Heat Wave 1995
 South Philadelphia, PA - ECW Arena 1995-7-15
 (VHS-Tape)
 収録時間:約1時間51分
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『Rf-Video』って少
々怪しいプロレス・グッズの通販屋が1本10ドル(在庫処分なのか、
2008年3月期より20ドルから10ドルに大幅値下げされた)で発売
している、ECWによる1995年7月15日開催のフィラデルフィアは
ECWアリーナでの定期興行『Heat Wave 1995』の全容が納められ
た代物ですんや。さてさてこのテープ、『Rf-Video』の商品紹介によ
ると当時興行会場にて販売されていた“オリジナル”だそうでして、
それが証拠にテープは白箱に収められ、あのトミー・ドリーマーのサ
インまでが入っているって逸品。なるほど映像は無法ダヴィング・テ
ープに比べると少々マシに感じられるし、サインを書いたのがドリー
マー本人であると信じ、そろそろレビューでもしたためてみましょか。

○開演に先立って...
  “特権執行&上級”レフェリーのビル・アルフォンソと“ECW初代
 オーナー”のタッド・ゴードンが例によってオトコ版キャット・ファイト。
@Mikey Whipwreck vs. "Stormin" Mike Norman
  常に見下した態度でマイキーと戦い、節目節目で客席のヒートを
 買って、最後はマイキーのぶさいくなハリケーン・ラナを喰らってあ
 っさりと負ける。ノーマンさん、実に職務に忠実な働き様ですな。
AECW World Tag Team Championship :
 Raven (w/Beulah McGillicutty) & Stevie Richards
 vs. Broadstreet Bully (Tony Stetson) & Don E. Allen
  6月20日開催のフィラデルフィアはジム・ソープでの定期興行に
 おいてパブリック・エネミーからタッグ王座を奪取したレイヴェン&
 リチャーズ。今宵はかつての手駒の一人であったステットソンらを
 相手に防衛戦や。さてさて客席最前列からはリチャーズに向けて
 フランシーンちゃんが黄色い声援を飛ばし、リチャーズも実に嬉し
 そうなんですが、止せばエエのに2人は試合中にディープ・キスま
 でおっ初めてしまい、なんとこれでリチャーズがカウント・アウト負
 け...(苦笑)。ま、この裁定ならベルトの移動はなく、レイヴェン
 &リチャーズとしても結果オーライなんやけど、そんな茶番を許せ
 ぬのがレイヴェンに寄り添うビューラ。客席のフランシーンちゃん
 に掴み掛かり、股間剥き出しのキャット・ファイトに突入や。また知
 らぬ間にレイヴェン一派と袂を分かった(少なくとも7月1日開催の
 定期興行『Hardcore Heaven 1995』では分裂していなかった)ピッ
 トブルズがレイヴェンらに仕掛け、これを追って“オリジナルのダッ
 ドリー3兄弟”(ビッグ・ディック、リトル・スノット、ダッドリー・ダッドリ
 ー)、トミー・ドリーマーらもわらわらとリング上へ...。
BHack Meyers vs. Val Puccio
  @同様、人気者と嫌われ者による典型的な試合。最後はマイヤ
 ーズが“偶然”ヴァルをフォールするんやけど(苦笑)、そんな結末
 がブロンクスのタフ・マン・コンテストの優勝者であるヴァルには受
 け入れ難いと見え、巨体でマイヤーズを圧殺して鬱憤晴らしを。
CRaven (w/Stevie Richards & Beulah McGillicutty)
 & Little Snot Dudley & Dudley Dudley (w/Big Dick Dudley)
 vs. Tommy Dreamer (w/Luna Vachon) & Pitbulls
  Aの流れを引き継いだ、やけに客演陣が豪華絢爛なタッグ戦。
 またカードに名前はないけど、ピットブルズのフィニッシュ・ムーヴ
 であるスーパー・ボムを喰らってKOされたリチャーズを心配し、フ
 ランシーンちゃんがリングに上がってピットブル1号に掴み掛かり、
 「しつこいわね、またアナタなのッ?!」とビューラがフランシーン
 ちゃんを追撃するシーンも。あ、そんなこんなのドタバタ劇は、リト
 ル・スノット・ダッドリー(直訳すると鼻水垂れ)がピットブルズのス
 ーパー・ボムにて轟沈されて幕となっております。
DDean Malenko & 2 Cold Scorpio
 vs. Eddy Guerrero & Taz (w/Paul.E.Dangerously)
  4月15日開催の定期興行『Hostile City Showdown 1995』、5
 月13日開催の定期興行『Enter the Sandman 1995』と、連続し
 てECWアリーナの常連客を熱狂の坩堝へ叩き込んだエディとマ
 レンコの一騎討ち。ではそろそろ第3回目を、と誰もが思ったでし
 ょうが、毎回毎回エディとマレンコの一騎討ちでは、ネタ切れも早
 いとプロデューサーのポール・Eも考えたか、今宵はエディ側にタ
 ズ(マレンコやベノワと抗争歴あり)、マレンコ側に2・コールド(エ
 ディにTV王座を奪われた過去があり)って、何とも適役の共演陣
 を配してのタッグ戦をプレゼンテーション。試合は勿論高レベルで、
 最後はタズが2・コールドをフォール。ウンウン、エディにも、マレン
 コにも土を付けたくない団体側の思惑もチラチラと窺えますなァ。
 で、試合決着後にハプニングが勃発。なんと『RF-VIDEO』の主宰
 者にして少年愛嗜好者(失礼)でもあるロブ・フェインシュタイン
 突如リングに上がり、ポール・Eとの抗争プロモを敢行。ポール・E
 に胸を突かれたロブ君、逆切れしてポール・Eに鉄拳を食らわし、
 それでも飽き足らぬとストンピングの嵐を見舞うなどの大暴走や。
 けどロブ君、最後には『紛争処理係』がギミックの巨漢レスラー91
 1により特大チョーク・スラムを喰らって見事な昇天。ウン、これは
 ロブ・マニア(←居るのか、そんな奴?)も必見の映像でっせ!。 
 【追記】ECWマットでのエディとマレンコの名勝負数え歌の全容を
 手早く知りたいのなら、『RF-VIDEO』が編集した『The Super New
 Malenko vs. Guerrero Classic』ってVHSテープがお勧め。4時間
 以上に渡っても詰め込まれたプロレス絵巻、ご賞味あれ。
EECW World Heavyweight Championship :
 Sandman (w/Woman) vs. Axl Rotten
  95年1月7日開催の定期興行にて勃発したアクセル・ロットンと
 イアン・ロットンとの骨肉の争い。後世に語り継ぐべき両者の遺恨
 劇はそこから半年の時間をかけ、各種のデス・マッチを導入し、遂
 に7月1日開催の定期興行『Hardcore Heaven 1995』での最終形
 態『タイペイ・デス・マッチ』(←各々が割れたガラスの破片をバンテ
 ージに付けて武装し、ただただ殴り合うってムチャクチャな代物。
 多分、甲羅がデコボコになった“タイペイ亀”から発想されたもの)
 へと辿り着き、イアン・ロットンが大流血の末に轟沈して幕となった
 のは皆様ご存知の通り。で、どうやらイアン・ロットンは仕事内容と
 それに対する評価(ぶっちゃけ、銭?)の差にポール・Eと意見が
 合わず、これが引き金となってECWを退団。自身でIWA−MIDS
 OUTHを旗揚げするんですワ。そして一人ECWマットに残ったの
 がアクセル・ロットン。手の合う相棒イアンを失って失意のドン底に
 居るのかと思ったら、心機一転ピン芸人となってサンドマンの保持
 する世界王座に挑戦するってビッグ・チャンスをゲットや。ウーン、
 この突然のマッチ・メイク、もしやECWを見限ったイアンへの面当
 て、もしくはECWマットに残留したアクセルへのご褒美なのかも。
 さてさて前置きが長くなったけど、試合はサンドマンの竹刀攻撃を
 嫌になるほど喰らったアクセルが、それならこっちはこれじゃと有
 刺鉄線バットを持ち出して俄然ヒート・アップ。中盤以降は互いに
 相手を有刺鉄線でグルグル巻きに締め上げ合い、共に一歩も譲
 らぬ好勝負を披露。最後こそアクセルがサンドマンのレッグ・ドロッ
 プに沈んでしまいましたが、ピン芸人アクセルの新たな船出に相
 応しい、血生臭くもハート・ウォームなグッド・マッチとなりました。
FSteel Cage Match :
 Luna Vachon vs. Stevie Richards
  5月13日開催の定期興行『Enter the Sandman 1995』で登場
 して以来、ドリーマーをサポートし徹底してアンチ・レイヴェン一派
 の立場を取り続けるルナ・バション(実はヴァンパイア・ウォリアー
 の奥方)。特にリチャーズとの対立関係は抜き差しならぬ状況へ
 と至ったようでして、遂に“史上初の男女金網戦”にて文字通り
 雌雄を決する事に。で、注目の試合内容なんやけど、ルナが
 緒正しき狂犬一家の血筋全開のファイトでリチャーズに襲い掛か
 り、リチャーズを血だるまにして、最後は問答無用の金玉へのク
 ロー攻撃(苦笑)。さすがにこうまで攻められては、リチャーズも
 タップするしか術がおまへんでした。ウン、馬鹿馬鹿しいと言え
 ばとことん馬鹿馬鹿しい一戦やったけど、女性でしかも業界の
 大先輩であるルナ相手に全く手加減しなかった(いや、怖くて出
 来なかった?)リチャーズへの1票を含め、これは意地でもグッド
 ・マッチ。ルナ、リチャーズ、ホンマにありがとう。
 あ、試合決着後の金網内ではドリーマーとレイヴェンの番外戦が
 勃発。数ヶ月に渡ってレイヴェンに煮え湯を飲まされ続けて来た
 ドリーマー、手錠を使ってレイヴェンを金網に磔にして力の限りパ
 イプ椅子で殴り付け...。
GSteel Cage Match :
 The Gangstas def. Public Enemy
  6月17日開催の定期興行『Barbed Wire, Hoodies and Choke
 slams』にて突如ECWアリーナに現れ、ECWマットで一番の人
 気チームであるパブリック・エネミーに卑劣きわまるテロ行為を
 仕掛けたギャングスターズ。続く7月1日開催の定期興行『Hard
 core Heaven 1995』では念願かなって晴れてパブリック・エネミ
 ーと一騎討ちを行ったものの、アリーナ全体を戦場とした大乱
 戦の末に惜敗したのは既報の通り。ただそれで大人しく引き下
 がるようなギャングスターズではなく、今宵こうして金網戦での
 再戦が決定。さてさて試合は例によって例の如くの大乱戦でし
 て、金網頂部より“フライ・ボーイ”ロッコー・ロックがフィニッシュ
 を狙ってニュー・ジャック目掛け、2連テーブル式月面水爆を放
 ったものの(ニュー・ジャックはモロに被弾)、直後のドサクサに
 紛れムスタファがちゃっかりジョニー・グランジを泥棒フォール。
 ウーン、ギャングスターズは悪どいだけではなく、抜け目もない
 ってとこでしょうか。


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