Cold Day In Hell (disc-1)
 (DVD)
 収録時間:約2時間53分 + 特典映像:約44分
 ECWになりたくてもなれなかった、言わばECWの“劣性亜種”こと
XPW【Xtreame Pro Wrestling】。その悪戦苦闘の歴史は既に2枚組
のDVD『After The Fall』として発売済なんやけど、まさかかつてEC
Wが再評価された際に復活興行がブームとなった事を真似てXPW
までもが一夜限りの復活をするとは思わんかったワ。正直、そこまで
ECWの真似っこをせんでもってエエんやないのって思いもあるし、だ
いたい何処の誰もXPWを再評価なんてしとらんやないの、などと嫌
味ったらしい突っ込みもしたくなる。それでもその復活興行の模様を
収めたDVDがリリースされたと聞くと、これはやっぱり買わんとアカ
ンのが人情(苦笑)。ではDVDをプレイヤーにブチ込み、“劣性亜種”
の復活劇をチェックしてみましょか。あ、ちなみにこの興行『Cold Day
in Hell』ですが、2008年5月24日にカリフォルニア州はレドンド・ビ
ーチのAviation Parkってところで開催されております。

★★DISC-1★★

○冒頭から何やら滑り気味...
  DVDを再生すると、“Cold Day in Hell !”ってしつっこく何度もリフ
 レインされる曲が流れるのですが、これがWWEの“悪ボス”である
 ヴィンス・マクマホン御大のテーマ“No Chance in Hell”にそっくり
 そして会場前にいきなり馬鹿デカいリムジンが横付けされたと思っ
 たら、CWアンダーソンを帯同したヴィンス御大のコス・プレ野郎の
 ミスター・マクフィーナム(Mr, McPhenom)がお出ましや。そやけど
 こやつ、本物のヴィンス御大に比べると上背がなくチンケな事この
 上なしの出来損ない...。悪意を持った“上質のパロディ”、とはと
 てもやないけど取れないこのオープニング。ウーン、画面の中はカ
 リフォルニアの明るい太陽が燦々と降り注いでいるのに、本興行の
 タイトルの如く、“地獄の様に寒ゥ〜い”堪らん雰囲気でっせ...。
○それでも会場内は盛り上がってます!
  ECWにジョーイ・スタイルスが居たように(あ、何を血迷ったか一
 度はXPWにも草鞋を脱ぎましたな)XPWにも名物解説&実況のラ
 リー・リベラ&クリス・クロスが居てまして、まずはこの両名がリング
 上に上がってご挨拶。そして、割れんばかりの(苦笑)XPWチャン
 トの中、今夜の見所紹介などを...。しかし両名の口から出て来る
 のはテリー爺、ニュー・ジャック親分、サブゥ、レイヴェンなど、確か
 に一度はXPWをかすってはいるものの、元々はECWで大成した
 選手の名ばかり(テリー爺は違うけど)。ウーン、ここでもまたもや
 “劣性亜種”具合大爆発ってやつでっか...(苦笑)。
@Kaos vs. Vampiro
  ラリー・リベラとクリス・クロスの前説がまだ続いているのに、ここ
 に現れ出たのはケオス。自らを“オリジナルXPW”と讃え、シェーン
 ・ダグラス(←XPWの立ち上げ&運営に尽力。しかし何故今回の
 復活興行には参加せんかったんやろ)の名前を出してウニャウニ
 ャと難癖を付け始め、その悪口の鉾先がバンピーロに向いたところ
 でバンピーロ本人がお出まし。ケオスの背中に向けて蛍光灯を振り
 下ろし(これでケオスの背中が綺麗にスパッと切れました)、ケオス
 相手の試合が始まりました。そやけどバンピーロ、弛んだ身体を隠
 すためかTシャツ姿で、その上に足元はリング・シューズやなしにた
 だの運動靴。加えて顔面ペイントはなく、髪の毛はさっぱりと短く切
 り揃えてられ、これでは何処をどう見てもリタイヤしてカリフォルニア
 で余生を過ごしている元レスラーってところ。ケオスのクローズ・ライ
 ンを受け、大袈裟に一回転してバンプを取り、そのままフォール負
 けするのが精一杯ってとこでした。
AGQ Money (with Bo Cooper) vs.
 "The Hardcore Homo" Angel (with Kraq)
  XPWの全盛期(って何時や?)、団体内にはロブ・ブラック(この
 人の姿がないのは復活興行としては片手落ちも甚だしいとこやな。
 ま、未だにムショ暮らしなのかも知れんけど)率いるブラック・アーミ
 ーと、そこから分派したエンタープライズってチームがあり、連日連
 夜血みどろの(って程には大袈裟やないけど)抗争を続けておりま
 したんや。で、その両チームのマスコット的存在であったのが、“ハ
 ード・コア・ホモ・セクシャル”のエンジェル(ブラック軍に所属)と、G
 Qマネー(エンタープライズ軍に所属。ちなみに@に出たケオスも同
 僚ですワ)。この両人が、今夜がエンジェルの19歳の誕生日ってネ
 タ(苦笑)を起点に、当時と寸分変わらぬ温ゥ〜い試合をデリバリー
 (苦笑)。で、エンジェルによる生尻ブロンコ・バスターに男根張り型
 攻撃と波状攻撃を受けたGQ、試合をセコンドのブーやエンタープラ
 イズ軍“第3の男”スティーヴ・リゾーノに任せて一度姿を消したと思
 ったらハンディ・カメラに発火装置を仕込んでカメラ・マンに扮し、ダ
 ーティにエンジェルを襲撃...。あ、試合に負けたエンジェルをケ
 アしてあげんと、当時から“エエ仲”であった巨漢の黒人選手クラッ
 クが現れて愛の交歓を行う場面も...(気持ち悪いなァ)。
B場面は変わって...
  J-Love(←様々な源氏名を使って、アチコチの団体を渡り歩く女
 子マネ。本名はElizabeth Miklosi。XPWではポーゴ・ザ・クラウンと
 の間に遺恨あり)がLeroy(かつてはRVDのパロディ・キャラを演じ
 てました)に命じて汚れたリング上を掃除させていると、ここに現れ
 たのが当のポーゴ・ザ・クラウン。Leroyや5人のセキュリティをアッ
 と言う間にブッ飛ばし、か弱きJ-Loveにその魔手を伸ばさんとした
 ところ、「そこらで止めておけ!」と千両役者のサンドマンがバドワ
 イザーを半ケースぶら下げ御出馬。竹刀をポーゴの頭に振り下ろ
 し、河津落としwith竹刀でポーゴを切って捨て、後はJ-Loveをはべ
 らせてお馴染みのビール大会に。おやおや、これはまた楽なお仕
 事ですな、サンドマンさん。   
C場面は変わって...
  初期XPWに居た覆面の長身選手トゥール(Tool)がリング・アナ
 と思われるRon Head氏を下手糞なチョーク・スラムで轟沈。当時か
 ら出来の悪い奴やと思っていたこのトゥール、なるほど下手糞過ぎ
 て恥ずかしいから黒覆面を被っていたんやね。今、分かったワ。
D場面は変わって...
  リング・アナ氏に「元NWA王者。元ECW王者。生ける伝説、テリ
 ー・ファンク!」と紹介され、テリー爺がリング上にお出まし。しかし
 なんやね、ここで元XPW王者と紹介出来んのが少々辛いとこです
 な。どうせ値打ちなんてなかったXPWのベルトやけど、一度は爺の
 腰に巻いて貰ったのなら、ちょっとはステータスも上がったのにね。
 あ、リング上でマイクを握ったテリー爺、「首を痛めて医者からストッ
 プが掛かり、今夜サブゥは試合をやる事が出来まへん」と衝撃のコ
 メント。すると花道にはそのサブゥが姿を現して、「そんな事はない。
 ワシは試合をするデ!」と強行にアピール。ウーン、こうしてサブゥ
 が姿を見せたんやから、XPWも最初っからサブゥの名を騙って銭
 をかすめるつもりではなかったのでしょうが、こんな小芝居を見せら
 れるのは辛いなァ。
ERaven & "White Trash"Johnny Webb
 vs. Khan Kussion & Homeless Jimmy
 (Special Guest Referee: Terry Funk)  
  サブゥの代役として、サブゥのコス・プレで決めた(多分、サブゥの
 ファンなんやろね)Khan Kussionを急遽参加させたタッグ戦。ここで
 はレイヴェン十八番のやる気の全く感じられぬ手抜き丸出しの試合
 がとことん満喫出来まっせ。って、ワシもこんな憎まれ口を書きたく
 はないんやけど、かつての精彩も何処へやらのホームレス・ジミー
 や、テリ−爺との局地戦を置き土産に試合途中で姿を消したレイヴ
 ェンの姿を見ていると、これは正味でボヤきたくもなりまっせ...。
 【追記】テリー爺はああ言っていたけど、試合を放棄したレイヴェン
 をボコりながら、絶対にサブゥは控え室から姿を現す、って思ってい
 たワシなのですが、それは遂に叶わず。そうか、サブゥの首の具合
 って相当悪いんやね...。
FTeam Rev Pro (Ron Rivera & Disco Machine & Joey Ryan)
 (w/ Mr. McPhenom & CW Anderson)
 vs. Team XPW (Jardi Frantz & Vinnie Massaro & X-Pac)
  前述したヴィンス御大のコス・プレ野郎のミスター・マクフィーナム
 がCWアンダーソンを帯同し客席最前列で睨みを効かせる(苦笑)
 中、6人タッグ戦がうやうやしくキック・オフ。当然ここではマクフィー
 ナムの介入があって、X−PACはマクフィーナムとCWによってボコ
 ボコにされてしまいます。けど勝ち星さえ落としたものの、X−PAC
 の逆襲が始まり、マクフィーナムは本家ヴィンス御大同様、キツいシ
 ッペ返しを喰らう羽目に。そして最後はX−PACと観客による、「I G
 ot Two Ward For You !」、「Suck It !」で大団円。おいおい、ECWの
 “劣性亜種”では飽き足らず、今度はWWFの“劣性亜種”でっか
GLuke Hawx vs. Jack Evans vs. Scorpio Sky
  多分、高難度なスポットも盛り込まれたのであろう3WAYダンス。
 しかしDVDの冒頭から滑りまくったネタの数々を観せられ続けたワ
 シには、長丁場になったのであろう本試合を鑑賞するガッツがあり
 まへんでした。すんまへん。本試合、スキップしてしまいました。ご
 めんな、ルークとジャック・エヴァンスとスコーピオ...。
HThe Gangstas (New Jack & Mustafa)
 vs. The Westside NGZ (Big Rott & Chronic)
 vs. B.C. Killer & Mr, California
  The Westside NGZ(片割れのクロニックは00年2月26日の定期
 興行『Baptized in Blood』にて試合中相手に腹を攻撃され、何と3度
 もリング上にゲロを吐いてしまった困ったさん)とキラー&カリフォル
 ニア(←こちらはどうやらギャングスターズの物真似コンビみたい。
 今回、この手のネタが多いなァ)があれこれと揉めていると、そこに
 堂々お出ましとなったのは、“路上の王”ニュー・ジャック親分とムス
 タファ。ECW時代に袂を分かってから約10年、遂にあの名門チー
 ムのギャングスターズが今宵再結成や!。しかしボンクラのThe W
 estside NGZやキラー&カリフォルニアを血の海に沈めたニュー・ジ
 ャック親分、珍しくマイクを握ったと思ったら、相棒のムスタファに向
 う正面最後列設置のカメラの位置を確かめて目線を固定し、何やら
 四方山話を始め出します。で、最初こそSMW【Smorky Mountain W
 restling】時代のムスタファとの思い出話であったものの、NOD(Nat
 ion of Domination : WWFにおけるユニット名。ファルークやD・ロウ
 ・ブラウンなどが主要メンバーであり、あのロック様はここを踏み台
 に大ブレーク)によって“過激黒人思想家チーム”って自慢のネタを
 パクられた(ちなみにWCWには同時期ハーレム・ヒートってチーム
 があって、こちらに対してもECW時代に親分はネタ泥棒って言って
 ましたな)事を愚痴り、続けて刑務所にブチ込まれた事や、ポール・
 EとECWへの思いを吐露して、挙句の果てには客席最後列で観戦
 していた嫁さんまでリングに上げ、「このワシをリングの上で観れる
 のはこれで最後やデ!」と衝撃の告白。おいおい、ニュー・ジャック
 親分ってこれで引退してしもたん?。こんなセコな興行で引退なんて
 したらアカンのやない?。誰か詳しい方、ちょこっとワシにも情報を
 下さいませんでしょうか?。
IXPW King of the Deathmatch Championship :
 Double Hell, Beds of Mouse Traps, Light Tubes,
 Barbed Wire Chairs, Light Tube Barbed Wire Table,
 Light Tube Table & Thumbtacks Death Match
 Supreme vs. Necro Butcher (w/J.R. Benson)
  はいはい、これが今回の一夜限りのXPW復活興行のメイン。スプ
 リームの保持するXPW認定のデス・マッチ王座(まだ有効やったん
 やねェ)にネクロさんが挑むって図式でして、言わば2000年代前半
 の西海岸(スプリーム)と東海岸(ネクロさん)のデス・マッチ・アイコン
 の激突であり、これはなかなかマニアには嬉しい顔合わせではない
 やろか。また個人的にはこの興行の3週間弱前、08年5月6にワシ
 はFU★CKプロが和歌山にて開催した興行にてネクロさんを生で観
 ているんよね。あの日、「またFU★CKプロに来てや!」ってネクロ
 さんに声を掛けて別れた身としては、こうやってDVDの映像でなが
 らも、あの直後のネクロさんの姿を確認出来るって事で特別感慨深
 くもあって。さて、試合の方やけど、スプリームの“らしくない”スープ
 レックスで幕が上がり、おォこれば序盤はレスリング勝負かいな、な
 んて思わされましたが、ネクロさんは十八番の鉄拳と蛍光灯ショット
 でこれを拒否。ここからは各種トラップをふんだんに使い、待ってまし
 たの地獄絵巻や。ただ客人のネクロさんに無理はさせられんと思っ
 たか、リング下の4つの大型トラップの内の2つはスプリームが単独
 で被爆し、残る2つをスプリームとネクロさんが心中被爆するって展
 開で、なるほどスプリームにすると“被虐姿”に値打ちのある選手や
 からこれで間違いはないのやろけど、ネクロさんの側に立つと、「ワ
 シにも見せ場を作らせろ(=トラップに被爆させろ)!」となるはずで
 して、“ネタの被る”2人の激突なら、どうしてもお座敷に呼ばれた方
 (ネクロさん)よりお座敷を用意した方(スプリーム)が最後は美味し
 い所を持って行くよな、などと考えておりました。そやけどスプリーム
 の気配りか、はたまたネクロさんの強引なネジ込みか、終盤には
 足のネクロさんが画鋲の山の上で苦悶のフラ・ダンスを踊るって珠
 玉の名場面が現出し、これで先行するスプリームとの被虐度を縮め
 た(逆転した?)ネクロさん、最後はこの業界の不文律に従ってスプ
 リームにより蛍光灯の束の上へ叩き込まれ3カウントを献上...。
 ウン、試合後の両者の清々しいシェイク・ハンドと言い、これはなか
 なか良い試合でしたな。あれこれとケチを付けた(実際、かなり随所
 で滑りまくっていた)今回の一夜限りのXPWの復活興行ですが、ニ
 ュー・ジャック親分の引退発言(?)とスプリームvs.ネクロさんの激突
 で、最後はなんとか最低限の体裁を保ったって感じです。
 【追記】ネクロさんとシェイク・ハンドを終え、ネクロさんが控え室に下
 がったところで、何故かスプリームは折角防衛したデス・マッチ王の
 証であるベルトをリング上からトラップへと投げ捨ててしまいました
 まさか“フランチャイズ”・シェーン・ダグラスによるあの“NWAのベル
 トのポイ捨て事件”を再現してみたのではないやろし、どうやらバック
 ・ステージではワシら部外者には分からんドロドロとしたものが渦巻
 いているんでしょうな。ま、それもまたECWの“劣性亜種”であるXP
 Wらしくて、非常にプリティ・グッドなんやけど(苦笑)。
【特典映像】
  ここからは約44分間の特典映像。まずは今回の『Cold Day In H
 ell』開催に向けてケーブルTVやネット上などで流されたのであろう
 プレビュー映像の数々がラリー・リベラとクリス・クロスによって紹介
 され、続けて各選手のプロモがあって、最後は今回の『Cold Day In
 Hell』を惜しくも負傷欠場したサブゥのかつての試合映像が(中期X
 PWの頃と思われる、ジョニー・ウェブとの一騎討ち)。ま、これで土
 壇場での欠場をチャラにして下さい、ってところでしょうかね。


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