
を呼んでくれ!」って泣き叫ぶテリーの姿。ウーン、地元メンフィスでは
超ベビーの“キングさん”が非道のファイトを行うところを放送したくは
なかったのかも知らんけど、この編集(当時のTV番組)はちょっと残念
やったなァ...。
【追記】試合の後、ランス・ラッセル氏の解説が数分流れるんや。多分、
試合映像に対する編集方針について述べているんやと思うけど、ワシ
には全く聞き取り不能。ホンマ、毎度の事ながら申し訳ない事です。
【得点映像】
ビル・ダンディ、“キングさん”、テリー・ファンク、ランス・ラッセル氏(多
分、Oの試合を実況していた人)の直近の短編インタビュー。どうやら、
お題はOの“ノー・ピープル戦”みたいですな。 |
|