10th Anniversary Show Night 3
 Oct 21th 2006 Midlothian, IL
 (DVD-R*2)
 収録時間
 disc-1:約1時間52分 disc-2:約1時間28分
 本作はDVDではなくって、DVD−R。当HPでは既にお馴染みの米国
独立団体映像通販ショップ『SmartMarkVideo』から、2枚組で送料別20
ドルにて発売されている団体公認の代物です。
さて今回ご紹介するのは、イアン・ロットン総帥率いるIWA−Midsouth
が2006年10月21日にイリノイ州はミッドロシアンってところにて開催
した団体旗揚げ10周年記念興行の3日目(最終日)の全容を納めたも
の。ちなみに今回の10周年記念興行は10月14日にインディアナ州は
プレインフィールドにて初日を迎え、10月20日にイリノイ州はハーヴェイ
にて2日目が開催されておりますんや。それにしても世間では『石の上
にも三年』なんてよく言いますが、浮き沈みの激しいこの業界に一国築
いて、それを長期間運営して来たイアン総帥の手腕(近頃はどうも綱渡
り運営らしいけど)には改めて敬意を表するのみ。ではIWA−Midsou
thの10周年記念興行最終日、しかと見届けさせていただきましょう。
尚、10周年記念興行の最終日なんて書くと、さぞや立派な会場での開
催で、多数の観客が詰め掛けている事やろと思われるかも知れまへん
が、会場はただの小さな体育館(Don Preston Rec Center)で、観客は
100人程度。けど毎回この程度の動員数でなんとかやりくりして来たの
もIWA−Midsouthって団体の偽らざる真実。そう思うと、イアン総帥の
腹の中は分からんけど、こんなに“らしい”10周年記念興行の最終日も
ないな、なんて...。

★★DISC-1★★

○まずはイアン総帥の挨拶から...
  リング・サイドにマイクを持って立つ、イアン・ロットン総帥。何を喋って
 いるのかワシには聞き取れないけど、多分IWA−Midsouthを見守っ
 てくれてホンマにありがとうなんて言うてるんやろ。あ、今宵の興行さえ
 まだ始まっていないのに、商売熱心なイアン総帥からは11月24日に
 当地ミッドロシアンにて開催が決まった『Strong Style Revolution Tou
 rnament』の宣伝も。なんでもNWA−TNAからジェイ・リーサルを招い
 てIWA−Midsouth認定の世界ヘビー級王座戦をやるらしいデ。
 尚、客席後方にはなんと偉大なるNWA王者ハーリー・“美獣”・レイス
 の姿(ゲスト・コメンテイターとして、少しだけですがお話もされておりま
 っせ)もあり。けどレイスさん、どうやら自身のフィギュアを商いされてい
 るみたいですが、お金に困っているんでっか?(苦笑)。
@3way dance :
 Ricochet vs. Billy Roc vs. Jack Thriller
  この試合を制した者には、IWA−Midsouth認定のライト・ヘビー級
 王座への挑戦権(DISC-1のCの勝者を相手)が与えられるらしく、オ
 ープニング・マッチとなった3WAダンスはなかなかの盛り上がり、って
 書きたかったんやけど、3選手ともにエンジンが温まる前にブランドン・
 トマセリが試合に介入。とりあえずスリラーが王座挑戦権を得ました。 
AIWA Mid-South/NWA Midwest Women's Title Match :
 Mickie Knuckles vs. "Hardcore" Heather Owens
  IWA−Midsouth認定の女子王座と、NWA−Midwest認定の女
 子王座の二冠に輝くミッキー・ナックル(ちなみにイアン総帥の愛弟子)
 が、ヒーサー(ブルー・ミーニーの妹なんて実況の声もあるけど、実際
 は青で統一したコスチュームをネタに実況者が洒落てみただけなのか
 もね)を相手に防衛戦を志願。ま、6月3日の『King Of The Death Mat
 ches 2006』では師匠であるイアン総帥を相手に一歩も退かぬ大流血
 戦をやらかし、なおかつ約2週間後に迫った女子だけのデス・マッチ・
 トーナメント『Queen Of The Death Matches』の制覇を見据えている
 ミッキーにとって、まだキャリア1年程度のヒーサーはさほど苦にはな
 らぬ対戦相手。師匠イアン譲りの手加減抜きの頭突き、原爆固め、シ
 ャイニング・ウィザード風の顔面蹴りと淀みなく繋げて快勝ですワ。
B"Psycho Shooter" Drake Younger & CJ Otis
 vs. Ted Dibiase Jr. & Daniel Cross
  ドレイク(←ワシの知らぬ間にCZW認定のUVU王者となってました)
 とCJのコンビに挑むのは、ダニエル・クロスとテッド・デビアス・ジュニ
 ア(←勿論、あの“ミリオン・ダラー・マン”の息子さん)。なんでもデビア
 ス・ジュニアは今宵がIWA−Midsouthマットの初デビュー戦。そうか、
 それなら尚更こいつに注目や。お、まだ線は細いものの、なかなか上
 背があるやないの。しかもグランドでのマットさばきもしっかりしとるな。
 で、最後もCJの見え見えの誤爆スポットを起点に、ドレイクを親父譲り
 (って言うか、無断借用?)のミリオン・ダラー・ドリームで締め落として
 の勝利かいな。ウンウン、これだけやれるなら文句なし。その血統の
 良さから、メジャーWWEが最終目標なんやろな。それならIWA−Mi
 dsouthみたいな汚れ団体(失礼)に余り長居なんてしたらアカンよ。
 せいぜい精進して、もっともっと上を目指しや。
CIWA-MS Light-Heavyweight Championship Match :
 Josh Abercrombie vs. Shiima Xion
  第4試合は、ジョシュの保持するライト・ヘビー級王座を巡る戦い。我
 が日本国よりシーマ(実況者が言うにはDDTの所属だそうやけど、こ
 の人って、あのCIMAとは別人なんでしょ?。ワシ、ここらにはホンマに
 疎いんですワ)なる選手が勇躍挑戦や。さて試合ですが、シーマが果
 敢に仕掛けてペースを握りそうになるんやけど、ジョシュがその度にお
 客をイジるなどしてシーマの気勢を削ぎ、シーマが一発大逆転を狙って
 放った、コーナー頂部に立ってのウラ・カンも残念ながら決定打とはな
 らず。最後はジョシュのイン・サイド・ワークに煮え湯を飲まされる格好
 となってしまいました。 
D"Sweet & Sour" Larry Sweeney vs. Rex Sterling
  コーナーから飛び降りるエルボー・ドロップ一発で、ラリーがレックス
 を短時間で簡単に料理。汗一つかかなかったラリー、得意げでマイク
 を握ってベラベラと喋っていると...。
E"Dr. Death" Steve Williams
 vs. "Sweet & Sour"Larry Sweeney
  なにやら聞き覚えのあるテーマが流れたと思ったら、花道にその雄
 姿を現したのは、“殺人医師”スティーヴ・ウィリアムス!。おぉ、これ
 はイアン総帥の仕掛けた嬉しい演出やね。で、勿論ウィリアムス相手
 にラリーの特別試合が始まりました。ま、試合そのものはウィリアムス
 が適当にラリーの技を受けてやり、頃合を見計らって、右パンチ⇒バッ
 ク・ドロップで締めるって内容の、見事過ぎる省力(失礼)ファイト。それ
 でも観客はウィリアムスに敬意を表し、スタンディング・オベーションで
 ウィリアムスを見送りますんや。ま、こんな憎まれ口しか書けぬワシも、
 実際現地に居たのなら、当然同じように振舞ったでしょうが。
FIan Rotten vs. Tarek the Great
  IWA−Midsouthの10周年記念興行となると、やっぱり気になるの
 はイアン総帥の試合。ただ、どうやら今回はイアン総帥は売り物のひ
 とつであるデス・マッチ色を完全に封印し、後進相手に育成マッチを組
 んだみたい。で、今宵その御眼鏡に適ったのは、タレック・ザ・グレート
 なる選手。イアン総帥、タレックを相手に、凶器も流血もなく、ただただ
 淡々と長時間攻め続け、フィニッシュとしてタレックをスリーパーに捕ら
 えたところで思わぬハプニング。なんと苦し紛れにタレックがコーナー
 ・ポストを蹴って倒れ込んだところ、下敷きになったイアン総帥に3カウ
 ントが入ってしもたんや。ま、これはタレックの奮起にイアン総帥が応
 えてやった“証”なんでしょうな。ただ育成マッチを否定はせんけど、折
 角の10周年記念興行やねんから、イアン総帥の脳味噌にジクジクと
 巣食う暴力のミューズを解放して欲しかったってのが、ワシの偽らざる
 思い。尚、今回の10周年記念興行ですが、イアン総帥は10月14日
 のプレインフィールド大会(初日)ではチャック・テイラーを相手に、10
 月20日のハーヴェイ大会(2日目)ではラリー・スゥイニーを相手に、
 それぞれシングル戦を行っています。両試合共に、ワシは結果は知ら
 ないのですが、多分趣旨は今宵と同様のものであったと推測します。 

★★DISC-2★★

@Mitch Ryder vs. Mark Wolf
  DISC-1のEの試合後、マイクを握ったイアン総帥の口から出たのは
 “オールド・スクール・IWA”なる言葉。ま、いろいろと解釈出来そうな
 言葉ではあるけど、DISC-1のEの試合内容から察するに、デス・マッ
 チ云々は一度横に置いて、みんなでしっかりとプロ・レスリングってもの
 に回帰してみよか、ってところやろか。で、しからばと提供されたのが、
 ここからの3試合。どれもこれも端々に“オールド・スクール・IWA”って
 言葉が感じ取れる内容です。さて、ではまずライダーとウルフの試合
 から。これ、ライダーがウルフを入場口で待ち伏せして襲撃し、そのま
 ま場外戦に雪崩れ込み、鉄柱攻撃にて両者ともバックリと額を割るな
 んて展開こそあったものの、基本的に殴り合い中心のとても男臭いも
 の。また試合に幕を引いたライダーによるロープ悪用の小ズルいフィ
 ニッシュにも、“オールド・スクール・IWA”はヒシヒシと感じられ...。  
AEddie Kingston vs. Brandon Thomaselli
  なにやら“遺恨試合”であると実況者が解説する本試合は、両者に
 よる逆水平チョップ合戦やエルボー合戦、加えてそこにグランドでの攻
 防が随時織り込まれるって内容。最後はバードン・トマセリの顔面蹴り
 をモロに喰らったキングストンが、それでも全く怯む事なく力任せのクロ
 ーズ・ラインを放って、やや強引なフォールをゲット。その熱い内容に、
 客席からは温かい拍手も送られ、キングストンはトマセリに握手を求め
 るものの...。
BIWA-MS Heavyweight Championship Match :
 Chuck Taylor vs. "The Anarchist" Arik Cannon
  チャック・テイラーの保持するIWA−Midsouth認定のヘビー級王座
 に、“アナーキスト”エリック・キャノンが挑むって図式の試合。例によっ
 てピストルズの“アナーキー・イン・ザ・UK”をガンガン鳴らして現れた
 エリック・キャノン、Aと同じ様にベーシックなスポットをベースに、チャッ
 ク・テイラーともども十二分に“オールド・スクール・IWA”を意識した試
 合を披露し、チャック・テイラーの変形パワー・ボムに見事に沈んでみ
 せました。あ、試合後にはライト・ヘビー級の王者であるジョシュが現
 れ、チャック・テイラーを襲撃。ジョシュ、二冠王を目指すんやろかね。
CIWA-Deepsouth Tag-Team Title Match :
 The Iron Saints (Bal & Vito Thomaselli)
 vs. The North Star Express (Darin Corbin & Ryan Cruz)
  IWA−Midsouthの10周年記念興行最終日もいよいよ大詰めとな
 って、残すところはあと2試合。まずはセミ・ファイナルとして、IWA−
 Midsouthとは友好関係にあるらしいIWA−Deepsouthが認定する
 タッグ王座を巡る戦いがブックや。ちなみに王者組はバル&ヴィトーの
 トマセリ兄弟(DISC-2のAに出場したバードンを加え、トマセリ3兄弟
 って言うんでっか?)がユニットを組む“鋼鉄の聖者達”。対する挑戦者
 組はダリン・コービン&ライアン・クルーズが組んだ“北斗超特急軍”で
 すワ。試合は中盤、“鋼鉄の聖者達”の連携ミスにつけ込んで、“北斗
 超特急軍”がベルトを使っての一撃をお見舞い。しかしこれは決定打
 とはならず、逆に“鋼鉄の聖者達”の息の合ったダーティ(苦笑)なタッ
 チ・ワークに翻弄されてしまい、遂には“鋼鉄の聖者達”相手にレフェ
 リーの静止を振り切っての乱闘沙汰に発展。必死に両軍を分けようと
 するレフェリーでしたが、両軍からそれぞれパンチを貰ってましっては、
 もう無効試合の裁定を下すしかおまへんわな...。
DThe Tough Crazy Bastards
 (Necro Butcher & "Mr. Insanity"Toby Klein)
 vs. The Bad Mother F*#kers ("Mean" Mitch Page
 & Bull Pain) (w/Brandon Prophet)
  はい、やっと最後まで辿り着きましたな、IWA−Midsouthの10周
 年記念興行最終日。その大トリを飾るのは、ネクロ&クレインが結成
 したタフ・クレイジー・バスターズと、ペイン&ペイジが結成したバッド・
 マザー・ファッカーズの激突や。ここまでイアン総帥の発した“オールド
 ・スクール・IWA”の一言が影響したか、血生臭さとは無縁の試合が
 多かったんやけど、この4選手が激突するなら、これは当然血を見ま
 すワ(苦笑)。試合はペインがブンブンと振り回す有刺鉄線バットがネ
 クロの背中に、クレインの胸に、ビシビシと叩き込まれるってものでし
 て、加えてネクロなどはペインから床面に直接ブチ落とされるDDTを
 喰らったものやから、七転八倒して悶絶。それでもペインは攻撃の手
 を緩めず、ネクロの左足首に照準を合わせて、何度も有刺鉄線バット
 を振り下ろす冷酷さ...。最後こそ死力を振り絞って、ネクロがパイ
 プ椅子チャンバラを制しペイジを倒したけど、勝敗など知った事やな
 いワ、とバッド・マザー・ファッカーズは試合決着後も大暴れ。その上、
 そこにプロフェット、ミッチ・ライダー、ジョシュらも加勢し...。興行の
 責任者であるはずのイアン総帥らも何故かネクロらを助けに来ず(打
 ち上げやとばかり、何処かに呑みに出掛けたか?)、ネクロ&クレイ
 ン&マーク・ウルフ(←唯一、救援に現れた)は血の海に沈むのみ。
 “オールド・スクール・IWA”のはずが、最後の最後でベッタリとドス黒
 く血塗られてしまった、IWA−Midsouthの10周年記念興行最終日
 なのでした。


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