Bloodstock 2006
 Oct 29th 2006 - Toronto, Canada - The Opera House
 (DVD-R*2)
 収録時間
 disc-1:約1時間35分 disc-2:約1時間1分
 本作はDVDではなくって、DVD−R。当HPでは既にお馴染みの米国
独立団体映像通販ショップ『SmartMarkVideo』から、2枚組で送料別20
ドルにて発売されている団体公認の代物です。
さてさて今回ご紹介するのは、カナダにある【Stranglehold Wrestling】な
る独立団体(実際は団体やなしに、今興行一度っ切りの名称かも?)が
2006年10月29日にトロントのオペラ・ハウスってところで開催した、カ
ナダでは初となるワン・ナイト・デス・マッチ・トーナメント、その名も『Bloo
dstock 2006』の全容を収めたもの。日本国にも一部に熱心なファンを持
つカナダのIWS【International Wrestling Syndicate】からの精鋭や、デ
ス・マッチの先進国である米国からCZW周辺に出没するフリーのデス・
マッチャーを招聘し、晴れて今宵の興行開催となったみたいや。まァ、当
初は米国からトビー・“狂気人間”・クレインやデランジドらも呼ぶつもりや
ったみたいで、それを思うと舞台裏はさぞやドタバタしたんやろ...。
では前置きはここらにして、早速DVD−Rを再生してみましょ。 

★★DISC-1★★

@BJ Stardom vs. Asylum
  カナダでは初開催となる、記念すべき今回のデス・マッチ・トーナメン
 トですが、まずは非トーナメント枠の試合でお客のご機嫌伺いを。非常
 に短時間でアサイラムのサイド・スラムにBJが敗退となりましたワ。
 正直、場末のインディの第1試合って感じですな。 
AHammer vs. Notorious TID
  先の試合に出場したアサイラムがライノもどきなら、竹刀を持って見
 得を切るTIDはまんまサンドマン。どいつもこいつも憧れの選手に近付
 かんと、まずは身なりや仕草をコピーするところから入ったみたいやね
 (苦笑)。さて試合なんやけど、折角ボディ・チェックの際にレフェリーか
 ら凶器所持を咎められるってネタを仕込んだのに、これをTIDは少しも
 活かせず、これまた非常に僅かな時間で竹刀攻撃一発によってハン
 マーを昇天させるのが精一杯。ま、鋭意作製中の背中の刺青同様、T
 IDもまだまだこれからの選手ってとこやね。で、そんなTIDに何も出来
 ずに敗退したハンマーとなると......。 
BHornet vs. Aurora vs. Beef Wellington
  女子選手のオーロラを交えた3WAY戦(ここまでが、トーナメントとは
 別枠の試合)でして、ホーネットとウェリントンが女子のオーロラを懸命
 にキャリーし、試合を構築しようとしているのが、ヒシヒシとこちらに伝
 わって来ますな。が、ホーネットにしてもウェリントンにしても、まだまだ
 他人様をキャリーしてやるには腕不足。ホーネットのフロッグ・スプラッ
 シュがウェイリントに決まり、ここで試合に幕が下ろされました。
CBloodstock 2006 Tournament 1st round #1
 Necro Butcher vs. Viking
  いよいよここからがトーナメント枠の試合。今回は8名の選手が参戦
 しており、予選が4試合⇒準決勝戦が2試合⇒優勝決定戦と、とても
 分かりやすい“番組表”が用意されております。で、注目の予選第1試
 合に姿を現したのは、我等が“デス・マッチ・ジーザス”ネクロ・ブッチャ
 ー!!。さすがにネクロさんの名は国境を越えて当地カナダにも伝わ
 っているようで、お客達の熱い“ネクロ・チャント”も。そしてこれに気を
 良くしたか、ネクロさんは対戦相手のヴァイキング(顔面ペイントこそし
 ていないものの、お笑い芸人の鉄拳にそっくり)の薄い胸板に逆水平
 チョップの雨を降らせ、場外に連れ出してシバき回し、お愛想でヴァイ
 キングからの蛍光灯によるフット・スタンプを股間で受けてやって、最
 後はタイガー・ボムからクローズ・ラインで一方的に完勝や。ウン、こん
 なネクロさんもたまにはエエな。 
DBloodstock 2006 Tournament 1st round #2
 LuFisto vs. Juggulator (w/Woody Numbers)
  予選第2試合はワシには驚きの連発やった。何故って、まずはCZW
 認定のアイアン・マン王座を持っていると紹介されたルフィストが、なん
 と女子選手であり、加えて対戦相手のジュガレーター(←女子相手で
 如何にも戦い辛そうやった)と組み合った早々、場外戦で鉄柱攻撃ス
 ポットを志願し、額を割って見せよったんやモンな。いや、それどころか
 パイプ椅子攻撃のバリエーションから、ジュガレーターをコーナーに座
 らせ、セントーン・アタック(withパイプ椅子)⇒顔面ウォッシュ・キック⇒
 顔面ウォッシュ・キック(with蛍光灯)で、文句一つ付け様のない勝利
 を収めよったデ!。ウーン、女子選手のデス・マッチと言えばイアン・ロ
 ットン総帥の愛弟子であるミッキー・ナックルも居てるけど、このルフィ
 ストってのもミッキーに負けず劣らず、性根がドカリと座っとるワ
 ※ルフィストにボコボコにされ、正味で大流血となったジュガレーター
  さん。ホンマにお疲れさんでしたな。グッド・ジョヴでしたデ。 
EBloodstock 2006 Tournament 1st round #3
 SeXXXy Eddy vs. Mad Man Pondo
  予選第3試合はセクシー・エディとマット・マン・ポンドの一騎討ちって
 図式でして、お約束となった試合前のエディによる女性客へのセク・ハ
 ラ儀式を無事終え、そろそろここらで試合開始のゴングかいなと思った
 ら、チョットしたハプニングが発生。そう、頭がイカれた(←呑み過ぎ?、
 それともクスリでもキメていたの?)お客がリングに上がろうとしてひと
 暴れしよったんてすワ。けどポンドも慣れたもので、そのお客を上手く
 やり過ごして、やっとこさで試合開始。まァ、試合そのものはエディによ
 るエロ・ビデオ攻撃や、ポンドのSTOPサイン攻撃など、言葉は悪いけ
 ど“安心”して見ていられる代物。最後はエディの月面水爆を寸ででか
 わしたポンドが、エディを垂直落下式のブレイン・バスターにてパイプ
 椅子に叩き落として勝利をゲットですワ。ウーン、これって決して悪く
 はない内容やったけど、前述したハプニングを含め、試合前にこそ見
 所があった、なんて書くと両選手に対して失礼でしょうかね...。 
FBloodstock 2006 Tournament 1st round #4
 Bloody Bill Skullion (w/Dirty Little Bastard)
 vs. Independent Soldier
  予選第4試合も、これまたいろいろな意味で見所が満載。まずはス
 パイク・ダッドリーに身体もコスチュームもうりふたつのソルジャーに苦
 笑いさせられ、続いて現れたビルに至ってはいきなりビール瓶の破片
 で自身の額を切り裂くパフォーマンス(←まさか確信的なケーフェイ破
 り?)を披露。いやはやここまででもうこっちのお腹は満腹なんやけど、
 肝心の試合となっても、ビルなどは決してワシらを飽きさせるなんて事
 はしまへんデ。ソルジャーに足四の字固めを決めさせたビル、隠し持
 ったオイルを口に含み、ソルジャーに火炎攻撃を見舞って足四の字固
 めから逃げ出すつもりが、オイルをゴクリと飲み込んでしまいよった!
 我が日本国でも、愛すべき浅野“オトコはつらいのよ”起州社長が19
 99年10月20日、新宿公園にプロレス記者を集めて火炎攻撃のデモ
 を行った際、オイルを飲み込んでしまったなんて笑えぬ小芝居がおま
 したが、今回のビルの失態は、もしや浅野社長へのシンパシーの表
 れやったのかも!?。尚、この試合ですが、改めてビルが火炎パンチ
 をソルジャーに見舞い、準決勝戦へと駒を進めております。
GRandom Acts Of Stupidity
  予選もつつがなく(苦笑)終わり、ここらでちょっとトイレ休憩。けどお
 客様を退屈させてはならんと思ったか、男性二人組の身体を張ったド
 タバタ・コントが行われる事に。ネタは金的蹴りごっこ、ゴム・パッチン
 遊び、胡椒の早や吸い競争(←まさかヤバ系のクスリやないやろ?)、
 乳首への洗濯バサミ、生尻への空気銃発射、舌でねずみ獲りトラップ
 を喰らう、などと万国共通や。それにしてもこんな奴らを呼ぶとは、主
 催者サイドの企画力のなさが見え見えですな。

★★DISC-2★★
 
@Jake "The Snake" Roberts vs. Matt Burns
  興行も折り返し点となり、ここで今宵の特別ゲストが登場。なんと、あ
 のジェイク・“ザ・スネーク”・ロバーツが堂々お出ましされましたんや。
 まずはマイクを手に、WWE(WWF)を軽くイジってみせ、ジョバー丸出
 しの2人組と少々絡んでいると、やっとこさで“本命ジョバー”(苦笑)の
 マット・バーンズが姿を見せ、ロバーツ相手に畏れ多くも戦闘開始や。
 しかしロバーツの衰え加減もたいがいでして、ちょこまかと動くバーン
 ズに合わせて身体の向きを変えるだけでも息切れしそうな感じ...。
 観客からの“DDT”をねだる声をこれ幸いと、バーンズに元祖DDTをブ
 チ込み、今夜のお仕事は完了...。いやいや、まだDDT(ダミアン・デ
 ィナー・タイムの略なんやて)の語源となった大蛇ダミアンを使ったネタ
 がありましたな。で、これでロバーツのギャラっていか程なんやろか?。
 せめて今宵、独りぼっちの安ホテルで寂しくキメる、御法度のクスリを
 購入するくらいの銭はやって欲しいなァ。あ、勿論“現物支給”でもエエ
 からね。宜しく頼んだデ、トーナメントの主催者さんよ。
ABloodstock 2006 Tournament Semifinals #1
 Necro Butcher vs. Mad Man Pondo (w/Woody Numbers)
  ここからの2試合がトーナメントの準決勝戦。まず第1試合はネクロ
 さんとポンドとの激突でして、ここではポンドの持ち込んだ鋏を両者が
 有効に活用し、僅かな時間で両者とも顔面を朱色に染める展開に。
 けど、勝者にはまだ優勝決定戦がある為か、はたまたギャラが予想よ
 りも小額だった為か、手抜きとまではワシも言わんけど、特にポンドな
 どは試合に“巻き”を入れているのがありあり。で、終盤ポンドのセコン
 ドに付いたウッディ・ナンバーズが介入スポットをミスって(←予定通り
 なんて書くのは野暮天でっしゃろ?)しまい、ここを勝機と悟ったネクロ
 さん、予選に引き続いてタイガー・ボムをフィニッシュ・ムーヴにチョイス
 し、ポンドをフォールして勝ち星を手中に。ネクロさん、カナダのデス・
 マッチ史にトーナメント覇者としての名を記さんと、視界良好ってところ
 でしょうかね。
BBloodstock 2006 Tournament Semifinals #2
 Bloody Bill Skullion vs. LuFisto
  予選道中にて、それぞれの理由でワシのハートを鷲掴みにした両人
 が準決勝戦の第2試合にて対戦。ウン、これは注目の一戦やデ!。
 さて試合前、女子選手であるルフィストなどは取るに足らないとでも言
 いたげに、ビルが蛍光灯を自身の額に叩き付けてデモンストレーショ
 ンを敢行。しかしルフィストも、「ワタシを甘く見ないで!」と自らの脳天
 に蛍光灯で一撃を喰らわせてビルをひと睨み。で、いよいよ火蓋となっ
 た試合ですが、少しも臆する事なく蛍光灯攻撃に身を晒すルフィストに
 またしてもビックリ。直後に優勝決定戦を控えて、体力の欠乏を極力
 避ける為にか、僅かな時間で“放火魔”のビルを電気椅子ならぬ火炎
 椅子にドロップ・トゥ・ホールドで叩き込み勝利を得たけど、またまたル
 フィスト株が『道頓堀市場』で値上がりした一戦でしたワ。 
CBloodstock 2006 Tournament Final
 Barbed Wire Ropes & Lighttubes Match :
 Necro Butcher vs. LuFisto
  さてさてこれより執り行いますは、【Stranglehold Wrestling】によるワ
 ン・ナイト・デス・マッチ・トーナメント『Bloodstock 2006』の晴れの優勝
 決定戦や。ここで改めて確認いたしますが、ここまで辿り付いたのは、
 我等が“デス・マッチ・ジーザス”ネクロ・ブッチャーと、女子選手ながら
 現時点でCZW認定のアイアン・マン王座に就き、今宵も予選〜準決
 勝戦と、正に身を削るファイトで男性選手を下し、一歩一歩着実に登り
 つめて来たルフィスト。ま、ここまでのルフィストの快進撃振りを見ると、
 お客達も、本トーナメントをブックした企画者も、ルフィストの本トーナメ
 ント制覇を期待しているやろし、多分当のネクロさんもルフィストも、企
 画者の思い描く“お話のあらすじ”と“お話の結末”だけはキチンと理
 解して優勝決定戦のリングに上がったはず。ただしいくら企画者の意
 向があろうと、いくら事前に対戦者同士が“サカナの会話”をしようと、
 実際にリングの上でブサイクな事をしでかしてしまったのなら、ここま
 でいくら頑張っていようが、お客はいっぺんに掌を返しますワ。しかも
 今回の場合、大きなプレッシャーが掛かるのはネクロさんではなく、ル
 フィストの方。何故って、ただでさえ女性って事で体格・体力面でハン
 ディがある上、予選〜準決勝戦と戦って来たため、多分もう残る体力
 なんてあと僅か。しかもデス・マッチ・トーナメントの優勝決定戦でジャ
 ンルの先駆者であり、アイコンでもあるネクロを、お客にも納得させる
 形でフォールしなくてはならない、なんて命題までが課せられて...
 いや、ホンマにフィジカル面でも、メンタル面でもルフィストの置かれた
 立場ってのは辛いものやったと想像しますな。けど、ルフィストはその
 命題を見事にクリアーいたしましたんや。パイプ椅子を添えたボディ・
 スラムを喰らっても、パイプ椅子の背を使った問答無用の背骨折りを
 喰らっても、ネクロさん十八番のゲンコツを顔面にブチ込まれ、何度も
 失神状態に陥っても、ルフィストは決してフォールを許さず、最後の最
 後にパイプ椅子&蛍光灯による即席トラップへと、ネクロさんを乾坤一
 擲のジャーマン葬!!。いやはやここまでやってくれたなら、誰一人と
 してルフィストのトーナメント制覇にケチなんて付け様がおまへんデ。
 それにしてもルフィストと“目線”を同じにし、ルフィストのトーナメント制
 覇に一点の曇りさえ付けさせぬと、あえて手加減抜きで攻め続けたネ
 クロさんの心意気。その心意気にしっかり応えたルフィスト。ウン、これ
 はホンマにエエ試合を見せて貰ろたワ。
 ありがとうね、ネクロさん。ありがとうね、ルフィスト。
 【追記】
  「この娘になら、ワシを倒してのデス・マッチ・トーナメント制覇って金
 看板を与えてやってもエエな...」。ネクロさん自身、この試合に納得
 が行ったんやろね。なんと珍しく、ネクロさんは自らマイクを要求して、
 ルフィストのトーナメント制覇を讃えるコメントを述べ始めました...。
 で、この場面を見ているワシの脳裏に咄嗟に浮かんだのは、2005年
 12月3日、新興団体のIWA−Deepsouthが初開催したデス・マッチ
 ・トーナメントである『King Of The Death Matches 2005』。あの時も優
 勝決定戦でネクロは中堅のタンク相手に“寝て”やったんやけど、タン
 クが試合中余りにだらしなかったので、試合決着直後のネクロさんの
 落胆しきった表情って言ったらなかったモンな。あ、アカン。どうもタン
 クのボケの事になったら、我を忘れてしまうワ...。


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