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The Return of Raven
Queens, NY - Elk's Lodge 1999-8-26
(DVD-R*2)
収録時間
disc-1:約1時間47分
disc-2:約1時間14分 |
ECW存命時に地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
【Extreme Fan Cam Series】と称して怒涛のリリース・ラッシュでワシらE
CWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2006年6月期に発売された5タイトルの内
の1タイトル。ニュー・ヨーク州はクィーンズのエルクス・ロッジ(ここがま
たエエ感じの小屋なんや)にて、1999年8月26日に開催された定期
興行の模様を収録したものですワ。
★★DISC-1★★
○開演に先立って...
ポール・Eがリングに登場。マイクを握って何やらがなり立てておりま
すワ。どうやら『お題』はTNN局(現スパイクTV)の様ですが、悲しい
かなワシには殆ど聞き取る事が出来まへん。ここらを理解すると、この
DVD−Rも100万倍楽しくなるんやけどねェ...。
【追記】実はこの定期興行の翌日である99年8月27日に、TNN局が
ECWの定期放送番組『ECW WRESTLING TNN』を全国放送し始める
んです。多分、ポール・Eはその事をPRしていたんやと思いますワ。
@ECW World Heavyweight Title Match :
Taz vs. Yoshihiro Tajiri (w/Steve Corino & Jack Victory)
車椅子に乗ったヴィクトリーには日の丸のハチマキを巻かせ、太刀
持ちのコリーノには日の丸(←あぁ、美しい)を掲げさせ、堂々日本男
子タジリがリング・イン。今夜はタズの保持する世界王座への挑戦で
すワ。さてさて、99年8月末のタズって言うと、そろそろWWF(当時)
への移籍話で身辺が騒がしくなって来た頃かと思いますが、それでも
コーナーで例によって腕組みして仁王立ちする姿からは、移籍に関し
て苦悩している様な様子は感じさせまへん。あ、肝心の試合なんです
が、こちらも例によってタズのキツい攻撃のオン・パレード。ただしその
タズに秒殺されるどころか、死んだ振りをしてタズの気勢を削ぎ、そこ
からいきなり日本製丸ノコ蹴りの連発に持ち込んだタジリもさすが。
タズ・ミッションでタジリが最後は沈んだけど、タジリ・ファンならこの映
像は必見かもね。あ、試合後のタズですが、ゴールドバーグやオース
チンらに宣戦布告をブチかましておりました。
ADanny Doring (w/Roadkill & Miss Congeniality)
vs. C.W. Anderson
現WWEのリタ(当時はミス・コンジェニアリティの源氏名)、今夜はド
ーイングとお揃いのショッキング・ピンク&イエローのコスチュームでの
登場で、これがまた目に痛い痛い(←色々な意味で、ね)。試合は割
れんばかりの“つまらんのゥ”チャントの中、ミス・コンジェニアリティの
セコな介入によってドーイングが勝利を収めておりますワ。
BSuper Crazy vs. Rhino
この一騎討ち、他で組まれていた様な記憶がないな。って事で、ワ
シには非常に新鮮な顔合わせで、しかもお客の全面的な支援を得た
クレイジーが、そのバック・アップに応えんと客席へ向けての月面水爆
などを披露しながらライノを追い込み、なんと最後もライノの“獣人”パ
ワーを上手く逆手に取って、クレイジーがライノから電光石火の3カウ
ントをゲット!。勿論クレイジーは、こんな敗戦は絶対に認められぬと
逆上したライノの餌食となってしまうのやけど、ECWの公式記録(←
あるのかそんなもの?)には、クレイジーがライノを下す、としっかりと
書き込まれてしまったはずで...。
CECW World Tag Team Title Match :
The Dudleys(Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
(w/Sign Guy Dudley)
vs. Spike Dudley & Balls Mahoney
さてさて、今夜の『主役』であるダッドリーズの出番。WWEが編集し
たECWのヒストリーものDVD『The Rise + Fall of ECW』によると、W
WF(当時)から声が掛かっていたダッドリーズは、それでも引き止め
てれるならと、ポール・Eにたった1ドルの昇給を願い出たそう。しかし
ポール・Eは、「金で勝負する気はない。残りたい奴は残れ!」と言い
放ったんやて(ホンマかいな)。で、正式にECWからの離脱が決定し
たダッドリーズの、ECWでの最後の試合がこれですワ。冒頭、離脱の
事実を嗅ぎ付けたファンに向けババ・レイが惜別の挨拶を行い、タッグ
王座に就いているマホーニー&スパイクが登場。「ニュー・ヨーク式の
喧嘩マッチでやろか!」ってマホーニーの粋な一言で、試合の火蓋は
切って落とされます。ま、今夜をもって離脱するダッドリーズの腰にベ
ルトが移動するなんてのは『業界の常識外』の話でして、ワシも『業界
の不文律』に沿ってマホーニー&スパイクに負けはするものの、ECW
マットの功労者であるダッドリーズに、どんな形で『功労賞』を渡すのか
について注視していたら、なんとなんとダッドリーズはマホーニーを画
鋲テーブルに沈め、スパイクにダッドリー・デス・ドロップを見舞って、見
事に3カウントを強奪。メジャー団体への移籍を控えた最終戦で、ダッ
ドリーズが通算8回目のECWタッグ王座へと就いてしまいました!。
【追記】上記したダッドリーズの1ドル昇給についてですが、これって
ECWでの現状のサラリーに1ドルの追加だったのか、はたまたWW
F(当時)が提示したのであろう莫大なサラリーに、更に1ドルの追加
であったのか。前者なら浪花節っぽいけど、ダッドリーズには申し訳
ないものの、どうもワシには後者の様に思えてならんワ。ま、もっとも
両団体を天秤に掛け、少しでもサラリーを増やしたい、との考えを何
処の誰も非難なんて出来ないんやけどね。
DNova vs. Little Guido (w/Big Sal E. Grizziano)
この試合、元々はノヴァと『純血イタリア人軍』のグイドーによる一騎
討ちやったのですが、試合開始早々“何時も問題を抱える男”サイモ
ン・ダイアモンドが難癖を付けて3WAYへと変貌し、そこにチェッティ
が現れてノヴァと組み、デヴィトが現れてサイモンと組み、ならばとサ
ルもグイドーの援護に回り、最終的に3WAYのダッグ戦へと行き着き
ましたんや(苦笑)。で、『純血イタリア人軍』による珠玉の同士討ちス
ポットを経て、最後はノヴァ&チェッティが勝ったと思ったら、ドーイング
&ロードキル&ミス・コンジェニアリティの武力介入が起こり、ここにジ
ャズ姉さんが怒りの出陣(勿論、返り討ち)。さぁ、ここまでリング上が
混沌となってしまえば、もう暴力統治出来るのは“あのお方”だけや。
そう、『ナチュラル・ボーン・キラーズ』をガンガン鳴らし、ニュー・ジャッ
ク親分がお出ましですワ!!。
★★DISC-2★★
○TNN Opening
ECWの定期放送番組『ECW WRESTLING TNN』のネタ収録のため、
ジョーイ・スタイルスとジョエル・ガートナーが丁々発止のやりとりを。
で、ここにジェリー・リンやRVDもウダウダと絡み、ポール・Eの裁定で
両者の一騎討ちが急遽(苦笑)決定した模様です。
@Uganda vs. Vito Lograsso
どうやらこのウガンダって、ボツワナ・ビーストを名乗ったり、はたま
たジャイアント・キマラ(2号?)を名乗ったりしている、“アイツ”みたい
ですな。試合はウガンダの巨体圧殺により、ヴィトー(こいつもそれな
りに巨漢で、直後に“暴走禿頭軍”に参加)があっさりと昇天して幕と
なっております。
○場面は変わって...
2階席上段に居たオネェちゃん、回りの男性客に囃し立てられてオ
ッパイをポロリとご開帳。まァ、銭も貰わんとよくやりよるね(苦笑)。
AECW World Television Title Match :
Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Jerry Lynn
99年年頭から熱い試合を提供し続けてきた両者。前述した様にポ
ール・Eの裁定によって、急遽RVDの保持するTV王座を巡ってのタイ
トル戦となったのやけど、さっきのオッパイをポロリとご開帳してくれた
オネェちゃんをしつこく周囲が囃し立てるものやから、なかなか試合開
始となってくれまへん。ホンマ、囃し立てる方も囃し立てる方なら、ポロ
リとやる方もやる方。折角のタイトル戦やのに、試合前の緊張感が完
全に削がれてしまいましたな。ま、それでもリング・ベルとなると、さす
がは手の合う両者。2手先、3手先の読み合いは見応え充分やし、こ
れは2人の抗争史の集大成と位置付けてもエエ内容やないかな。
あ、かつてのマレンコ対ゲレロを彷彿とさせる名勝負は、ジャスティン
・クレディブル(w/ジェイソン)とランス・ストーム(w/ダーン・マリー)の
無法介入により無効試合となっております。
○場面は変わって...
8回目のタッグ王座君臨となったダッドリーズが客席に姿を現し、そ
のままリング上を占拠。WWF(当時)への移籍を語り、トミー・ドリーマ
ーを直々に呼び出しや!。ダッドリーズ、憎々しげにドリーマーを挑発
しまくって、「なんやったらこのタッグのベルトを、ビンスへの手土産とし
よか?」なんて感じの、『業界の不文律』さえ根本から無視した非情の
発言も。最初はポール・Eらの懸命の説得に我慢を重ねていたドリー
マーやったけど、“噂の恋人”ビューラまでネタにされて...。
BECW World Tag Team Title Match :
The Dudleys(Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley)
(w/Sign Guy Dudley)
vs. Tommy Dreamer (w/Francine)
遂に男一匹ドリーマーのド根性に火が点き、ドリーマーはダッドリー
ズの占拠するリングへと一直線。同時にレフェリーもリングに上がり、
リング・ベルまでが鳴って、ここにまたまた当初予定になかった(苦笑)
タッグ王座戦が始まりました。ただしパートナーの居ないドリーマーで
はダッドリーズの敵やおまへん。最初こそチーズ削り器を使ってダッド
リーズを攻め込んだドリーマーでしたが、やはり試合のペースは徐々
にダッドリーズ側へと傾き始め、勇気ある若手達も何人か加勢に回る
ものの、ドリーマーはダッドリーズに好き放題に蹂躙されたまま。これ
ではタッグのベルトどころか、ドリーマーの“生首”さえビンスの手土産
となってしまうのでは、と会場内に悲鳴が響いた(大袈裟やな、ワシ)
途端、ダッドリーズの背後に忍び寄る黒い影ひとつ。なんとこれ、短か
ったメジャー団体WCWでの生活を終え(ま、正直使えんので首になっ
たんやろね)、古巣ECWへと舞い戻ったレイヴェンその人。得意の(っ
て言うか、これしかないんやけど)DDTをババ・レイに見舞い、アッと言
う間にダッドリーズの腰からタッグのベルトを引っ剥がしてみせました。
○ダッドリーズの送別会...
通算8度目のタッグ王座就任なんて粋なはからいを演出し、加えて
ダッドリーズ転出って事実を、レイヴェンの電撃復帰で吹っ飛ばしてみ
せたポール・Eの手腕。『業界の不文律』に沿って最後はキチンとベル
トを後続ランナーへバトン・タッチしたダッドリーズ。戦い終わればノー・
サイドって事で、ここからはメジャー団体WWFへのダッドリーズのジャ
ンプ・アップを祝っての送別会。まずは若手や中堅がリング内に勢揃
いし、“在校生代表”としてニュー・ジャック親分が送辞を粛々と...。
あれあれもうこの時点でババ・レイもD−ボンも目が真っ赤。いや、そ
れどころか、あのニュー・ジャック親分さえもが涙腺を緩めとるデ!。
この後、レスラー仲間や関係者との熱い抱擁があって、客席でババ・
レイの親父さん(勿論幻の“Big Duddy Dudly”ではなく、本物の親父さ
ん)や妹(姉?)、D−ボンの弟(兄?)や妹(姉?)らが見守る中、ポ
ール・Eが最後にマイクを握って...。
(ポール・E)お前達に言っておきたい二言がある!
(観客)Suck It !!
以上、大団円で幕となったダッドリーズの送別会の様子でした。
※尚、この送別会に姿を見せなかったのは、タズとレイヴェン。タズの
場合は、自身もWWFへのジャンプ・アップが噂されている微妙な時期
であったって理由が考えられるし、レイヴェンの場合は自身がWCW
から解雇された直後の、これまた微妙な時期。両者の目には、レスラ
ー仲間や関係者、そしてなによりも口々に「ありがとう!」、「行かんと
いてくれ!」と叫び続ける熱狂的ファンに見送られるダッドリーズの姿
がどう映っていたのやろか。
追記:どうやらTV王者のRVDもアルフォンソを代役に立て、送別会を
欠席したみたい。ま、この人も気位の高い、ある意味気難しい感じの
人やし、仕方がないかなァ...。
【DVD−Rを観賞し終えて】
この夜のダッドリーズ関連の映像は、現在絶賛廃盤中の輸入DVD
『The Best of The Dudley Boyz (Uncensored)』にも収録済。ただし
あちらはTNN局撮影の安定した映像で、ジョーイ・スタイルスの実況も
付いているものの、収録映像の長さでならこちらのDVD−Rバージョ
ンが数段上。加えてECWマニアの『RF-VIDEO』が使い勝手の良いハ
ンディ・カメラを回すんやから、ニュー・ジャック親分の涙腺が緩んだ瞬
間なんてのもバッチリと押さえられていて...。ウン、これぞオフィシャ
ルものにはない、マニア向けブートものの醍醐味や!!。
あ、ベタ褒めした本DVD−Rなんやけど、致命的な難点が一つ。
なんと編集時にしくじったのか、ダッドリーズの送別会がDISC−1の
BとCの間に収録されており、送別会を終えて控え室に戻るダッドリ
ーズの姿が、DISC−2の@の前に収録されとるんや。ま、ブートもの
に過剰なクオリティ・コントロールを求めても仕方ないし、ちょっと手間
を掛ければ我が家のDVDレコーダーで正しく編集し直す事も可能。
よって今回は、『RF-VIDEO』のチョンボも糾弾せず、といたしますワ。 |
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