Falls Count Anywhere
 Peoria, IL 2000-7-22
 (DVD-R)
 収録時間:約2時間8分
 ECW存命時に地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
【Extreme Fan Cam Series】と称して怒涛のリリース・ラッシュでワシらE
CWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2007年3月期に発売された4タイトルの内
の1タイトル。イリノイ州はペオリアにて、ECWが2000年7月22日に
開催した定期興行の模様を収録したものですワ。

○TNN Opennig
  今宵の興行、まずはECWの定期放送番組であった『ECW WREST
 LING TNN』(放送を受け持つのはTNN局)のネタ収録からスタート。
 で、何時もならジョーイ・スタイルスが仕切る本コーナーなんやけど、
 何と今宵花道に姿を見せたのは生ギターを抱えたスマッシング・パン
 プキンズのビリー・コーガン!。やおらリングへと上がり、椅子に腰掛
 けて一曲歌おうとしたところ、やっぱり出て来ましたデ、お邪魔虫が。
 そう、スティーヴ・コリーノ、ジャック・ヴィクトリー、スコッティ・アントン
 を従えたルー・E・デンジャラスリー(←ポール・Eのコス・プレ野郎で、
 その正体は元ダッドリーズ専属太鼓持ちのサイン・ガイ・ダッドリー)
 でして、ルー・Eはマイクを握ると憎々しくコーガンに詰め寄り、「お前
 の音楽なんてクソだ、とっととここから出て行け!」とケチを付け出す
 始末。当然ルー・Eの頭には、コーガンの振り下ろす生ギターがメリ
 込むんやけど、それを黙って見逃すコリーノらやおまへん。で、早速
 コリーノとアントンがコーガンを取り囲むと、これは一大事とトミー・ド
 リーマーとジェリー・リンもリング・イン。即刻両軍はキナ臭くなり、ドリ
 ーマーの発案にて、今宵のメインで両軍がエニイウェア・ルールのデ
 ス・マッチで激突する事が決定!。おぉ、今宵は『大ネタ』ですなァ
@Kid Kash
 vs. Redd Dogg (w/Bilvis Wesley & Prodigy & Prodigette)
  当時の定番(そして、キャッシュが必ずヘボするのもお約束)オープ
 ニング・マッチ。セコンドのプロディジーの介入も蹴飛ばし、キャッシュ
 がドッグを両腕を極めて放つパイル・ドライバーにてフォール。しかし
 このフィニッシュ・ムーヴの危なっかしい事と言ったら...。ドッグも
 下手糞のキャッシュに大事な我が身を任さないとアカンとは、さぞ怖
 かったやろね。
ASimon Diamond & Swinger (w/C.W.Anderson)
 vs. Christian York & Joey Matthews
  “お前等、いったい誰なんや?!”チャントで盛大(苦笑)に迎えられ
 たのは、ヨーク&マシューズの若手コンビ。罵声に挫けず、口達者な
 サイモンに鉄拳を見舞って試合を強引に始めてはみたものの、売り物
 の空爆攻撃が単発ではどうしても決定打不足。サイモンのネチネチし
 たファイトと、セコンドであるCWの豪快なスパイン・バスター(←あの
 名優“AA”を彷彿とさせるよるね)により、苦汁をなめさせられる結果
 となりました。
BPsicosis vs. Yoshihiro Tajiri
  今宵、“狂人仮面”シコシスとの一騎討ちを組まれたタジリ。自信た
 っぷりに花道で大見得を切っていると、思わぬ事件が勃発。そう、突
 如タジリの背後から『純血イタリア人軍』のグイドー&サルが急襲を
 仕掛け、これでタジリは額を割られ戦闘不能状態に。あれあれ、
 やら『雪の札幌事件』(←若い人は知らんやろね)みたいな展開です
 が、とりあえずタジリの代役はワシに任せろと、グイドーが強引に試
 合の権利を奪取。シコシスを相手に、一進一退の攻防を演じて見せ
 ますんや。で、この試合ですが、最後は憎きグイドーへの復讐に燃え
 るタジリがレフェリーのブラインドを突き、切れ味鋭い日本製丸ノコ蹴
 りをブン回して介入。本来なら対戦相手であったはずのシコシスの逆
 転勝利に、結果として貢献してしまう形となってしまいました。ウンウ
 ン、さすがはタジリ。やられたらやり返せって業界の鉄則に則った見
 事な復讐劇やないの。「こんな会社、辞めてやるゥ〜!」なんて恥ず
 かしくもなく泣きベソかきながら雪の札幌の街へと姿を消した、何処
 かの誰かさんとは大違いですな(大笑)。
CEZ Money & Julion Dinero (w/Chris Hamrick)
 vs. Chris Chetti & Nova
  序盤から何度も何度もうるさく試合に介入するハムリックにレフェリ
 ーがブチ切れ、マネー組の反則負けを宣告するんです。けどこれに
 異を唱えたのはチェッティ。レフェリーに対し、「おいおいここはWWF
 でもWCWでもなく、ECWなんやデ。細かい事を言うな、3対2のハン
 ディ戦でやってやるワ!」と力強くアピール。となると、当然この試合
 の結末はチェッティ組の大勝利で目出度し目出度し、って奴ですな。
DECW World Heavyweight Championship :
 Justin Credible (w/Francine) vs. Danny Doring
  ジャスティンの保持する世界王座にドーイングが挑むって構図の試
 合でして、当時の両者のポジションからすると、これはどの様に捻くり
 回しても“結末の見えた”顔合わせ。けど世界王者であるジャスティン
 には、勝敗は二の次、三の次で、まずはライヴのお客さんに楽しんで
 貰わなくてはって義務が重く圧し掛かります。しかしジャスティンもここ
 らは先刻承知済み。抜群の“プロレス頭脳”を持ち合わせるフランシー
 ン嬢を上手く使い、ドーイング相手に及第点以上の世界王座戦をクリ
 エイトして見せましたデ。成るほど、こうしてドサ巡業でレスラーは腕を
 磨いて行くんですな。
EYoshihiro Tajiri vs. Tony Mamaluke
  Bで『純血イタリア人軍』にまんまと出し抜かれたタジリ。事件の主
 犯格であるグイドーには復讐をしたけど、まだまだあれでは暴れ足り
 ぬと、『純血イタリア人軍』の若番頭ママルーク相手に一騎討ちをや
 る事に。試合開始早々、額に巻いた包帯をママルークに剥ぎ取られ、
 傷口からタラリと流れ落ちる鮮血で顔面を怪しく染める場面なぞ、思
 わず「よっ、この千両役者!」なんて声を、モニター画面の中のタジリ
 に掛けたくなりまっせ。試合は粘るママルーク(この人も小柄やけど、
 腕のエエ選手やね)に緑の毒霧攻撃〜垂直落下式のブレイン・バス
 ターと、タジリが必殺のフル・コース料理で引導渡し。あ、試合後には
 またもやグイドー&サルが現れ、ママルークと結託してタジリを蹂躙。
 『純血イタリア人軍』とタジリ、いよいよ抜き差しならぬ状態となって来
 たみたですな...
FECW World Television Championship :
 Rhino vs. Chilly Willy
  ライノの保持するTV王座にチリーが挑むって構図の試合。さてさて
 注目の一戦(Dと同様、両者のポジションを思うと、これまた“結末の
 見えた”顔合わせではありますが)なんやけど、チリーが都度都度独
 特のリズムでお尻を振り振りするので、意外にもライノは自身のペー
 スを丸で掴めず、思わぬ悪戦苦闘。十八番のゴアからパイル・ドライ
 バーに繋いでベルトだけは何とか守ったけど、どんなに強いレスラー
 にも、どうしてもやり辛い相手ってのは居るモンなんですな。
 あ、試合ではエエとこなしであったライノ。このままでは控え室に戻る
 事など出来ぬと、リング下からテーブルを引っ張り出し、それをコーナ
 ーに立て掛けて、テーブル貫通式のゴアを見舞うための下準備。と、
 ライノの背後に姿を見せたのは、“ちょっと酒臭い桃太郎侍”こと我等
 がサンドマン。守護神である竹刀をライノの頭に振り下ろし、そのまま
 掟破りのテーブル貫通式のゴアをライノに!。あれあれ、ホンマに今
 宵のライノは泣きっ面に蜂ってとこですな。リング上ではジャストのタ
 イミングで流れ出した『エンター・サンドマン』をバックに、チリーと“ち
 ょっと酒臭い桃太郎侍”が缶ビールで酒盛りを始めだしましたワ。
GRob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Roadkill
  ボンクラのスコッティ・アントンを相手にした、どうにもこうにも全く盛り
 上がらなかった抗争劇も、7月16日放送のPPV『Heat Wave '00』に
 て一応はピリオド。で、RVDが『新章』へと新たな一歩を気持ち良く踏
 み出すにあたり、まずは口直しにでもと組まれたのがキルとの一騎討
 ち、なんて書いたらアントンの立場がなくなるか。キルの巨体を持て余
 して、攻め込まれるRVD。と、すかさずアルフォンソが“RVD”チャント
 を仕掛け、メンタル面でRVDを好サポート。最後はやっぱりヴァン・ダ
 ミネーターから5☆スプラッシュで締め。さあさあRVDさん、これで口
 直しとなりましたやろか...?。
HFalls Count Anywhere Death Match :
 Tommy Dreamer & Jerry Lynn
 vs. Steve Corino (w/Jack Victory) & Scotty Anton
  冒頭のドタバタ騒動が発端となって急遽(苦笑)組まれた、エニイウ
 ェア方式のタッグ・デス・マッチ。まずはドリーマーとアントン、リンとコ
 リーノの組み合わせでいきなり客席の奥へと分け入ってド突き合いを
 演じ、お客のハートをガッチリと鷲掴み。また、ここでは珠玉のブレー
 ド・ジョヴを見せてくれるコリーノにも要チェックでっせ。試合は中盤、
 ドリーマーが自ら控え室より持ち込んだ大型の梯子を使い、そこに自
 身の額や股間を打ち付け、『暴力の発明家』の由縁をほんの少しだけ
 やけど披露。そしていよいよ試合も終盤。自軍の劣勢を悟ったヴィク
 トリーがカウ・ベル(あのダスティ・ローデスが元々の所有者で、今は
 理由あってコリーノが所有)を手にリングに上がったところ、その背後
 に現れたのは、冒頭のドタバタ劇の主人公であったビリー・コーガン
 コーガン(コーガン、コーガンと何度も書くと、どうしても睾丸を思い出
 してしまうなァ...)、身を挺してヴィクトリーの介入を阻止し、これが
 ドリーマー&リンの逆転勝利へと直結や。ま、正直なところ、若干です
 がこれがデス・マッチかいな、なんて憎まれ口を叩きたくなる場面もあ
 ったものの、リングの真ん中に立てた大型梯子にドリーマー、リン、コ
 ーガンの三人が登って堂々勝ち鬨を上げている様子を見ると、やっぱ
 りドサ巡業の締めはハッピー・エンドに限るな、なんて呟くワシが居て。
 さぁ、後は放送用の素材として今宵撮り貯めた各種の『ネタ』を、TNN
 局の編集者がどの様に料理して定期放送番組『ECW WRESTLING T
 NN』の電波に乗せるかだけ。頼みまっせ、美味しく料理してや!。
 ※実は我が家には、今宵の興行の模様が収録された『ECW WREST
 LING TNN』のVHSテープがあるんですワ。ま、各種の『ネタ』が実際
 にどの様に料理されたのか、については別の機会にでも報告させて
 いただきます。って事で、今回はここまで。皆様、おやすみなさい。


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