Beast of the Extreme
 Queens, NY - Elk's Lodge 1997-10-16
 (DVD-R*2) 
 収録時間
 disc-1:約1時間43分
 disc-2:約1時間16分
 ECW存命時に地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
【Extreme Fan Cam Series】と称して怒涛のリリース・ラッシュでワシらE
CWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2006年4月期に発売された5タイトルの内
の1タイトル。ニュー・ヨーク州はクィーンズのエルクス・ロッジ(ここがま
たエエ感じの小屋なんや)にて1997年10月16日に開催された定期
興行の模様を収録したものですワ。

★★DISC-1★★

○哀悼、“ルース・キャノン”
  興行に先立ち、1997年10月5日に正にニック・ネームのごとく呆気
 なくあの世へと召されてしまったブライアン“ルース・キャノン”ピルマン
 追悼の10カウントが。今更ここでピルマンのECW時代の所業を書き
 連ねても空しいだけやけど、もしもここをご覧になられてピルマンってレ
 スラーに興味を持たれたのなら、是非他のDVDレビューに掲載した彼
 の生き様ってのを確認して欲しいな。
@The FBI (Little Guido & Tracey Smothers)(w/Tommy Rich)
 vs. Chris Chetti & Spike Dudley
  今夜のオープニング・マッチで『純血イタリア人軍』と戦うのはクリス・
 チェッティとスパイク・ダッドリー。お馴染みAC/DCの『地獄のハイ・ウ
 ェイ』をバックに、パイプ椅子をブンブン振り回して姿を見せたスパイク
 やけど、やけに目が血走っている(薬でもキメてるの?)様に思えるの
 は気のせいやろかね。さてさて『純血イタリア人軍』の後ろ盾である元
 NWA王者のトミー・リッチも積極参戦し、試合開始前にチェッティを戦
 闘不能状態へと叩き込んだグイドー&スマザーズですが、スパイクが
 控え室からトミー・ドリーマー&ビューラ嬢を引っ張り出して来たからさ
 ぁ大変。ジョン・フィネガン(正義のレフェリー)やジェフ・ジョーンズ(悪の
 レフェリー:後年、陪審員ギミックでマイク・オーサムのマネージャーへ
 転身)、ビューラ嬢にトミー・リッチも絡むドタバタ劇へと突入でっせ!。
 あ、試合は勿論ドリーマー&スパイクの勝ちですワ。
APaul Diamond vs. Pablo Marquez
  マルケス(元“ザ・プエルトリコ人”エル・プエルト・リケーニョ)とポール
 ・ダイアモントの一騎討ちなんやけど、お客達が最初っから両選手を
 小馬鹿にしているのがありありと分かるんです。マルケスについては
 ダメっ振り(を笑いたい)のみが期待されていて、ポール・ダイアモンド
 は何をどうやろうと全てが全てブーイング。これではやっている選手も
 正直堪らんやろと思いましたな。
○ポール・Eの御出馬
  今夜も自信に溢れた笑顔(失礼ながら非常に暑苦しいけど)でリング
 へと上がったポール・E。得意のマイクでなんやかんやとアジり立て、
 最後はリング・サイドのお姉ちゃんにオッパイを出させる事に成功(但
 し『RF-VIDEO』のカメラ・マンがボンクラで、これの撮影に失敗)。続い
 て2階席手摺りから吊り下げられた『3:16』Tシャツ(←これに解説は
 不要やろ)に向け、“Ass Hole”チャントまで仕掛けて...。ホンマ、こ
 の人は人心掌握って言うか、マインド・コントロールの術に長けとるな。
○Hardcore TV Opening
  ポール・Eの紹介でリングに姿を見せたのは、ジョーイ・スタイルス。
 ここからは定期放送番組『Hardcore TV』のカメラも入りましたデ。
○嫌な奴ばかりやね、NYの客は...
  『Hardcore TV』用のネタ収録に向けリングに上がったのは、極悪ユ
 ニットであるトリプル・スレット(構成員はクリス・キャンディードとバン・バ
 ン・ビガロ)の主宰者であり、ECW認定の世界王者のベルトを手にす
 る“フランチャイズ”シェーン・ダグラスとマネージャー役のフランシーン
 嬢。と、ここにダグラスとはこれまでいろいろとあった(勿論ネタの上の
 話やデ)リック・ルードがお出まし。すると、なんとモニター画面の中で
 はお客達がリック・ルードに向け一斉に“お前、チャイナと一発やったや
 ろ!”チャントを...。いやはや、確かにリック・ルードとチャイナ(宝寿
 司の寿司職人である梅さんにそっくりの女子レスラー。HHHと親密であ
 った時期も)が云々なんてのを聞いた(当然後年やけど)事もあったけ
 ど、それが当時、現地ではこうして大合唱となっていたとはね。あの頃
 のアメ・プロ業界ではダイヤルQ2商法が花盛りで、有料でレスラー達
 のある事ない事の裏情報を聞けたそうやけど、ホンマにNYの客は嫌
 な奴揃いやったんですなァ...(苦笑)。
○トリプル・スレット崩壊!
  “お前、チャイナと一発やったやろ!”チャントには多少面食らったみ
 たいなリック・ルードですが、これ位程度でヘコんでいる様ではチャイナ
 とはやれまへん(苦笑)。適当にチャントをやり過ごし、続いてダグラス
 の保持する世界王座のベルトに対して刺客を放ちますんや。で、リック
 ・ルードの紹介によりガンズの名曲『Welcome to the Jungle』をガンガ
 ン鳴らし、その雄姿を花道に現したのは、ダグラスの用心棒的ポジシ
 ョンにドカンと座り、極悪ユニットのトリプル・スレットをずっと支え続けて
 来たはずの“イレズミ獣”バン・バン・ビガロ!。この突然の裏切りにダ
 グラスやフランシーン嬢、指を3本立て(←トリプル・スレットを意味して
 おります)、頼むから考え直してくれと懇願しておりますが....(よっ、
 役者やのゥ)。
BECW World Heavyweight Championship :
 Bam Bam Bigelow (w/Rick Rude)
 vs. Shane Douglas (w/Francine & Chris Candido)
  ビガロの翻意が叶わぬと悟ったダグラス、キャンディードとハイ・タッ
 チを行い、ベルトをリング中央に置いてビガロとのタイトル戦を承諾しま
 した。けどこの直後ダグラスの顔面に降り注いだのは、ビガロの鉄拳。
 序盤ダグラスはビガロの巨体と溢れんばかりのパワーの前に防戦一
 方(よっ、役者やのゥ)で、中盤ダーティなインサイド・ワークを披露して
 形勢逆転を狙うも、最後はビガロのDDT〜パワー・ボムによって完璧
 な形で3カウントを献上。これまでビガロの助力で守り続けて来た世界
 王者のベルトが、何の因果かビガロの手へと渡ってしまいました。
 尚、この試合は1997年11月30日に開催されるPPV『November to 
 Remember 1997』での両者の再戦(結果はダグラスのベルト奪回)に
 向けた壮大な前振りってところで、試合時間も『Hardcore TV』での放
 送に合わせて短時間ではあったけど、リック・ルードの登場⇒トリプル・
 スレットの崩壊⇒ダグラスの王座陥落と、実に上手く細部まで練り込ま
 れた構成やったワ。でも“お前、チャイナと一発やったやろ!”チャント、
 『Hardcore TV』では編集せずに放送出来たのやろかねェ......。
CGreat Sasuke vs. Justin Credible (w/Jason)
  五色の紙テープが宙を舞う、言わば日本式の敬意の表し方によって
 熱狂的に迎えられたのは、“東北の守銭奴”グレート・サスケ。どうやら
 サスケはこの夜から連続3夜のみの特別参戦みたいですワ。さてこれ
 までECWマットではみち・プロ勢のみでの6人タッグばかりを行って来
 たサスケですが、今夜は堂々シングル戦でのデビュー。対戦相手も曲
 者のジャスティンで、これはなかなか考えられたマッチ・メイク、と当初
 はワシも思ったものの、どうにも試合自体が煮詰まり気味。最後はジェ
 イソンの介入を契機に、ジャスティン必殺の変形パイルが火を噴いて、
 “東北の守銭奴”の背中にベッタリと土が付いてしまいました。
 【補足】サスケですが、翌日はペンシルバニア州ダウニントン大会にて
  ランス・ストームと対戦。翌々日はペンシルバニア州フィラデルフィア
  のECWアリーナにてアル・スノーと対戦、との記録がありました。

★★DISC-2★★

@Special Challenge Match :
 Sabu (w/Bill Alfonso) vs. Mikey Whipwreck
  後半戦はサブゥに対して『スペシャル・チャレンジ・マッチ』を行うマイ
 キー君の姿からスタート。ベーシックなムーブが披露された序盤。アル
 フォンソの投げ入れたパイプ椅子を使っての各種攻防が盛り込まれた
 中盤。そして客席からの“テーブルを使ったれや!”チャントの中、そろ
 そろ試合も『巻き』が入るかと思われたら、いきなり画面がブチ切れて、
 次に画面に映し出されたのは、RVDとマイキー君が見事に破壊され
 たテーブルの破片の上でのたうつ姿。どうやらテープ切れ、もしくはバ
 ッテリーの容量低下が原因で、『RF-VIDEO』のカメラ・マンがRVDの
 介入⇒マイキー君との心中テーブル・ダイヴを撮影し損なったみたい
 や(アカンな、今夜のカメラ・マンは失態続きやデ!)。ま、試合は当然
 サブゥが勝ったんやけど、一番肝心なところが収録されてないとは困
 ったものですな。
ARob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Al Snow
  どうやらこの当時、何度か一騎討ちを繰り返していたRVDとアル・ス
 ノー。今夜も口うるさいNYのお客の前で熱戦を繰り広げてくれました。
 さてさて試合の序盤はアルが支配し、中盤アルフォンソの介入から強
 烈なヴァン・ダミネーターがアルの顔面にモロにヒット。ここぞとばかり
 場外で『Hardcore TV』のカメラ・マンに講釈を垂れるアルフォンソは実
 にプリティや(苦笑)。で、注目の終盤。RVDの5★スプラッシュをアル
 が返したところで、このままでは盟友RVDが危ういとサブゥまでが武
 力介入を強行。RVDと2人、ステレオ式のテーブル・ダイヴ葬をアルに
 見舞うものの、なんとアルは死力を振り絞ってフォール負けを拒否。最
 後こそ、再び炸裂したRVDのヴァン・ダミネーターによりRVDがアルを
 下したけど、試合後の客席の熱い反応を見ても、これはアル・スノーっ
 てレスラーの潜在能力を再度知らしめた(プロデューサーであり、かつ
 マッチ・メイカーでもあるポール・Eの狙い通り?)内容でしたな。
BECW Television Championship :
 Taz vs. Chris Candido
  TV王座を保持する、『男臭い強さ』がギミックのタズに挑むのは、『ギ
 ミックなんて不要だもんね』がギミックのキャンデード君。タズ、適当に
 キャンディード君の見せ場も作ってやりながら、切れ味鋭い各種のスー
 プレックスを試合の随所に盛り込みつつ、最後は電光石火のタズ・ミッ
 ションにてキャンディード君を余裕でチョーク・アウトや。ま、自身の属す
 るトリプル・スレットってユニットが存亡の危機に瀕しており、キャンディ
 ード君自身も折角のタイトル戦に集中出来んかったのでしょう(←実に
 上手く取り繕ってやるよな、ワシ)が、試合を見終えて印象に残ったの
 はタズの強さばかりでしたワ。
CECW Tag Team Championship :
 New Jack & Kronus
 vs. The Dudleys(Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
 (w/Big Dick Dudley & Sign Guy Dudley & Joel Gertner)
 vs. Axl Rotten & Balls Mahoney
  贅沢なマッチ・メイクが揃った今夜の興行もいよいよフィナーレ。最後
 はニュー・ジャック親分とクローナス(ギャングスタネーターズ)が保持
 するタッグ王座に、3WAY方式でダッドリーズとアクセル&マホーニー
 が挑戦するって図式の試合。まずはダッドリーズ側のお抱えリング・ア
 ナであるジョエル・ガートナーが得意のマイク芸を延々繰り広げ、そこ
 からアクセル&マホーニーとの対戦へと雪崩れ込み、満を持して最後
 の最後に『ナチュラル・ボーン・キラーズ』をバックにニュー・ジャック親
 分とクローナスが現れるって定番の試合構成や。ただしここでも『RF-
 VIDEO』のカメラ・マンがチョンボをしたみたいで、試合の序盤が残念
 ながら未収録となってしもてますんや。ま、ニュー・ジャック親分とクロ
 ーナスの登場から血まみれの乱戦、クローナスの450スプラッシュで
 マホーニーが敗退するところなどはキチンと収められているので、そう
 そう目くじらを立てる事もないですけどね。山あり谷ありであった今夜の
 興行におけるカーテン・コール的な位置付けの本試合、熱狂の内に幕
 となりました
 【補足】週刊ゴング監修のECW特集や一部ネット上での情報では、1
  997年9月20日、ニュー・ジャック親分とクローナスが『純血イタリア
  人軍』に負けてタッグ王座を奪われるとありますが、これは多分間違
  い。本試合の最後でもニュー・ジャック親分とクローナスの王座防衛
  がキチンとアナウンスされていまっせ。多分、『純血イタリア人軍』に
  タッグ王座を奪われるのは、この2日後の1997年10月18日にEC
  Wアリーナで開催された定期興行での事やと考えます。


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