Clash of the Extreme Icons
 Plymouth, MI - Compuware Sports Arena
 1999-9-24
 (DVD-R) 
 収録時間:約2時間14分
 ECW存命時に地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
【Extreme Fan Cam Series】と称して怒涛のリリース・ラッシュでワシらE
CWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2006年4月期に発売された5タイトルの内
の1タイトル。ミシガン州はプライマウスのコンプウェア・スポーツ・アリー
ナにて1999年9月24日に開催された定期興行の模様を収録したもの
ですワ。

@Danny Doring (w/Miss Congeniality) & Roadkill
 vs. Nova & Jazz
  今夜、オープニング・マッチを任されたのはドーイング&ロードキル。
 対戦相手であるノヴァがたった一人で現われたのを見て、チームを代
 表しドーイングが「一人でタッグ戦は出来んデ、誰か連れて来いや!」
 と嫌味たっぷりのマイク・アピールを開始。で、小馬鹿にされたノヴァ、
 ならばと花道を取って返し控え室より引き連れて来たのは、全身から
 男気が溢れるジャズ姉さん...(苦笑)。こうして今夜も定番マッチ(ド
 タバタ劇?)の幕が開き、ドーイングとお揃いのショッキング・ピンク&
 ショッキング・イエローのコスチュームを身にまといマネージャー役を勤
 めていたミス・コンジェニアリティ(現WWEのリタ)のセコ過ぎる介入を
 キッカケに、最後はジャズ姉さんがロードキルに圧殺され敗退ですワ。
ASpike Dudley vs. Sal Graziano
  『純血イタリア人軍』の用心棒格である巨漢グラジアーノに勇敢に挑
 むのは『巨漢殺しのスペシャリスト』スパイク・ダッドリー。例によって例
 のごとく、アシッド・ドロップ一発でグラジアーノを撃退したものの、ここ
 に現れたのが『純血イタリア人軍』の主宰者リトル・グイドー。
 Uインターにも来日経験のある隠れた実力者のグイドー、フジワラ式ア
 ーム・バーなどでスパイクを右へ左へと翻弄した後、グラジアーノとの
 同士討ちを披露して見事に敗退。いやはやグッド・ジョヴでしたな。
○TNN Opening
  ジョーイ・スタイルスとジョエル・ガートナーの名(迷?)コンビがリング
 に上がり、TNN局による定期放送番組『ECW WRESTLING TNN』のネ
 タ収録が始まりました。今夜の掴みはシングル戦で激突する予定のク
 リス・キャンディードとランス・ストームの小競り合い。ともにタミー嬢(元
 サニー)、マリー嬢を従えての御出馬で、勿論女子マネ同士も大いにト
 ラブッてみせて、シングル戦に向けての期待を煽りまくってまっせ。
BECW World Heavyweight Championship :
 Mike Awesome (w/Judge Jeff Jones)
 vs. Rhino (w/Steve Corino)
  この夜から遡ること僅か5日。1999年9月19日に開催されたPPV
 『Anarchy Rulz 1999』では、WWF(当時)へのジャンプ・アップを目前
 にしたタズが、ECWでの『残務整理』として腰に巻いていたECW認
 定の世界王座のベルトを、後任のマイク・オーサムにバトン・タッチする
 って出来事(詳しくはレビューをご覧下さい。これ、ECWって団体の名
 場面の一つでっせ)がありました。で、タズからベルトって名の『聖火』
 を引き継いだオーサムが、今夜はライノの挑戦を受けるって展開です。
 試合はオーサムがガタイの大きいライノを、アッサム・ボムによってリ
 ング内から場外のテーブルへと投げ捨て(Holy Shit!)、十八番の圧殺
 プレスによって一方的に切り捨てての完勝や。しかしFMW〜ECWと、
 オーサムの絡む試合では定番スポットである場外テーブルへ向けて
 のアッム・ボムですが、受けたライノの図体がなまじデカかっただけに
 実に迫力のある場面が現出されとりましたデ。 
CJerry Lynn vs. Super Crazy
  一見すると地味な印象のグラウンドでの攻防。それとは対極にある
 派手な飛び技の競演。腕達者な両者により展開されたのは、これらが
 調和を持って高い次元で融合されたグッド・マッチや。リンが脇腹を負
 傷し本調子ではなかったみたいやけど、それでこの内容とは恐れ入る
 な。最後はリンによる変形墓石式パイルによりクレイジーが敗退となっ
 たけど、この試合は結果ではなく、経過に注目でっせ。
DLance Storm (w/Dawn Marie)
 vs. Chris Candido (w/Tammy Lynn Sytch)
 Special Guest Referee : Axl Rotten
  TNN局による定期放送番組『ECW WRESTLING TNN』のネタ収録の
 ための試合で、特別レフェリーとして反ジャスティン一派(ストームもこ
 こに所属)と目されるアクセル・ロットンが配役されているのがミソ。試
 合は今夜の興行の冒頭で憎しみ合って掴み合った両者にしては、い
 やに手の合うスポットが流れる様に披露(←ここを突き破らないと超一
 流芸人とはなれんデ)され、アクセルの確信的なスロー・カウントに怒っ
 たジャスティ&ジェイソンの介入⇒タミー嬢対マリー嬢のキャット・ファイ
 ト⇒アクセルの盟友ボールズ・マホーニーの援護射撃⇒ジャスティン一
 派に草鞋を脱ぐジョニー・スミス(!)の介入と、全く飽きさせぬ展開に。
 これ、確か最後はストームが勝ったけど、Cとは別の意味で、結果で
 はなく、経過に注目するべき試合や(我ながら嫌味な書き方やなァ)。
EYoshihiro Tajiri (w/Steve Corino & Jack Victory)
 vs. Tommy Dreamer (w/Francine)
  TNN局による定期放送番組『ECW WRESTLING TNN』のネタ収録の
 ための試合。ストーリー上ではレイヴェン(1度はWCWへ転職したも
 のの、解雇通告を受けて古巣ECWへと帰郷)と共にタッグ王座に就
 くドリーマーが、昨夜のミシガン州グランド・ラピッズ大会にて良からぬ
 事をしでかしたらしいタジリを直々に呼び出し、キツいお灸をすえてい
 ると、タジリを救えとコリーノやビクトリーが乱入。で、ここに現れたの
 がレイヴェン。勿論レイヴェン、ドリーマーを援護するものと思いきや、
 いきなりレイヴェンはドリーマーにDDTを放ち、無言で控え室へ...。
 そう、この試合で必要とされたのは、レイヴェンがパートナーであるは
 ずのドリーマーにDDTを放つ、ってシーンの撮影だけや。けど、ワシを
 とことん感心させたのが、そんな『ネタ収録』の場でもキチンと自己演
 出をしていたタジリの意識の高さ。バッド・コンディションのドリーマー
 に負担を出来るだけ掛けぬためか場外戦では流血ジョヴも志願。十
 八番のタランチュラをドリーマーによって逆に決められるなんて屈辱も
 進んで受け入れ、その上で常にTNN局が回しているカメラに自身が
 どう撮影されているのかを第三者(お茶の間)の目線で見とるんです。
 ワシの筆力がないから、こう書くとなにやらタジリは常に『カメラ目線』
 で仕事をする嫌な奴って受け取られるかも知れないですが、決してそ
 んなつもりではなく、こうして『ネタ収録』の場での噛ませ犬役でも、冷
 静に自己を見つめ演出する努力と向上心と術を持っていたからこそ、
 タジリはこの直後に大きく開花するんやな、って思った次第。尚、本試
 合の終盤戦ではTバックを剥き出しにしたフランシーン嬢(この人もホ
 ンマにプロフェッショナルや)とコリーノによる力の入った絡みもありまし
 たデ。殆ど生尻状態のフランシーン嬢がコリーノに放ったDDT、絶品の
 一言ですワ。美味しかったです、ごちそうさまでした。
FBill Wiles & C.W. Anderson
 vs. Vito Lograsso & Spanish Angel
  この直後に『ニュー・デンジャランス・アライアンス』へ発展するビルと
 CW。同じく『暴走禿頭軍』を組織するヴィトーとエンジェル。ただし今夜
 の時点ではまだ両チームともキャラが固まっておらず、正直埋め草の
 マッチ・メイクかと思ったら、試合の序盤、突如会場に鳴り響いたのは
 『ナチュラル・ボーン・キラーズ』。そう、ニュー・ジャック親分の登場や。
 親分、ビルとCWとエンジェルを一撃で片付け、恐れ多くも逆襲を試み
 た命知らずのヴィトーに対し、場外戦でシバき回し、リング上に引き上
 げて額へ工業用大型ホチキス攻撃を2発をブチ込み、最後はパイプ椅
 子爆撃でヴィトーを完全に抹殺。ウン、スカッとするな親分の試合は。
GECW World Television Championship :
 Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Rod Price
  ロッド・プライスを相手に、RVDがTV王座の防衛戦を行うって図式の
 試合でして、ヴァン・ダミネーターから5★スプラッシュでRVDがプライ
 スを振り切りタイトル防衛に成功しとります。それにしてもロッド・プライ
 スって地力はありそうなやけど、どうにも地味な印象ですな。ワシ、NO
 Wが94年4月16日に大阪府立体育館第2競技場において催した故
 直井敏光選手追悼チャリティー興行でロッド・プライスは観ておるので
 すが、今や全く記憶から飛んでしもてるからなァ。
HSabu (w/Bill Alfonso) vs. Taz
  客席からの遠慮の欠片さえない『お前なんか叩き売りじゃ!』チャン
 トを全身に浴びつつも、腕組みをして全く微動だにしないタズ。コスチ
 ュームの背に縫い込んだ『FTW:ファック・ザ・ワールド(この世は全て
 糞ッタレ!)』の3文字が泣けますな。で、場内が一瞬暗転したかと思
 ったら、次の瞬間煌々と照らされるリングでタズと対峙していたのは、
 タズの宿命のライバルであるサブゥ。リング・アナに対し、「俺がECW
 認定の世界王者であった事をキチンと伝えろ!」とタズは注文を付け、
 サブゥとの一騎討ちが始まりました...。
  Bの試合でも触れましたが、この夜から遡ること僅か5日。1999年
 9月19日のPPV『Anarchy Rulz 1999』では、WWF(当時)へのジャ
 ンプ・アップを目前にしたタズが、ECWでの『残務整理』として腰に巻
 いていたECW認定の世界王座のベルトを、後任のマイク・オーサムに
 バトン・タッチするって出来事(詳しくはレビューをご覧下さい。これ、E
 CWって団体の名場面の一つでっせ)がありましたんや。で、これにて
 お役御免となったはずのタズですが、まだ契約が残っていたのか、は
 たまた転出前にどうしてもサブゥとの試合を再度やっておきたかったの
 か(青臭いと言われたらそれまでやけど、後者であって欲しいワ)、今
 夜こうしてタズとサブゥのシングル・マッチがブックされたって次第。
 試合はサブゥがロープ・ワークを3度続けてミスる(これまた、青臭いと
 言われたらそれまでやけど、サブゥもナーバスになっていたのかも)な
 ど、過去の両者の一騎討ちと比べると決して褒められた様な内容では
 なく、『業界の不文律』に沿って短時間でタズがサブゥのテーブル葬に
 て沈められたけど、こんな貴重な映像が今になってこうして我が家で
 観賞する事が出来たって事実にただただ感謝。やっぱり『RF-VIDEO』
 はワシのお気に入りの筆頭ショップですワ。
 【追記】『RF-VIDEO』を褒めたけど、出来る事なら試合終了後のタズの
  表情をもっともっと収録していてくれたならなァ。海賊DVD−Rに文
  句を垂れても仕方ないのやけど、ワシが『RF-VIDEO』の編集者なら
  その様に編集するんやけど......。
 【お詫びと訂正】
  ワシ、自信タップリに本試合がタズのECWマットにおける最終試合
 であると書いてしまいましたが、実はこの約1カ月後となる10月22日
 のニュー・ヨーク州はポキプシー大会では再びサブゥと、10月30日の
 オハイオ州はデイトン大会ではマイク・オーサムと、11月7日のニュー
 ・ヨークはバッファローにおけるPPV『November To Remember '99』で
 はRVDと、各々タズは一騎討ちをやっているんですワ。
 詳細は追ってご報告いたしますが、とりあえずワシの勘違いについて
 急いで訂正させていただきました。
 ※H18年6月10日(土)道頓堀次郎


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