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Masters Of Pain
(DVD-R*2)
収録時間
disc-1:約1時間51分
disc-2:約46分 |
本作はDVDではなくって、DVD−R。当HPでは既にお馴染みの米国
独立団体映像通販ショップ『SmartMarkVideo』から2枚組で送料別20ド
ルにて発売されている団体公認の代物ですワ。
さて本DVD−Rの内容ですが、大日本プロレスを中心に米国の活きの
良い若きデス・マッチ・ファイターを多数紹介し、あのビクター・キニョネス
氏亡き後、地道に日本国と米国との窓口役を務めながら(勿論、自身の
ブッキングも忘れんデ!)両国のデス・マッチ・シーンを盛り上げているマ
ッド・マン・ポンドが切り盛りするIWA−Eastcoastが、2006年9月16
日にウェスト・ヴァージニア州はチャールストンのサウス・チャールストン・
コミュニティ・センターにて初開催したデス・マッチ・トーナメント『Masters
Of Pain』の模様を完全収録したもの。毎回毎回、様々に趣向を凝らした
マッチ・メークでワシら米国独立団体系ファンの琴線を刺激してくれるIW
A−Eastcoast(≒マッド・マン・ポンド)による初のトーナメントって事で
それだけでも注目なんやけど、なんと加えて本トーナメントにはポンドの
肝入りか、日本国を代表して葛西“狂猿”純までが名を連ねております
んや。では大日本プロ系のファンの方々も必見のはずの本DVD−R、
早速レビューへと移らせていただきまっせ!。
★★DISC-1★★
○全選手入場〜記念撮影
今回のトーナメントに参戦する事となった全8選手が順にリングへと
上がり、全員揃ったところで、互いの健闘と無事を祈って集合記念撮
影。IWA系のトーナメントではお馴染みのシーンですが、これから死
闘を繰り広げないとアカンはずなのに、どの選手も実に楽しそうな表
情をしておりまして、「この人達ってホンマにデス・マッチが好きなんや
なァ」なんて思わされましたな。
@Masters of Pain : Round 1-#1
No Ropes Barbed Wire Lobster Pit Match :
"Crazy Monkey" Jun Kasai
vs. "Mr. Insanity" Toby Klein
で、いよいよ始まった死のトーナメント。まず予選第1回戦は、いきな
り葛西“狂猿”純とトビー・“狂気人間”・クレインの激突でっせ。試合形
式はFMW式のノー・ロープ有刺鉄線マッチをベースに、小型のビニー
ル・プールに大きなザリガニを4匹放し、これを公認凶器として使用し
ても良いってルール(苦笑)ですワ。さて試合ですが、まァいきなりビニ
ール・プールの中のザリガニが選手に飛び掛って来る事なんてあるは
ずもなく、序盤のレフェリーいじり(クレイン&葛西が共闘)を枕に、比
較的ベーシックな攻防で展開。その後、有刺鉄線での額の切り裂き合
いがあり、クレインのタイツの中に葛西がザリガニをブチ込み、そこに
ロー・ブロー・キックをお見舞いするなんて場面を経て、最後はリング
上で大きな爪を振り上げるザリガニ目掛け、葛西がクレインに切れ味
鋭いジャーマンを一閃。哀れクレイン、ザリガニの死骸の上で3カウン
トを聞く羽目となってしまいました。あ、それでもこのクレインってなか
なか動物愛に満ち満ちた奴。試合の結果など二の次やと、ピクリとも
動かなくなったザリガニにマウス・トゥ・マウスで新鮮な酸素を送り込ん
でやり、加えて蘇生術の心得もあるのか、心臓マッサージまでしてや
って...(苦笑)。けどクレインの懸命の努力もむなしく、ザリガニはあ
の世へと旅立たれた様で、その亡骸を手にしたクレイン、処理に困っ
たのか、客席内に日本人客の『甚平さん』(←この人もアチコチに出向
いておられるねェ)の姿を見つけるなり、死骸の処理を無理やり依頼し
ておりますワ...(苦笑)。
○控え室にて“狂猿”吠える!(勿論日本語で)
「ロブスター、恐るるに足らずだよ。どうって事ねェよ。トビー・クレイン
って奴、あいつ頭、おかしいんじゃねェか。あ、オレッちも、クレイジ・モ
ンキーか。2回戦、誰でもいいよ。ブッ殺してやる!」
AMasters of Pain : Round 1-#2
Fantastic Four Match :
Mad Man Pondo
vs. "The Deranged One" Coke Hane
予選第2回戦は当団体を仕切るマッド・マン・ポンドの登場。見るから
に図体だけでダメダメ野朗っぽいコークを相手に行いますは、前面の
保護カバーを取り外し、鋭い羽根が剥き出し(勿論電源が入っていて、
羽根はブンブンと回ってます)となった大型扇風機が各コーナーに設
置された、史上初(?)の駆動扇風機戦や。さて注目の試合は、序盤
のパンチ合戦を制したポンドが無理やり扇風機にコークの額を近付け
ると、コークも意を決したのか、殆ど自ら率先して(そらそうやろ、相手
に任せるのはやっぱり怖いモン)額をブンブン回る羽根へと...。
当然これでコークの額はザックリと切れて大流血。けどポンドはこんな
ものでは納得いたしまへん。コークを場外に連れ出し、スタンド席の手
摺りを取り外して殴り付け、車椅子に乗る観客を見つけると、観客を車
椅子に乗せたまま、フロアーに伸びるコークの首筋を轢きまくるって御
乱行。その後、息を吹き返したコークと扇風機を使ったスポットを展開
し、最後はパイプ椅子&扇風機の即席トラップへ雪崩式のDDTでコー
クを叩き込みポンドが激勝でっせ。
BMasters of Pain : Round 1-#3
Garden of Eden Match :
Corporal Robinson
vs. "Psycho Shooter" Drake Younger
予選第3回戦に登場したのは好漢コーポ。対戦相手であるドレイク
に鉄拳を見舞い、大型の植木ハサミで額を切り裂き、各コーナーに設
置された大型サボテンや茨の蔦などを背中に突き刺し、携帯式の芝
刈り機(なかなかエンジンが掛からず、ちょっと間延びしてしまったの
が残念)で背中に非情の一撃を加え、十八番の河津落し(on 大型サ
ボテン)でもって、ほぼワン・サイドで試合を制してしまいました。
※携帯式の芝刈り機って言うと、これはワイフ・ビーターの専売特許の
はずなんやけど、コーポはキチンと筋を通したのやろかね。無断借用
であるなら、これからはもゥ“好漢”なんて呼ばへんからね(笑)。
CMasters of Pain : Round 1-#4
Fans Bring The Weapons Match :
J.C. Bailey vs. 2 Tuff Tony
予選第4回戦に登場したのはJC・“シンナー中毒の不良中学生”・
ベイレイ。ベイレイについては、本トーナメントの直前に晴れて初来日
(ポンドのラインで大日本プロに)を果たしており、日本各地で彼の雄
姿を生観戦された方も多数居られるやろね。で、そのベイレイが対戦
するのも、これまた大日本プロの常連外人であるトニー。試合はお客
達が持ち込んだ各種公認凶器(画鋲系や有刺鉄線系が中心)を手当
たり次第に使っての攻防で、結構長時間を費やして一進一退で展開。
途中、ベイレイによる画鋲付きマスコット・バット攻撃によってトニーの
禿頭に多数の画鋲がメリ込む場面や、トニーによって無理やり口の中
に多数の画鋲を放り込まれたベイレイが、そのままトニーによって頬
に鉄拳を喰らうなんてデンジャラスな場面も盛り込み、トニー必殺の2・
タフ・ドライバー(on 有刺鉄線の束)がズバリと決まり、これでベイレイ
が無念の敗退かと思ったらさにあらず。何とベイレイは気力でトニーの
フォールを返し、そのまま雪崩式のスナップ・スープレックスにてトニー
を場外の床へモロに投下。画鋲や有刺鉄線による激痛ならトニーも我
慢しよるやろけど、こんなに無茶な攻撃やとトニーがいかにタフでも立
ち上がる事なんて出来まへん...。それにしても公認凶器ではなく、
ベーシックなスポットの危険度をアップさせるってのは、本トーナメント
には参加していない我等がネクロ・ブッチャーの影響なんやろか?。
DMasters of Pain : Round 2-#1
Electrified Lighttubes Match :
"Crazy Monkey" Jun Kasai
vs. Mad Man Pondo
ここからがトーナメントの準決勝戦。まずは『東方からの客人』である
葛西と、多分葛西を招聘した張本人であろうポンドとの激突でして、ト
ーナメントの行方を大きく左右するって意味でも注目のカード。試合は
葛西の奇襲で幕を開け、そこから点灯した各種蛍光灯トラップに向け、
各自が覚悟の被弾を繰り広げるって内容。また大日本プロのリングで
何度も手合わせしているためか、両者の攻防は非常に滑らかに展開
され、加えてポンドに蛍光灯トラップ(当然点灯状態)を抱かせ、葛西
が2階席手摺りから決死の自殺テーブル葬ダイヴをブチかますにあた
っては、お客達も大熱狂。これで完全に試合の主導権を握った葛西、
最後もリングの上にパイプ椅子と蛍光灯オブジェ(勿論、これも点灯状
態)で組まれた即席のトラップにポンドをスープレックスで叩き込み(こ
れはポンドも意地でフォール拒否)、とどめとばかりに看板技のパール
・ハーバー・スプラシッシュを見舞い、激闘にピリオド。さっさとリングを
降りた葛西とは正反対に、『東方からの客人』相手に『魔法のブック』
で試合を盛り上げてくれたプロデューサーのポンドには、お客達からの
惜しみないIWAチャントも掛かり、血生臭くはあるものの、トーナメント
自体がなかなかエエ雰囲気となって来ました。
○続、控え室にて“狂猿”吠える!(勿論日本語で)
「何とかして勝ったよ、オイ。マッド・マン・ポンドは強敵だからな。た
だな、アイツにはひとつ欠点がある。(自らの頭を指差し)オツムが足
りないんだよ、オツムが。オレッちはこの天才的な頭脳で今日は勝っ
たんだ。次の相手は誰だか分からねェけど、誰であろうとブッ殺してや
る!」。
○マッド・マン・ポンド、敗者の弁(勿論英語で)
「......(前略)、俺はブッカーなんだ。俺はブッカーなんだぞ。よ
し、来年だ......!」。
※まさか葛西、ブック破りなんてしとらんやろね......(苦笑)。
★★DISC-2★★
@Masters of Pain : Round 2-#2
Ghetto Shoes Barefoot Thumbtack Match :
J.C. Bailey vs. Corporal Robinson
続いて準決勝戦の第2回戦は、好漢コーポとJC・“シンナー中毒の
不良中学生”・ベイレイの顔合わせ。こちらも過去に何度も手合わせし
ているはずの両者の対戦であって、正直新鮮味には欠けるんやけど、
それを補うためやろか、裸足での画鋲戦が導入され、しかも頭上には
スニーカーが吊るされており、裸足で画鋲を踏み抜くのが嫌なら、早く
あのスニーカーをゲットしろってルールまでが付加。ここら辺りのある
種バカバカしくもあるルールがプロデューサーであるポンドの『色』であ
り、これを是とするか非とするかでIWA−Eastcoastに対する評価は
大きく違ってくると思いますな(ワシ?、勿論“是”ですワ!)。
試合は狙い澄ました(苦笑)ベイレイの自爆(勿論、画鋲の海へ裸足
で突入)で華々しく始まり、対するコーポもベイレイに負ける物かと苦
痛のスポット(こちらは両足同時に画鋲の海へ)を志願。この後も、ス
ニーカーを履いてしまっては、試合の面白さが激減する事を重々承知
の両者は、様々な形で画鋲の海へ裸足で飛び込み(ベイレイなどは、
雪崩式のフット・スタンプの、文字通りの“自爆”で...)、最後にベイ
レイがコーポの十八番を奪う掟破りの河津落しにてコーポを画鋲の海
へ投げ込んで勝ち星を手中に。
※最近、コーポの姿がミスター・ポーゴにダブって見えるんやけど、皆
さんはどないでっか?。決して黒シャツにアーミー・パンツって井出達
だけではなく、ワシにはそない感ずるところがあるんですワ...。
AMasters of Pain : Round 3 (Final Match)
Barbed-Wire Cage & Bed of Nails Match :
"Crazy Monkey" Jun Kasai vs. J.C. Bailey
さてさてやっと優勝決定戦まで辿り着きましたな。プロデューサーの
ポンドがしたためた『魔法のブック』により、第1回『Masters Of Pain』
の栄えある覇者の座は、葛西“狂猿”純とJC・“シンナー中毒の不良
中学生”・ベイレイによって争われる事となりました。尚、米国の団体
が主催するトーナメントに初参加となった葛西は勿論、過去複数の団
体のトーナメントに何度も参加し、その度に何時もいいところまで勝ち
進むものの、まだただの一度もトーナメントを制した事がないベイレイ
にとっても、目の前にブラ下がったトーナメントの覇者の称号は喉から
手が出るほどに欲しいはず。で、その運命の一戦に導入されたのは、
有刺鉄線が巻き付けられた木製の檻と、五寸釘(もしくは四寸釘?)
がビッチリと打ち込まれた死のボードって地獄の舞台って寸法や。
あ、ネイル・ボードって言うと、やはりW★ING時代の松永vs.レザー・
フェイスが即座に思い浮かびますが、ネイル・ボードに落ちた瞬間試
合が決していた当時を知るワシとしては、モニター画面の中でガンガ
ンとネイル・ボード上でバンプを取る葛西とベイレイの姿に、まさに隔
世の思い。特にネイル・ボードの上にうつ伏せに寝かされた葛西が、
そのままの状態でベイレイによるコーナーからの非情のフット・スタン
プを浴びたにも係わらず、立ち上がって試合を続行したのには絶句。
ま、よくよく考えてみれば、これまでネイル・ボードが持っていた神秘
性の行方は?、そもそもこれってデス・マッチの進化(深化)なのか、
それとも後退なのか、なんて一文にもならぬ雑念(?)も頭をもたげて
は来るんやけどね。尚、試合は葛西による「ダイナマイト・キッド!」と
シャウトしてのスナップ・スープレックス〜ダイヴィング・ヘッドを経て、
最後はパイプ椅子&ネイル・ボードで組まれたトラップにベイレイを横
たえ、葛西がコーナーよりパール・ハーバー・スプラッシュをお見舞い。
激闘にピリオドを打つと共に、葛西が初参加にして米国独立団体主
催のデス・マッチ・トーナメントを見事に制覇した瞬間ですワ。
○会場片隅にて覇者の“狂猿”吠える!(勿論日本語で)
「見ての通りだ、しっかり優勝してやったぞ。これで日本のトップ・デ
ス・マッチ・ファイターが、世界のトップ・デス・マッチ・ファイターだと証
明出来たぞ。(取り囲むお客達を指差し)オレッちもクレイジーだけど、
こいつらもクレイジーだよ。ワン・モア、チャールストン。カム・バック」。
お客達に“クレイジ・モンキー”チャントを仕掛ける。
【最後に...】
あくまでデス・マッチを戦いだと位置付ける極右(最近は随分と軟弱
化しとるけどね)のCZW、選手間に遺恨などの過剰な装飾品は一切
絡ませず、デス・マッチもひとつの表現方法(=芸)だとする中道のIW
A−Midsouth。これらに対し、ポンド自身の持つキャラもあるんやけ
ど、興行の随所にアメ・コミ風の一種バカバカしい面白味を感じさせた
今回のIWA−Eastcoastのデス・マッチ・トーナメント。ま、これでもっ
てEastcoastを左派とするのは早計やろけど、同じデス・マッチって切
り口で切っても、これだけ多彩な団体が時に協力し合い、時にシノギ
を削り合うなら、まだまだこのジャンルも尻すぼみにはならんやろ。
また葛西の優勝決定後のコメントにもある様に、これが契機となって、
今後米国と日本国の間で更に建設的なキャッチ・ボールが行える事も
あるはず。IWA−Eastcoastの周辺からは暫く目が離せないってとこ
ろやね。期待してまっせ、名プロデューサーのポンドさん。 |
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