|
ECW Year in Review 1994 Vol. 2
(DVD-R)
収録時間:約1時間57分 |
ECW存命時に地方でのドサ巡業を含め、その興行の大半をビデオ
収録したと伝えられる、米国のプロレス・グッズ屋『Rf-Video』をご存知
か。その『Rf-Video』が2005年初頭より過去の貴重映像を順次DVD
−R化し、怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃し
ているんや。さてさて今回皆様にご紹介するのは、1994年のECWマ
ット上における名場面や各種アングルの起承転結を手堅く纏めた『Ye
ar in Review』シリーズの中の1タイトル(1994年の中期分)。あ、19
94年と言うと、まだECWが【Extreme Championship Wrestling】ではな
く、【Eastern Championship Wrestling】の略であった時期。では、海千
山千のビッグ・ネーム達と新進気鋭の若手達が織り成す夢物語、早速
振り返ってみましょ。
【注意】最近は一部で姑息にもデジタル・リマスタリングなる売り文句を
使う『Rf-Video』ですが、無論彼等にはそんな高額な編集機材を買う銭
も、コツコツと過去の映像をリマスタリングするような手間隙も絶対にお
まへん。ま、元ネタとなっているのが当時の市販ビデオやTV放送なの
で、そこそこ映像自体は綺麗。それでも過剰な期待はなされず、あくま
でも海賊商品だと割り切ってご購入される事をお勧めいたしますワ。
@Falls Count Anywhere Match :
Tommy Cairo vs. Sandman
1994-06-03 Montgomeryville, PA - Farmers Market
元々はパートナーであったはずのサンドマンとカイロですが、何がキ
ッカケであったのか、サンドマンはウーマン女史を、カイロはピーチズ
嬢(後の、当時も?、サンドマンの実の奥さん)を巻き込んで只今絶賛
抗争劇の真っ最中。94年5月14日開催の定期興行『When Worlds C
ollide』における竹刀戦でも2人の遺恨は決着とはならず、今宵は戦い
の場所をモントゴメリーヴィルでのドサ巡業に移し、両女子マネこそ不
参加であったものの、“何処でもフォール可”戦にてまたまたの直接対
決。試合は延々場外乱闘が続き、最後はカイロが大きな木製の板を
サンドマンの頭部に何度も叩き付けての激勝。しかし、蘇生したサンド
マンはまだまだ白旗は揚げぬと、竹刀を振り回して反撃を開始...。
ASabu vs. 2 Cold Scorpio
1994-06-03 Montgomeryville, PA - Farmers Market
『RF-Video』の商品紹介欄にある記述によると、どうやらこれがサブ
ゥとスコーピオの初顔合わせの試合だそう。序盤からグラウンド主体
でギチギチと攻め入るスコーピオ、中盤になるとスープレックス&“華
麗な舞技”主体へとシフト・チェンジし、サブゥに反撃の糸口すらも掴ま
せまへん。で、これはアカンとポール・Eが判断したのか、巨漢911を
無法介入させ、無理やりサブゥを勝たせてしまいました。
BECW World Tag Team Championship :
Public Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock)
vs. Bad Breed (Ian Rotten & Axl Rotten)
1994-06-17 Montgomeryville, PA - Farmers Market
94年3月6日開催のECWアリーナでの定期興行において念願のタ
ッグ王座に就いたパブリック・エネミー。今宵は“劣性品種交配”バッド
・ブリードを相手の防衛戦ですワ。ただし、こう書いてはバッド・ブリード
の面々には申し訳ないけど、今宵の彼等は完全なる“噛ませ犬”。パ
ブリック・エネミー、バッド・ブリードなどは眼中にないとばかり一方的に
ド突きまくって、挙句の果てにはまだ試合中であるのに、ロッコー・ロッ
クがマイクを握り、向こう上面に設置されたカメラに目線を合わせ、来
る6月24日にECWアリーナで開催が予定されている定期興行『Host
ile City Showdown 1994』にて組まれた“荒馬兄弟”ドリー・ファンク・ジ
ュニア&テリー・ファンクとの直接対決の前煽りに専念し始めて...。
CPublic Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock)
(w/Paul E.Dangerously & 911)
vs. Dory Funk Jr & Terry Funk
"Hostile City Showdown 1994"
1994-06-24, South Philadelphia, PA - ECW Arena
って事で始まった、パブリック・エネミーと“荒馬兄弟”の対戦なんや
けど、こちらの逸る心を見透かしてか、序盤はやけに静かな立ち上が
り。それでもドリーの放つアッパー気味のエルボー・スマッシュのなん
とも格好エエこと。実際、序盤戦はドリーのエルボーだけでお腹一杯。
やっぱり銭の取れるネタを持つ人は凄いな、なんて思っていると、試
合はジワジワとラフな展開へと移行。パイプ椅子が乱舞し、加えて91
1を帯同したポール・Eまでが試合に無法介入でっせ。で、例によって
例の如く911のチョーク・スラム(←すんまへんな、この人はこれしか
やれまへんのや)が火を噴き、試合を裁くべきレフェリーが真っ先に
昇天(苦笑)...。多分試合はここで無効(もしくはパブリック・エネミ
ー側の反則負け)となったのやろけど、そんなモンでは誰一人として
納得いたしまへんデ。特に額を大きく割られて流血を強いられたテリ
ーなどは、パブリック・エネミーの片割れロッコー・ロックを会場奥のバ
ルコニー部にまで連れ出して、両足首をワイヤーで縛り、まるでバン
ジー・ジャンプの如くバルコニー部から一階席目掛けてロッコー・ロッ
クの身体を突き落としてしまいよった!!。
DSabu (w/Paul E.Dangerously & 911) vs. Cactus Jack
"Hostile City Showdown 1994"
1994-06-24, South Philadelphia, PA - ECW Arena
さてさて今宵のメイン・エベントは、当時WCW認定のタッグ王者で
もあったカクタス・ジャックをECWに招いての、サブゥとの一騎討ち!。
911に鎖で拘束されたままリング上に連れて来られた(所謂キチガイ
・ギミックです)サブゥ、ステッペン・ウルフの名曲『ワイルドで行こう!』
をガンガン鳴らしてECWアリーナに姿を表したカクタスと、共に気力、
体力、暴力が身体中から溢れ返っとるな(94年のサブゥとカクタスや
ねんから、それも当然やけど)。で、注目の試合は一進一退の攻防が
延々続き、その熱さに思わず実況のジョーイ・スタイルスも、「タイトル
でも金でもなく、ただプライドのために!」と絶叫。けど終盤ちょっと残
念なアクシデントが発生いたしました。なんと場外フェンス越えの月面
水爆によるテーブル葬を狙ったサブゥ、カクタスの身体をキチンと捕ら
える事には成功したものの、飛距離が少々足りなく、顔面をモロに場
外フェンスにぶつけてしまいましたんや...。なんとかサブゥもリング
上に戻ったものの、この事態を深刻に受け取ったポール・Eが十八番
のセル・フォン・ショットをカクタスに突如見舞い、非常に強引にカクタ
スに土を付けて試合に幕を引いてしまいよった...。
勿論これには一部観客から強硬なブーイング(あれだけの内容の試
合やったのに、ちょっとフィニッシュを誤ると途端にこれですワ。それに
しても、どいつもこいつも何処までも強欲やなァ)も飛ぶんやけど、この
程度の観客の反応にたじろいでいてはプロレス・ビジネスなんてのは
やっとれまへん。観客の目くらましにと、シェイン・ダグラス&ミスター・
ヒューズ、ブルース兄弟らが続々と姿を現し、アチコチでちょっとした局
地戦が勃発。そうこうする内にサブゥも息を吹き返し、怨敵カクタスとの
番外戦が始まって...。ではここらで、全く収拾のつかぬカオス状態
へと陥ったECWアリーナからの実況を終えます。皆さん、お元気で。
Eカクタス・ジャックのアジテーション
持参したWCWのタッグ王座の証であるベルトを手に、「今夜、俺は
3つの肩書きを失った。最も自虐的で、最も醜く、一番殺してやりたい
と思われるレスラーだったのに」と、サブゥへの呪詛の念を吐露。その
上、大切なベルトに唾を吐きかける大暴走や。けどそんな事をやって、
アトランタ(WCW)に戻って叱られるんやないの...(苦笑)。
FECW World Heavyweight Championship :
Shane Douglas (w/Mr, Hughes) vs. Tommy Dreamer
1994-06-26 South Philadelphia, PA - ECW Arena
元々はWCWに在席し、多分そこで気高きプライドを根底からズタズ
タにされたのだと推測されるシェイン・ダグラス。よってそのWCWから
タッグ王座の肩書きを持ったカクタス・ジャック(←ちなみに両者はレス
リング学校の同期だとか...)がECWにやって来てサブゥと熱戦を繰
り広げたとなると、これは心中穏やかでは居られません。反則負け覚
悟で腹心のミスター・ヒューズと2人して対戦相手のドリーマーを甚振り
(←前日のNY大会でも同じような結果であったみたい)、マイクを握っ
てWCWの悪口を並べ立て、最後にはカクタスと熱戦を繰り広げたサ
ブゥにまであれこれとケチを付け...。
Gパブリック・エネミーのプロモ
Cで受けた仕打ちを倍返しにしてやらんと、“荒馬兄弟”ドリー・ファン
ク・ジュニア&テリー・ファンクを相手に、7月16日開催の定期興行『H
eatwave 1994』にて組まれた有刺鉄線戦。パブリック・エネミー側はな
かなか気合が入ってまっせ。
Hパブリック・エネミーのプロモ(その−2)
“荒馬兄弟”との有刺鉄線戦の前哨戦として、今宵は“荒馬兄弟”&
ドリーマーを相手の6人タッグ戦が組まれたパブリック・エネミー。誰か
パートナーを見つけないとアカンのですが、そこは何事も余り深く考え
ない(失礼)パブリック・エネミー。ハック・マイヤーズにベース・ボール
・ジャージ(←パブリック・エネミーの“制服”)を着せて、「おぉ、なかな
か似合っているやんか」とかなんとか、適当な言葉を並べております。
IDory Funk Jr & Terry Funk & Tommy Dreamer vs.
Public Enemy (Johnny Grunge & Rocco Rock) & Hack Meyers
1994-06-26 South Philadelphia, PA - ECW Arena
ってな事で始まった“荒馬兄弟”&ドリーマー対パブリック・エネミー&
ハック・マイヤーズの6人タッグ戦。あ、ちなみにこの夜は既にドリーマ
ーはFにおいてダグラスにボコられており、ハック・マイヤーズはスティ
ーヴィ・リチャーズ(←ECWでのデビュー戦?)と組んで“荒馬兄弟”と
対戦済(勿論試合は“荒馬兄弟”の勝ち)。この様にパブリック・エネミ
ー以外は全員2試合目の出場でして、ECWって団体もなかなか重労
働をレスラーに強いるんやな、と。尚、注目の試合模様ですが、ロッコ
ー・ロックが花道に現れたドリーに背後から不意討ちを喰らわせキック
・オフ。この卑怯なやり口に怒った“荒馬兄弟”がパブリック・エネミー
にキツいお灸を据えてやっておます(マイヤーズは勿論役立たず)。
【追記】ドリーがジョニー・グランジをフォールして幕となった本試合で
すが、まだまだこんなモンでは堪忍などしてくれまへん。突如シェイン・
ダグラスがドリーマーに仕掛け、これを契機に当夜の出演者総出での
殴り合いへと発展。来る7月16日開催の定期興行『Heatwave 1994』
に向け、アチコチで熱い火花(と、ネタ振りの嵐)が飛び交ってまっせ。
Jポール・Eのプロモ
ポール・Eによる 『Heatwave 1994』の煽りプロモ。なんでも今回の定
期興行のテーマは『The Battle For The Future : 輝ける未来へ向けた
戦い』だそうで、ポール・Eも、まぁ何とも大きく出たものですな。
KECW World Heavyweight Championship :
The Battle For The Future !
"The Franchise"Shane Douglas (w/Mr, Hughes & Angell)
vs. Sabu (w/Paul E.Dangerously & 911)
"Heatwave 1994"
1994-07-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
前記した様に『The Battle For The Future : 輝ける未来へ向けた戦
い』との副題が冠せられた今宵の定期興行『Heatwave 1994』ですが、
これはダグラスの保持する世界王座を巡る本タイトル戦の副題でもあ
って、加えてCでのダグラスのアジテーションからも分かる様に、言わ
ばこの試合こそが今宵の定期興行の押しも押されもせぬメイン・テー
マ。ジョーイ・スタイルス氏の実況によると、どうもダグラスとサブゥの
どちらが“輝けるレスリング業界の未来”なのかを決めようやないかっ
てとこみたいや。さてその注目の一戦ですが、サブゥに先手を打ちC
で自身を“輝けるレスリング業界の未来”と讃えてみたものの、何処を
どう見ても歴代NWA王者達の芸風をキチンと今に継承する“ダーティ
・チャンプ”のダグラスと、次の瞬間の行動が全く読めない、丸で“気紛
れな猫”の様なサブゥとの顔合わせとあって、正直手が合わぬかと案
じもしたものの、ここはダグラスが懐の深さで予想以上の長丁場とな
った試合全般をコントロール。全く表現手段の異なる両者が時に融合
し合い、時に反発し合って試合を構築して行くところを見ていると、なる
ほどこれぞ『The Battle For The Future : 輝ける未来へ向けた戦い』
かと思わされもしました。ただ終始ダグラスに押されていたサブゥが、
起死回生にと放った場外へ向けての月面水爆ダイヴ(直前に突如客
電が落ちるアクシデントあり)が自爆となって、結局これが原因でサブ
ゥはカウント・アウト負けを宣告されますんや...。ウーン、この結末
が『予め用意されていたもの』なのか、それともこれは予期せぬ事態
であって、本当は『別の結末が用意されていた』のかワシには分かり
ませんが、折角の大熱戦の結末がこれかいな、って感じでお客達が
呆気にとられた途端、両軍セコンド陣が総出でドタバタ劇をおっ始め、
お客達の意識を上手にすり替えてしもて...。ただし、このドタバタ劇
についても、セコンド陣の咄嗟の判断による抜群の『善後処理』であっ
たとも、いやいやこれさえも試合と一体で『予め用意されていたもの』
とも、どちらでもとれるしなァ...。以上、グッド・マッチであったって事
に嘘偽りは微塵もないものの、それを上回って舞台裏(結局、今回の
抗争アングルはブチ切れとなってお終い⇒以降、不思議と両者間では
大きな抗争アングルは組まれず)が気になる、今宵の“輝けるレスリン
グ業界の未来”決定戦でした。
【重要情報】
ワシとこのHPによく遊びに来て下さる『王流』さんから貴重な情報を
いただきましたので、ここに転載させていただきます。尚、『王流』さん
は当時米国にお住まいであったそうで、ECWも何度も生観戦されて
いるってなんとも羨ましい経験をお持ちのお方。当然現地で生でご覧
にならないと分からぬネタも多数お持ちの様でっせ。
↓↓
結末に関してですが、これはこう決まっていたのではないかと考えま
す。というのも、サブゥーはこの後、FMW遠征が決まっていたにもか
かわらず、翌週のファーマーズ・マーケット大会(7月22日)での再戦
がハードコアTVで宣伝されていました。自分はこのファーマーズマー
ケットの試合も行っているのですが、フランチャイズはリング上からサ
ブゥーは怪我で出てこれない(本当は日本遠征中)。10カウント以内
にこなければ、俺の不戦勝だ、って感じでアピールを行い、9カウント
で飛び込んできたタズマニアックとの防衛戦という流れでした。このこ
とからも、自分はアングルだったと思っています。
LDueling Canes Match :
Sandman (w/Woman) vs. Tommy Cairo (w/Miss Peaches)
"Heatwave 1994"
1994-07-16 South Philadelphia, PA - ECW Arena
公認凶器である竹刀を両者が振り上げ、ただただ相手の頭部や背
中に力の限り振り下ろすって内容の、単純ながら非常に残酷な一戦。
特に試合の序盤にて自らTシャツを脱ぎ、上半身裸となったサンドマン
などはカイロの竹刀攻撃を背中や腕に受ける度に皮膚が裂け、全身
ドス黒いミミズ腫れ状態に。それでもサンドマン、カイロのマネに付い
たピーチス嬢の介入ミスにつけ込み、カイロ(ブレード・ジョヴあり)を撲
殺してしまいよりましたワ。 |
|