Hardcore Heaven 1996
 South Philadelphia, PA - ECW Arena 1996-6-22
 (VHS-Tape)
 収録時間:約2時間41分
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『Rf-Video』って少
々怪しいプロレス・グッズの通販屋が1本10ドル(在庫処分なのか、
2008年3月期より20ドルから10ドルに大幅値下げされた)で発売
している、ECWによる1996年6月22日開催のフィラデルフィアは
ECWアリーナでの定期興行『Hardcore Heaven 1996』の全容が納
められた代物ですんや。さてさてこのテープ、『Rf-Video』の商品紹
介によると当時興行会場にて販売されていた“オリジナル”だそうで
して、それが証拠にテープは白箱に収められ、あのトミー・ドリーマ
ーのサインまでが入っているって逸品。なるほど映像は無法ダヴィ
ング・テープに比べると少々マシに感じられるし、サインを書いたの
がドリーマー本人であると信じ、そろそろレビューでもしたためてみ
ましょか...。

○今宵も嵐の予感...
  顔がはっきりと映っていないので定かではおまへんが、多分ジョ
 エル・ガートナーと思われるリング・アナをサンドマンが竹刀でボコ
 ボコにシバき回し、続いて“エクストリーム・リング・アナ”のホブ・オ
 ーティースを紹介。
@Shane Douglas vs. Mikey Whipwreck
  ダグラス師匠、マイキーの発奮を引き出してやり、マイキーをネタ
 にして、満場の観客相手にプロレス...。脂っこい笑顔、嫌みった
 らしいマイク芸、マイキーのポテンシャルを最大限にディスプレイさ
 せてやる懐の深さ...。フィニッシュとなったベリー・トゥ・ベリーを
 含め、まさに完全無欠の試合内容でしたワ。
○これがbWoの原点か...
  皆様ご存知ジョーイ・スタイルスがリング上で前口上を行っている
 と、突如会場内にワーグナーの『ワルキューレの騎行』が鳴り響き、
 パトリシア嬢(以前、IWAジャパンに来ていたね)を帯同したバロン
 ・ヴォン・スティーヴィ(←スティーヴィ・リチャーズ扮するバロン・ヴォ
 ン・ラシクのコス・プレ・キャラ)ブルー・ダスト(ブルー・ミーニー扮
 するゴールダストのコス・プレ・キャラ)がお出まし。まァ皆さんも一
 度ご覧になっていただければお分かりになられると思いますが、な
 んとも馬鹿馬鹿しい限りの井出達でして、ジョーイ・スタイルスも呆
 れるしかなかった様子やけど、多分これが後に大ブレークするbW
 o(←nWoのコス・プレ・ユニット)の原点なのでしょうなァ(失笑)。
AThe FBI (J.T. Smith & Little Guido)
 (w/Salvatore Bellomo) vs. The Dudleys
 (Buh Buh Ray Dudley & Big Dick Dudley)
 (w/Dance With Dudley & Sign Guy Dudley & Chubby Dudley)
  “ワイルド・マン”サルバトーレも加わり、一段と重装備(苦笑)に
 なった今宵の“純血イタリア人軍”。まずはJTが『フライ・ミー・トゥ・
 ザ・ムーン』を一節唸って余裕を見せ付けるのですが、対するダッ
 ドリーズもババが十八番のドモリ・ネタ(あ、今宵はドモらず上手く
 喋れたと大喜びやったけど)を繰り出すなどと、一歩も退く様子が
 おまへんデ(苦笑)。で、ようやく始まった試合では、ババが“麦わ
 ら親父”の麦わら帽子をかっさらい、それを自ら被ってファイトする
 なんてお茶目なところを見せたところで、ダッドリー一族とは反目
 しているDボン・ダッドリーが試合に介入。“純血イタリア人軍”は
 おろか、ダッドリー一族(最凶最悪のデカチン・ダッドリーはサル
 バトーレと絡み合ってフレーム・アウトしていました)さえも片っ端
 から撃沈してしまい...。
BTaz (w/Bill Alfonso & Team Taz) vs. Paul Varelans
  96年当時隆盛を誇っていたUFC(アルティメット・ファイト)に対
 して、そんなものはちゃんちゃら可笑しいとECWから声を上げた
 のがタズ。シュート・スタイルのファィトを押し通し、遂にはECW内
 に敵なしと、今宵ポール・ヴァレランスを迎えて一騎討ちを行なう
 事に。さてさて、さすがにプロレスの面子を懸けた一戦だけあって
 (?)、エプロン・サイドにはダグラス師匠、RVD、イリミネーターズ
 ら剛の者が大集結し、いよいよこれは抜き差しならん状態なのか
 と、無闇にこちらの気持ちを煽ります。ただ、この様に非常に期待
 して本試合の映像を観たワシなんですが、このポール・ヴァレラン
 スって奴は確かに身体はデカいけど、たったのワン・ムーヴ見た
 だけで駄目さ加減が露呈するって困ったちゃん...。これでは話
 にならんと、レフェリーのブラインドを突いてイリミネーターズのサタ
 ンがミサイル・キックをヴァレランスに放ち、これを引き継いだタズ
 がヴァレランスをチョーク・アウト。観客席からは“UF Shit”チャン
 トも飛び出し...
 【追記−@】使い物にならなかったヴァレランスと、モロにプロレス
 芸の代物であるサタンの介入ミサイル・キック。この一戦、プロデ
 ューサーのポール・EがUFCを徹底的に茶化すために仕組んだの
 では、なんて書いたら考え過ぎでっしゃろか?。けど、観客席から
 飛び出した“UF Shit”チャントを聞き、バック・ステージでポール・
 Eはしてやったりとニタニタしていたと思うなァ...。
 【追記−A】このヴァレランス戦こそ未収録なものの、直前のヴァ
 レランスとの調印式&記者会見の模様を含め、当時のタズの格闘
 技路線を実に手堅く編集してあるのが、『Rf-Video』から発売され
 ている『Best of Taz : One Man Crime Spree Continues』ってDVD
 −R(レビューもアップ済)。お金と暇がある方、一度どないでっか。
 【追記−B】プロ・レスラーならそこそこワシも知っているんやけど、
 このポール・ヴァレランスって奴はワシの守備範疇外。なのでパン
 クラスのHPに掲載されていたポール・ヴァレランスの経歴ってのを
 無断転載してみました(舟木さん、ゴメンね)。
 格闘技歴はサブミッション・ファイティング、テコンドー、柔道、レスリ
 ング。“北極熊”の異名を取る超巨漢ファイター。U.F.C.に5回出場し
 1995年第7回大会では準優勝した実績を持つ。1996年有明コロシ
 アムの“THE U-JAPAN”でのずっしり重いド迫力パンチ連打で僅か
 31秒で圧勝した試合は観衆の度胆を抜いた。1997年ブラジルのW.
 V.C.3や1998年リングス・オランダ大会にも出場。パンクラス初参戦
 は1997年4月27日東京ベイN.K.ホール大会の柳澤龍志戦。
○サンドマン夫婦に異変が...?
  Gの試合でも改めて触れるけど、ビューラ嬢やカモナ・ワナレイ
 ヤ嬢をことごとくドリーマーに寝取られていたレイヴェン。で、今宵
 はそんなレイヴェンにスティーヴィ・リチャーズの紹介によって近付
 く一人の女性が居てますんや。これ、ピーチズ(サンドマンの奥方
 であるロリ夫人)でして、なんとピーチズはレイヴェンの股間に顔を
 埋めて陶酔している様子。当然サンドマンも姿を現すものの...。
CECW World Heavyweight Championship :
 Raven (w/Stevie Richards & Super Nova)
 vs. Terry Gordy
  レイヴェンの保持する世界王座へ、テリー・“人間魚雷”・ゴディ
 挑むって図式の試合でして、まァこの2人なら誰がどう見てもゴディ
 がめちゃくちゃ強そうに思えるはず。で、ゴディもリング・ベル早々レ
 イヴェンに先手先手で仕掛け、パイプ椅子を何度も振り下ろしてレ
 イヴェンを流血に追い込み、世界王座に手を掛けたかと思わせる
 場面を構築や。ただそこは業界歴の長いゴディ。自分の腰にベル
 トが巻かれる事がないのは承知の上で、それでもヘタレのレイヴェ
 ンごときに負けるのは業腹だったのか、ブライアン・リー、トミー・ド
 リーマー、スティーヴィ・リチャーズらを試合に介入させ、残念無念
 の惜敗ってやつをさり気なく演出ですワ。
 【追記】レイヴェンの非道な勝利を黙って見逃せぬと、サンドマンが
 竹刀を振り上げてお出まし。すると今度はレイヴェンと同じ革のライ
 ダーズ・ジャケットを着用したピーチズ(サンドマンの奥方であるロリ
 夫人)やタイラー君(サンドマンの息子さん)が現れ、レイヴェンとサ
 ンドマンの間に割って入って、サンドマン(←実の旦那であり、実の
 父親であります)に対してレイヴェンの十八番のクルスフィックス・ポ
 ーズ(生きながら葬られて)を。さぁさぁ、ポール・Eも後にお気に入
 りであったと述懐する事になる『宗教戦争』ネタが始まりましたデ。
DECW World Tag Team Championship :
 The Eliminators vs. The Gangstas
  イリミネーターズからタッグ王座を奪取せんと、花道で意気込ん
 で大見得を切るギャングスターズ。するとその背後からサモアン・
 ギャングスタ・パーティやブルース兄弟が現れてギャングスターズ
 の面々を血海に沈める大暴走。勿論ダッグ王座戦などは何処か
 にフッ飛んでしまい...。
EAxl Rotten & Hack Meyers vs.
 The Samoan Gangsta Party 
 (Sammy Silk & Mack Daddy Kane)
  Dのタッグ王座戦を徹底破壊したサモアン・ギャングスタ・パーテ
 ィが改めてアクセル&マイヤーズと激突。試合は一進一退の攻防
 が続くものの、Dでの恨みを晴らさんとギャングスターズが乱入を
 決行し、これを追ってイリミネーターズ、ブルース兄弟もワラワラと
 リング・イン。で、当然この試合もD同様に無効裁定が下るのやけ
 ど、ここまで4軍の遺恨が燃え盛ってはどうにもこうにも収拾が付き
 まへん。「もうここらで止められてはどないでっか?」と若手達がへ
 っぴり腰で仲裁に入るも、4軍8選手から鉄拳が雨あられと降り注
 いでしもて...。
FECW World Television Championship :
 Chris Jericho vs. Pitbull #2 (w/Francine)
  6月1日開催の定期興行にてダグラス師匠からTV王座を奪取し
 たピット・ブル2号(アンソニー・デュランテ)。今宵はクリス・“ライオ
 ン道”・ジェリコを迎えての防衛戦でして、実況のジョーイ・スタイル
 スが「力とスピードの戦いです!」とコメントを発している様に、なる
 ほど2号のパワーとジェリコのスピードが上手く融合したグッド・マッ
 チへと試合は昇華。ただ、どこの世界にも悪い奴は居ているもの
 でして、ベルトを奪われた恨みなのか、突如リング下にダグラス師
 匠が姿を現し、ピット・ブルズの飼い主であるフランシーン嬢の可
 憐な唇を強引に奪うハレンチ行為(苦笑)。しかも飼い主のフランシ
 ーン嬢を救わんと2号がダグラス師匠にラリアットを放ったところ、
 運悪く2号の豪腕はダグラス師匠ではなくフランシーン嬢の首にブ
 チ込まれ...。
 【追記】上掲したピット・ブルズ、フランシーン嬢、ダグラス師匠によ
 るドタバタ寸劇は、7月13日開催の定期興行『Heat Wave 1996』
 (レビューをアップ済)でのビッグ・アングルへ向けた大いなる前振
 り。ここでは詳しく書かないけど、最高にクールなネタなんでっせ。
GWeapons Match :
 Tommy Dreamer (w/Kimona Wanalaya & Beulah)
 vs. Brian Lee
  96年1月5日の定期興行にて勃発したビューラ嬢の爆弾妊娠発
 言(種付けしたのはドリーマー)。で、ガール・フレンドを憎き抗争相
 手に寝盗られたばかりか、妊娠までさせられたとなると、レイヴェン
 の怒りはドリーマー自身よりもドリーマーの股間に鎮座される『伝家
 の宝刀』に一点集中で向いてしまい、嫉妬に狂ったレイヴェンは3
 月30日の定期興行に、ドリーマーの『伝家の宝刀』潰しを狙ってブ
 ライアン・リーを投入。で、4月20日の定期興行『Hostile City Sho
 wdown 1996』ではリーがドリーマーの股間の上でコンクリート・ブロ
 ックを叩き割るなんて場面も作ったものの、なんとビューラ嬢とカモ
 ナ・ワナレイヤ嬢(レイヴェンの新しいガール・フレンド)が実はレズ
 ビアンであり、しかもドリーマーにそれを承知で2人を“お持ち帰り”
 するなんて離れ業をやってのけられ(苦笑)。ってな前段があって、
 またまた組まれたドリーマーとリーの一騎討ち。しかも今宵はウエ
 ポン・マッチでして、各種の公認凶器がリングの上に、足の踏み場
 もない程に散乱しておりまっせ。そして公認凶器で存分に殴り合っ
 た両者はECWアリーナの外へまで飛び出して大暴れ!。最後は
 ビューラ嬢&カモナ嬢の身体を張った助力によりドリーマーが『Ho
 stile City Showdown 1996』での借りを返したものの、直後にブル
 ース兄弟が介入し、ドリーマーはリーによって機材置き場から3連
 テーブルへと力任せにチョーク・スラムで叩き落され...
 【追記】この当時のドリーマーとリーとの熾烈な抗争を実に手堅く
 編集してあるのが、『Rf-Video』から発売されている『Extreme Fu
 eds : Dreamer vs. Lee』ってDVD−R(レビューもアップ済)。お金
 と暇がある方、一度どないでっか。
○本ビデオには未収録ですが...
  実はGの試合によってリングに不具合が発生し、メインのサブゥ
 対RVDを前に、どうしてもリングを一度解体せんとアカン事態とな
 ったそう。で、お客のイライラを少しでも解消しようと、プロデューサ
 ーのポール・Eはカモナ嬢に“本職”のストリップ芸をやって欲しい
 と懇願したんやて。あ、ここらの詳細は以前週プロ誌上にてフミ・サ
 イトー氏が書かれていたし、肝心のカモナ嬢のストリップ(あ、残念
 ながら◎◎も××も開帳されまへん)の映像もサムライTVの『EC
 Wアワー』で放映されたり、『Extreme Warfare Vol. 2』ってビデオ・
 テープに収録されていたりと、結構あちこちで鑑賞可能なはずな
 ので、興味のあるスケベさんは頑張って探してみて下さいな。
 ちなみに下の画像が、当夜のカモナ嬢です。

   

HSabu vs. Rob Van Dam
  4月20日の定期興行『Hostile City Showdown 1996』ではサブ
 ゥが勝ち、5月11日の定期興行『A Matter of Respect』ではRV
 Dが勝ちと、月1ベースで一騎討ちを行い、現在一勝一敗どうしで
 ある両者の、これが数えて3戦目。長くダラダラと書くより、一度ご
 覧になっていただくのが一番なんやけど、今宵もやっぱり両者の
 意地の張り合いが大爆発となって試合は20分を超えるロング・マ
 ッチに。で、RVDが雪崩式のフィッシャー・マン・バスターをサブゥ
 に放ったところ、サブゥは“首がつまった”感じで脳天から真っ逆さ
 まにリングに叩き付けられ...。「これはアカン」と、咄嗟に判断
 〜善後処置を行ったRVD。キチンと最後まで任務を果たしたサ
 ブゥ。よっ、どちらもエエ仕事振りですな。
 【追記】相当首を痛めたのか、担架に乗せられて退場するサブゥ。
 けどサブゥもRVDもプロデューサーのポール・Eも、こちらの想像
 以上のしたたかさ。なんと今宵のアクシデントを逆手に取って、8
 月3日の定期興行『The Doctor Is In』では担架戦をブチかまして
 くれよるんやから...。


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