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Road Wars :
Pittsburgh : Showdown In Steel Town
(VHS-TAPE)
収録時間:約3時間55分 |
本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『Rf-Video』ってちょ
っと怪しいプロレス・グッズの通販屋から1本12ドル(今回は定例の
ECWものなら全て3割引セールに合わせてオーダーしたので、8.4
ドルやった)で発売されている『ECW Road Wars : Pittsburgh : Showd
own In Steel Town』ってタイトルのブツですんや。で、その収録内容
なんですが、タイトルからもお分かりになる様にECWがドサ巡業でペ
ンシルバニア州はピッツバーグへ出掛けた際の名場面&珍場面が、
2倍速なんてワシらに日本人には余り馴染みのないフォーマットを使
ってVHSテープに丸々4時間弱に渡ってランダムに詰め込まれてい
るんです。では早速、テープを再生してみましょか...。
【お勉強の時間】
ピッツバーグは、アメリカ合衆国ペンシルバニア州の西にある地方
都市。州内ではフィラデルフィアに次ぐ大都市であり、かつては五大
湖周辺の鉄鉱床やアパラチアの炭田地帯に近いことから、製鉄業が
発展し、鉄鋼の街(スティール・タウン)として知られ、アメリカのバー
ミンガムとも呼ばれていたことがある(以上、Wikipediaより)。
尚、ECW関連で記するのなら、かの“フランチャイズ”シェーン・ダグ
ラス師匠のホーム・タウンとして有名(この項の文責は道頓堀次郎)。
○仲良し2人組の前説から...
テープを再生するといきなり画面に現れたのは2人の男。そう、こ
の胡散臭い2人こそが『Rf-Video』の悪の首謀者。向かって左側が
ワシの永遠のライバル、ロブ・“少年の菊門が大好物”・フェインシュ
タインで右側がゲイブ・サポルスキー(現ROHのオーナー&ブッカ
ー)。2人して仲良く、本テープの見どころなどを説明しております。
@ECW World Heavyweight Championship :
Shane Douglas (w/Francine) vs.
Lance Storm (w/Tammy Lynn Bytch)
9/12/98 Convention Center, Pittsburgh, PA
“Franchise Country”(ここはダグラスのシマや!/シャーロッテ
をフレアーズ・カントリーって称するののパロディ)なんてサイン・ボ
ードが客席から上がる中、余裕の笑みでリングに歩を進める“フ
ランチャイズ”シェーン・ダグラス。けれどその右肘には大きなギプ
スがギチッと巻かれており、ダグラスの体調自体が決して良くない
事が分かります。そう、(多分)この夜が右肘負傷による長期欠場
からの復帰戦なんや。しかしいきなり本丸のECWアリーナで復帰
するのではなく、ホーム・タウンであるピッツバーグを選んだところ
にダグラスの自信のなさ(=体調が万全でない事)が透けて見えま
すな。ただ、試合自体は完全なるダグラスのワン・サイド・ゲーム。
地元ファンの熱狂的な声援(実際、ホンマに凄いんや)、フランシー
ン嬢の芸心溢れる介入、勿論対戦相手であるランス・ストームも自
身の“役割”はキチンと理解しており、一同一致団結してダグラス
の復帰戦を盛り上げております。
AECW World Heavyweight Championship :
Sabu (w/Bill Alfonso) vs. Shane Douglas (w/Francine)
10/23/98 Convention Center, Pittsburgh, PA
98年10月23日開催の定期興行から選出されたのは、ダグラ
スとサブゥの一騎討ち。ダグラスには凱旋試合って意味合いもあ
ってか、後期ECWの主要興行ではほとんど(皆無かも?)戦う事
のなかったサブゥとのレア・マッチが組まれたみたいなんや。まぁ
確かに直後の98年11月1日に放映されるPPV『November to R
emember 1998』では両者を含む6人タッグ戦が予定されていたた
め、その前振りと位置付ける事も可能なんやけど、それにしてもこ
れはホンマに貴重な映像やないかと思います。その上、ダグラス
の保持する世界王座のベルトが懸けられていた肝心の試合内容
もこれまた充実。サブゥ得意の椅子を用いたトリッキーな攻撃から
場外テーブル葬と、ダグラスは終始押されたままの状態で、止め
にサブゥから五寸釘攻撃までを受けて、額から大流血(珍しいシー
ンですな)。ここで両者がコーナー上段からリングに置かれたテー
ブルへもつれ合って落下し、ダブル・フォールの体勢。すると何処
から現れたかサブ・レフェリーが登場し、メイン・レフェリーとともに
3カウントを数えますんや。しかしこの二人のレフェリー、片方はダ
グラスに軍配を上げ、もう片方はサブゥに軍配を上げるものやか
ら、これでは収集がつきまへんワ。しかもリングにはダグラス一派
のキャンディードやビガロ、サブゥの盟友RVDが駆け付けて更に
混迷度は深まるばかり...。
BECW World Television Championship :
Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Bam Bam Bigelow
10/23/98 Convention Center, Pittsburgh, PA
Aの試合の続きで火蓋が切られたTV王座戦。RVDにしては珍
しく場内ところ狭しと練り歩く乱闘があり、最後はライダー・キック⇒
5★スプラッシュ⇒ライダー・キックwithパイプ椅子で、しつこく粘る
ビガロ(相変わらずのグッド・ワーカー振りでした)を見事にピン。
CTommy Dreamer (w/Francine)
vs. Lance Storm (w/Dawn Marrie)
4/15/99 Convention Center, Pittsburgh, PA
場外戦において、キャスター付きのテーブルを使って“暴力の発
明家”の片鱗を垣間見せたドリーマー。試合のアクセントとしてフラ
ンシーン嬢とマリー嬢によるキャット・ファイトを盛り込み、最後はデ
ス・バレーにてストームをコーナーに立て掛けたテーブルへ叩き込
んで勝ち星をゲットですワ。しかしドサ巡業でのストームって、こん
な“役回り”ばっかりですな...。
DShane Douglas (w/Francine) vs.
Justin Credible (w/Jason & Jazz)
4/15/99 Convention Center, Pittsburgh, PA
Cの試合終了直後、ストームの相方であるジャスティンが竹刀を
振り回してリング上へ乱入。ストームと2人してドリーマーを好き放
題に蹂躙していると、ドリーマーを助けんとここに現れたのが、シェ
ーン・ダグラス。そう、ドリーマーとダグラスは、当時恩讐を超えてシ
ェイク・ハンドしていたんですな。で、始まったダグラスとジャスティ
ンの一騎討ちなんですが、ジャスティンの繰り出した竹刀攻撃がモ
ロにダグラスの側頭部に入ってしまい、これでダグラスは一度花道
を引き下がりつつ息を整えなければならぬ羽目に...。尚、試合
自体はフランシーン嬢の非常に打点の高いハイ・キックがトップ・ロ
ープ越しにジャスティンにブチ込まれ、これを勝機とダグラスが得意
のピッツバーグ・プランジをジャスティンにお見舞いし...。
【追記】
試合経過だけをご覧になられると、単なるドサ巡業での消化試合
の様に思われるかも知れないのですが、(多分)これが“フランチャ
イズ”シェーン・ダグラスのECWでのラスト・マッチ。直後にWCWへ
転出するダグラス、長きに渡ってダグラスを支えて来たフランシーン
嬢、そしてECWの“精神的支柱”であるドリーマー。ジャスティン一
派を蹴散らしリング上で勝ち鬨を上げておりますが、3者の胸のうち
を巡っていた思いってどんなモンやったのでしょうな...。
EECW World Television Championship :
Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Jerry Lynn
4/15/99 Convention Center, Pittsburgh, PA
99年年頭からTV王座を巡って、各地で熱い試合を提供し続けて
来たRVDとリン。今夜もまた20分を超える長丁場の試合となりまし
たが、それでもダレた瞬間を作らぬのはお見事の一言ですな。
FKid Kash vs. EZ Money (w/Chris Hamrick)
6/10/00 Convention Center, Pittsburgh, PA
駆け出しの青二才であるキャッシュが格好良く見える様に、対戦
相手であるマネーとハムリックが懸命に奮闘。ウンウン、2人ともホ
ンマに大変ですなァ。そやけどなんでこんな試合を敢て収録したん
やろかねって思っていると、最後の最後にニュー・ジャック親分がお
出ましとなって、凶刃をハムリックの額に...。なるほど、こんなオ
チがおましたか。しかし重ね重ねお疲れさんでしたな、クリス・ハム
リックさん(ちなみにキャッシュと同じくリッキー・モートンの弟子なん
やて)。
GECW World Heavyweight Championship :
Justin Credible (w/Francine) vs. Jerry Lynn
6/10/00 Convention Center, Pittsburgh, PA
申し訳ないけど、なんとも地味な2選手による世界王座戦。勿論
ピッツバーグでのドサ興行(失礼)で王座が交代するなんて事もま
ずは考えられず、ならばお客さんに喜んでいただくにはこれしかお
まへん。そう、フランシーン嬢のエロエロな仕草(竹刀をシゴく姿な
んて堪りまへんデ)に、ジャスティンの憎々しげな客席挑発行為や。
ウン、それでもまだ足りませんか?。あれあれ、今夜のお客さんは
どちらさんも強欲や。ならばジャズ姉さんを投入し、フランシーン嬢
と絡ませましょか。けど姉さんの一撃がモロに決まって、フランシ
ーン嬢がマジで退場してしもたやんか。アカン、そろそろ試合に幕
を降さんと。よっしゃ、ジャスティンの援護にライノを介入させろ!。
HECW World Television Championship :
Raven (w/Chastity & Lupus)
vs. Shane Douglas (w/Francine)
5/24/97 Golden Dome, Monaca, PA
97年5月中旬のレイヴェンって言うと、WCWへの転出が公然の
秘密であった時期。当然ピッツバーグのお客さんもここら辺りには
敏感であったらしく、一斉に“お前なんか叩き売りじゃ!”チャントで
レイヴェンを迎えます。けど、こんな状況となると困るのはホーム・
タウン・ボーイのダグラスさん。エ、何故困るのや、お客もみんなダ
グラスの味方なんやから、これ程楽な事はないやろ、でっか?。い
やいや、プロレス芸ってのはそんなに簡単なモンやおまへん。そう
です、メジャーへの転出が決まって“やる気”を全くなくしてしまって
いるレイヴェン(元々が気分屋で、しかもぶっちゃけ下手糞)を相手
に、それなりのTV王座戦を構築せんとアカンのやから、考えてみ
ればこれくらい骨の折れるお仕事もありまへんワ。で、ダグラスさん
はワシでも分かる非常に下品な言葉でチャスティティ嬢を軽くイジっ
てやり、試合となるとレイヴェンの不調の左膝に狙いを定めた理詰
めの集中攻撃から必殺のベリー・トゥ・ベリー・スープレックスを用い
るって、文字通り王道ド真ん中の取り口でレイヴェンをピン。なるほ
どね、ダグラスさんクラスとなると、相手がやる気なしのヘタレであ
っても、奇を衒うことなく堂々と王道路線で故郷に錦を飾れるのか。
ウン、これはある意味貴重な試合映像でした。
IWeapons Match :
ECW World Tag Team Championship :
The Eliminators vs. The Dudley Boys (w/Joel Gertner)
5/24/97 Golden Dome, Monaca, PA
大型のバイクに跨ってリング・サイドへ乗り付けたイリミネーター
ズ。リング上にはこれまた武戦派のダッドリーズがデンと構え、嫌
でも血戦のムードが高まって来ます。けど試合開始早々、公認凶
器の一つであるヌンチャクを使ってのポージング合戦が始まり、何
やら試合の雲行きが怪しくなって、遂にはDボンが頭部を、ババが
局部を、それぞれ自身が振り回したヌンチャクにてガツンと痛打し
てしまい、これで折角の血戦ムードもご破算に(苦笑)。確かに中
盤戦、フィニッシュ近辺とワイルドなスポットも沢山あったのですが
ねェ...。ま、コメディ(水)とワイルド(油)って決して混ざらぬもの
を敢て融合しようとした両チームのチャレンジ精神にはワシもケチ
なんて付けませんが。尚、試合はイリミネーターズの十八番である
“完全殺戮”がババとDボンに同時に炸裂して幕となっております。
JECW World Heavyweight Championship :
Terry Funk vs. Shane Douglas (w/Francine)
8/2/97 Golden Dome, Monaca, PA
97年4月13日に放送されたECW初のPPV『Barely Legal』にて
世界王座へ就いたテリー・ファンク爺。さてさて今宵は爺の持つ世
界王座にダグラスさんが挑戦するって事で、“Franchise Country”
のファンの皆さんも気合の入り方が違います。けど、贔屓の引き倒
しって言うか、ここまで爺が罵声を浴びせられるのも珍しいですな
(客席の反応を見て即座にヒールへ転身してみせる爺に拍手!)。
ウン、これまたHと同様に貴重な試合映像や。あ、肝心の試合な
んですが、爺の錯乱パンチをモロに喰らいつつもスクッと立ち上が
ったフランシーン嬢の心意気に心底感心させられ、終盤ダグラスさ
んが爺に放ったベリー・トゥ・ベリー・スープレックスの3連発で王座
交代の淡い期待を持たせ、その直後にサブゥが無法介入し...。
【追記】
サブゥの介入は、この15日後(8月17日)に迫った、ECWとして
は第2弾PPVとなる『Hardcore Heaven 1997』へ向けての前振り。
まずはJでの不本意な敗退に、タッド・ゴードンECWオーナーがダ
グラスに対し、『Hardcore Heaven 1997』での王座再挑戦を約束し、
続く8月9日の定期興行『Born To Be Wired』にてサブゥが爺を有刺
鉄線戦(必見の名勝負)で破って新王者となったものやから、『Hard
core Heaven 1997』では爺とサブゥとダグラスによる3WAYダンス
(あの94年2月5日の定期興行『The Night The Line Was Crossed
: 一線を越えた夜』で初披露されたテリー御大とサブゥとダグラスに
よる伝説の一戦のリ・マッチ)へと雪崩れ込んで行くんです。
KSabu (w/Bill Alfonso)
vs. Tommy Dreamer (w/Beulah)
8/2/97 Golden Dome, Monaca, PA
Jの一戦を破壊したサブゥにドリーマーが突っ掛けて始まったこ
の試合も、ぶっちゃけ『Hardcore Heaven 1997』へ向けての前振り。
しかもサブゥの場合は上記したテリー爺やダグラスさんとの絡みと
は別に、ジェリー・“キングさん”・ローラー率いるWWF派閥の一員
としてドリーマー率いるECW正規軍との絡みもおますんや。そう、
この時期のECWって、幾つものストーリーが実に複雑に、重層的
に絡み合っていたんです。って事で試合はECW正規軍、WWF派
閥のサブゥとRVD、そしてアンチECW正規軍の立場を取るダッド
リーズの面々が好き勝手に乱入し、誰彼なしにド突き合いを始める
ってめちゃくちゃな展開へと発展。そして最後は正規軍一の乱暴者
であるニュー・ジャック親分がダッドリーズをタコ殴りしての大団円。
頼りになる仲間(アクセル・ロットン、ボールズ・マホーニー、親分、
クローナス)とピッツバーグの熱狂的なファンに囲まれ、今宵はドリ
ーマーが勝利の凱歌を高らかに上げております。
LECW World Tag Team Championship :
Tommy Dreamer (w/Francine) & Raven
vs. Steve Corino & Jack Victory
9/10/99 Convention Center, Pittsburgh, PA
車椅子状態のヴィクトリーがコリーノのパートナーでは、いくらドリ
ーマーとレイヴェンが不調(&不協)の真っ最中でも、勝負にはなり
まへん。なので試合はずっとドリーマー1人が戦い、最後の最後に
ライノの介入で一応“赤信号”を灯し、これを合図にレイヴェンがや
っとこさで姿を現して、実に邪魔臭そうに(これも彼の味やね)DDT
を繰り出してドリーマー(&タッグ王座のベルト)を救出。ウーン、皆
さん今夜は楽なお仕事ですな。多分一番キツかったのは、ライノの
ゴアをモロに喰らってみせたフランシーン嬢やね。 |
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