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ECW Year in Review 1999
(DVD-R)
収録時間:約2時間45分 |
ECW存命時に地方でのドサ巡業を含め、その興行の大半をビデオ
収録したと伝えられる、米国のプロレス・グッズ屋『Rf-Video』をご存知
か。その『Rf-Video』が2005年初頭より過去の貴重映像を順次DVD
−R化し、怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃し
ているんや。さてさて今回皆様にご紹介するのは、1999年のECWマ
ット上における名場面や各種アングルの起承転結を手堅く纏めた『Ye
ar in Review』シリーズの中の1タイトル。では、本DVD−Rをテキスト
に、策士ポール・Eと名優&迷優が織り成した夢舞台を今一度振り返
ってみましょ。
【注意】最近は一部で姑息にもデジタル・リマスタリングなる売り文句を
使う『Rf-Video』ですが、無論彼等にはそんな高額な編集機材を買う銭
も、コツコツと過去の映像をリマスタリングするような手間隙も絶対にお
まへん。ま、元ネタとなっているのが当時の市販ビデオやTV放送なの
で、そこそこ映像自体は綺麗。それでも過剰な期待はなされず、あくま
でも海賊商品だと割り切ってご購入される事をお勧めいたしますワ。
@Sid vs. Skull Von Crush
"House Party 1999"
1999-01-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
WCWとWWFって2つのメジャー団体を2度も往復したシッド。遂
に都落ちとなったみたいで、ECWアリーナにやって来ました。エッ、
シッドの試合内容でっか?。例によって例の如くのパワー・ボムごっ
このみですワ。ウーン、我が国には“アホの一つ覚え”って諺があり
ますが、同じような意味の諺は米国にはないのやろか。もしもある
のなら、ワシがこのシッドって奴に直々に言ってやるんやけど...。
AECW World Heavyweight Championship :
Taz vs. Shane Douglas
1999-01-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
タズの保持する世界王座へダグラスが挑むって図式の試合。さて
さてこの試合、本当の挑戦者はクリス・キャンディードやったのです
が、1月10日に開催されたばかりのPPV『Guilty as Charged 1999』
においてタズに世界王座を奪われたダグラスが試合開始直前のリ
ングに突如上がり、キャンディードにキツいのを一発見舞って強引
に挑戦権を奪取。そこまで俺とやりたいのならと、タズもこれに応じ、
ドスの効いた静かな声で、「よっしゃ、リング・ベルを鳴らせ」と一言.
..(かっこいい!)。尚、試合はダグラスがフランシーン嬢に退場を
命じ、文字通り男と男の小細工抜きの一騎討ちに。両者による、骨
の軋む音が聞こえて来そうなド突き合いが、戦場を会場外の一般
道にまで求めて延々と続けられ、最後はコーナーに立て掛けたテ
ーブルへ向けてのタズ必殺のTボン・タズプレックスが、粘るダグラ
スにモロに決まって...。
B悪漢ダグラス、涙の引退宣言...?
"Crossing the Line 1999"
1999-02-12 Queens, NY - Elk's Lodge
上記したように、Aの試合で惜しくもタズからのベルト奪回が果た
せなかったダグラスが、フランシーン嬢を引き連れてお出まし。けど
これまでの悪辣さは陰を潜め、愛用のレスリング・シューズを手にタ
ズとの試合を誇りに思うと吐露。おいおい何時もの威勢のよさはど
ないしたんやって思う暇もなく、モニター画面の中ではダグラスもフ
ランシーンも感極まっての“引退宣言”が始まりました。ま、最初はま
たまた手の込んだお芝居をしよるな、ワシにはお見通しやデって眺
めていたのやけど、どうやら今回はダグラスもマジみたい。と、ここ
にいきなりジャスティン・クレディブル、ジェイソン、ランス・ストームが
現れ(これが彼等インパクト・プレイヤーズの初お目見え?)、ダグラ
スとフランシーン嬢を挑発。当然乱闘へと発展するんですが、なんと
これがジェスティン一派の一方的なリンチ。そうか、長期に渡って悪
漢ダグラスが統治していたECWも、そろそろ新ヒール組へのバトン
・タッチの時期なんやね。ちょっと(いやいや、ちょっとどころかめちゃ
くちゃ)寂しいなァ。
CShane Douglas (w/Francine) vs.
Justin Credible (w/Jason & Jazz)
"Cyberslam 1999"
1999-04-03 South Philadelphia, PA - ECW Arena
Bの流れを受けて組まれた試合で、当然と言えば当然なのかも
知れないですが、あの悪漢ダグラスがベビーの立場...。加えて
これまでならフランシーン嬢のタイミングを絶対に外さん、ベビー側
を応援する者には実にフラストレーションの溜まる介入も注目のポ
イントやったのに、何と今夜はジャスティンのラフ攻撃にフランシー
ンが抗議を行い、それを常連客の“麦わら帽子”と“サングラス”が
支持するんやから驚き。最後は大流血となったダグラス(これもま
た非常に珍しいよな)が十八番の“ピッツバーグ・プランジ”って名
の網打ち式原爆固めでジャスティンをフォールするんやけど、ここ
にすかさずストームが乱入し、ジャスティンと2人でダグラスを攻撃。
続いてダグラスを助けようとドリーマーが駆け付けて、ダグラス&ド
リーマー対ジャスティン&ストームの抗争構図が完成!。この続き
は、5月16日に放送される次回PPV『Hardcore Heaven 1999』で
どうぞって寸法やったのですが...。
【追記】そう、寸法やったのですが、この興行の直後にダグラスとプ
ロデューサーのポール・Eとの確執が表面化し、ダグラスはECWを
離脱してしまうんです...。
DCage Match :
Mustafa & The Dudleys (Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
(w/Sign Guy Dudley & Joel Gertner)
vs. New Jack & Balls Mahoney & Axl Rotten
"Cyberslam 1999"
1999-04-03 South Philadelphia, PA - ECW Arena
時間差入場式の金網戦でして、ここではダッドリーズよりも、ギャ
ングスターズのお2方、そうニュー・ジャック親分とムスタファが敵対
しているところに要注目。実は2月12日に開催された定期興行『C
lossing the Line 1999』にて久々に戦線復帰(←ムショにでも入って
いた?)のムスタファが親分をダブル・クロスして、宿敵ダッドリーズ
とまさかのシェイク・ハンド。で、これに怒った親分、3月21日放送
のPPV『Living Dangerously 1999』にて、凶器の使用OK戦でムスタ
ファを完全KO...。ま、こんな下地があって、改めてダッドリーズを
絡めて組まれたのが本試合ってところです(蛇足ですが、3月26日
のニュー・ヨークでの定期興行でも同一カードがありました)。尚、肝
心の試合の方ですが、血の気タップリで、火炎攻撃が盛り込まれ、
締めは勿論、裏切り者ムスタファへ向けての親分の自殺ダイヴ!。
EECW World Television Championship :
Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Jerry Lynn
"Hardcore Heaven 1999"
1999-05-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
自身の選手生活上の一つの極みであった、と後にRVD自身が述
懐する事となるECWマットでのジェリー・リンとの名勝負数え歌。相
変わらずのハイ・レベルな内容です。
FECW World Tag Team Championship :
Chicago Street Fight :
Falls Count Anywhere Match :
The Dudleys (Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
(w/Sign Guy Dudley & Joel Gertner)
vs. Spike Dudley & Balls Mahoney
1999-06-17 Chicago, IL - The Odeum
Dに引き続き、これまた血の気タップリのバイオレンス・マッチで、
この手の試合がお好きな方なら、火炎テーブルにマホーニーが沈め
られて幕となるまで、画面の前で感極まって悶えまくる事請け合いで
っせ。実際、もしもライヴで観れたなら単純に楽しかったでしょうな。
GECW World Tag Team Championship :
The Dudleys(Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
(w/Sign Guy Dudley)
vs. Tommy Dreamer (w/Francine)
1999-08-26 Queens, NY - Elk's Lodge
さてさてWWEが編集したECWのヒストリーものDVD『The Rise +
Fall of ECW』によると、WWF(当時)から声が掛かっていたダッドリ
ーズは、それでも引き止めてれるならと、ポール・Eに僅か1ドルの昇
給を願い出たそう。しかしポール・Eは、「金で勝負する気はない。残
りたい奴は残れ!」と言い放ったんやて(ホンマかいな)。で、正式に
ECWからの離脱が決定したダッドリーズはこの夜、タッグ王座に就
いているマホーニー&スパイクと対戦。けど今夜をもって離脱するダ
ッドリーズの腰にベルトが移動するはずは、なんて思っていたら、何
と“業界の不文律”を無視し、ダッドリーズが通算8回目のECWタッ
グ王座へと就いてしまいます(ここまでは本DVD−Rには未収録)。
って事でタッグ王者となったダッドリーズが客席に姿を現し、そのま
まリング上を占拠。WWF(当時)への移籍を語り、ドリーマーを直々
に呼び出しや。ダッドリーズ、実に憎々しげにドリーマーを挑発しまく
って、遂には「なんやったらこのタッグのベルトを、ビンスへの手土産
としよか?」、なんて感じの非情の発言も。そして最初はポール・Eら
の懸命の説得に、我慢の上に更に我慢を重ねていたドリーマーやっ
たけど、恋人ビューラまでネタにされて...。
遂に男一匹ドリーマーのド根性に火が点き、ドリーマーはダッドリー
ズの占拠するリングへと一直線。同時にレフェリーもリングに上がり、
リング・ベルまでが鳴り、ここにまたまた当初予定になかった(苦笑)
タッグ王座戦が始まりました。ただしパートナーの居ないドリーマーで
はダッドリーズの敵やおまへん。最初こそチーズ削り器を使ってダッド
リーズを攻め込んだドリーマーでしたが、やはり試合のペースは徐々
にダッドリーズ側へと傾き始め、勇気ある若手達も何人か加勢に回る
ものの、ドリーマーはダッドリーズに好き放題に蹂躙されたまま。これ
ではタッグのベルトどころか、ドリーマーの“生首”さえビンスの手土産
となってしまうのでは、と会場内に悲鳴が響いた(大袈裟やな、ワシ)
途端、ダッドリーズの背後に忍び寄る黒い影ひとつ。なんとこれ、短か
ったメジャー団体WCWでの生活を終え(ま、正直使えんので首になっ
たんやろね)、古巣ECWへと舞い戻ったレイヴェンその人。得意の(っ
て言うか、これしかないんやけど)DDTをババ・レイに見舞い、アッと言
う間にダッドリーズの腰からタッグのベルトを引っ剥がしてみせました。
【追記】上記したダッドリーズの1ドル昇給についてですが、これって
ECWでの現状のサラリーに1ドルの追加だったのか、はたまたWW
F(当時)が提示したのであろう莫大なサラリーに、更に1ドルの追加
であったのか。前者なら浪花節っぽいけど、ダッドリーズには申し訳
ないものの、どうもワシには後者の様に思えてならんワ。ま、もっとも
両団体を天秤に掛け、少しでもサラリーを増やしたい、との考えを何
処の誰も非難なんて出来ないんやけどね。
HECW World Heavyweight Championship :
Taz vs. Masato Tanaka vs. Mike Awesome
"Anarchy Rulz 1999"
1999-09-19 Chicago, IL - The Odeum
タズの保持する世界王座に田中が挑戦。けど、正に今から試合が
始まろうとする直前、客席奥からオーサムが突如現れ、これに気付
いたタズがオーサムを挑発。最初は必死にタズを止めるプロデュー
サーのポール・Eでしたが、ホンマに止めてしまったのではお話が続
きまへんやんか。ポール・E、マイクを掴み、「ホンマに田中とオーサ
ムを相手に戦うんやな、それなら3WAYダンスじゃ!」と絶叫!!。
尚、この試合の背景は複雑であり、下に【追記】として説明いたしま
すので、良かったらこちらも読んでみて下さいな。
【追記】実はこの興行の時点で、タズのWWF(当時)への栄転が決
まっていました。これはポール・Eを始め、選手全員が知っていたは
ずで、それどころか客席にもその事を察知したファンが掲げるサイ
ン・ボードがチラホラと見えますワ。さてさてタズはこの時ベルトを持
っていたのやけど、そうなるとECWからの退団方法がクローズ・アッ
プされてきますやんか。当然、ベルトを持ったまま競合他団体への
移籍なんてもっての他ですがな。で、組まれたのがこの試合って訳
ですワ。試合開始早々、田中とオーサムの2人に簡単に押さえ込ま
れたタズ。殆ど抵抗もせずにあっさりとベルトって名の“聖火”を次の
走者達に差し出します。そして感動的だったのが、まだこれから田中
とオーサムの王座決定戦が続いていくところであるにも関わらず、ポ
ール・Eを始め控え室に居た選手の大半が花道に現れ、先ほどのタ
ズの“チーム・プレー”を賞賛する場面。尚、決定戦はECWマニアも
唸る過激ファイトの末、田中を破ったオーサムが勝利。改めてベルト
をオーサムに手渡して花道を引き返すタズ...。ポール・Eとの熱い
抱擁を、観客達のタズ・コールが優しく包みます。断言しましょう。こ
んな雰囲気は、純格闘技では決して味わえまへん。皆さんも本作を
購入されて、一度この場面をご覧になって下さいな!。
IECW World Tag Team Championship :
Tommy Dreamer (w/Francine) & Raven
vs. The Impact Players (Justin Credible & Lance Storm)
(w/Dawn Marie & Jason)
1999-10-23 South Philadelphia, PA - ECW Arena
タッグ王座に就いてはいるものの、絶妙のタッチ・ワークを見せる
どころか、常に一触即発分裂の危機にあるドリーマーとレイヴェン。
相方からのタッチを断ってみたり、相方のリング・インを邪魔してみ
たり、挙句にフォール役を巡って小競り合いを起こし折角の勝機を
逃してみたり...。これでは全く試合にならんな、なんて思っていた
ら悪いことに獣人ライノまでが試合に介入。これはなんとか迎撃した
ものの、直後にドリーマーとレイヴェンはジャスティン&ストームから
ステレオ・タイプのパイル・ドライバーをモロに喰らい絶体絶命の大
ピンチに。と、ここで場内が暗転し、聞き慣れたメタリカの『Enter Sa
ndman』がECWアリーナに鳴り響きますんや。そう、99年1月のW
CW移籍(ECWからは98年9月初旬に離脱)によりハードコア・ハ
ックなるヘンテコな源氏名に改名していたサンドマンが、堂々の古
巣ECW復帰でっせ!。
J“アメリカン・ドリーム”のお出ましや!
1999-12-02 Atlanta, GA - The Tabernacle
超大物、ダスティ・“アメリカン・ドリーム”・ローデスのECW初登場
の映像。口達者なスティーブ・コリーノの挑発に乗ってまんまとリング
上に登場するって筋書き(勿論、最後はバイオニック・エルボーでコ
リーノを一蹴)自体、いかにもローデス好みってとこやね。 |
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