TWA : Winter Challenge U
 (DVD-R*2)
 収録時間
 disc-1:約1時間40分 
 disc-2:約1時間17分
 本作はDVDではなくって、DVD−R。当HPでは既にお馴染みの米国
海賊プロレス映像通販ショップ『RF-VIDEO』から2枚組で送料別15ドル
(ワシは恒例の週末セール時にオーダーしたので、2割引の12ドルでし
た)にて発売されているちょっと(いや、非常に)怪しげな代物です。
で、今回ご紹介するのは、TWA【Tri-State Wrestling Alliance】なる団
体が1991年3月2日、ペンシルベニア州はフィラデルフィアのペン・ホ
ールに1,800人の観衆を動員して開催した定期興行『Winter Challen
ge II』の模様を収めたものなんや。さて、このTWAって団体なんやけど、
ジョエル・グッドハート(後にECWマットに参戦するイレズミ男のジョエル
・ハートグッドとは何か縁でもあるのやろか?)なる人物がプロモートを
行い、1990年1月27日に旗揚げ(多分)、1992年1月にクローズと、
実質2年間しか活動期間のなかったローカル団体。そやけどネット上の
情報などを見ると、ビッグ・ネーム達の招聘の陰で、初代ECWオーナー
となるタッド・ゴードンがスタッフに加わっていたり、それこそECWマット
で大きく開花する複数の『後のスーパー・スター』達が参戦していたりと、
ちょっとマニア心をくすぐる団体でもあるんですワ。ではでは、このプレ・
ECWと評しても間違いではないであろうTWAの定期興行『Winter Cha
llenge II』、早速レビューしてみます。

【注意】
  DISC-2の@の試合の後に、“本テープはここまで。続きは第2巻の
 テープで”、と但し書きが入るし、実況はないものの、このDVD−Rの
 元ネタとなったのは、どうやら米国で正式に発売されていた2本組の
 VHSテープみたい。ただ興行が行われた会場は全体的に薄暗かっ
 た事もあって(TVマッチではないので、この程度がまァ平均なんでしょ
 うが)、仕事が雑な『RF-VIDEO』にしては珍しく丁寧にDVD−R化をし
 てはいるものの、画質は最近のDVDに慣れた方々には少々苦しいレ
 ベルかも知れまへんな。ま、今となってはオリジナルのVHSテープは
 入手困難やろから、安価でお手軽にそこそこの画質で観賞出来たの
 で、ワシ自身は文句なんておまへんけど。

★★DISC-1★★
○開演に先立って...
  ターザン後藤のような、はたまたヒロ斉藤のような、とにかくちょっと
 レイ・バン風サングラスが似合うリング・アナに紹介されてリング上に
 出てきたのは、軍服に身を包んだ女の子(やけに大人びた顔をしとる
 けど、もしやミゼットさん?)。マイクを握って“ゴッド・ブレス・アメリカ”
 を熱唱しとります。そうか、当時は湾岸紛争でキナ臭かったんやね。
 あ、続いてリング・アナがリング下の本部席(只のテーブルやけど)に
 陣取るTWA首脳陣を紹介するんやけど、後に初代ECWオーナーと
 なるタッド・ゴードンの顔もありましたデ。
@Special Attraction :
 Battle Of The Sea Good 
 Al Perez vs. "Sweet"Stan Lane (w/Jim Cornette)
  お馴染みの凶器、テニス・ラケットをブンブンと振り回すジム・コルネ
 ットさんを狂言回し役に配した、スタン・レインとアル・ペレスの一騎討
 ちで今夜の興行は火蓋を切って落としました。試合はコルネットさん
 が1人でボケて、1人で突っ込んでの大活躍。最後は相手側の卑怯
 なやり口(笑)に防戦一方であったペレスがレインを丸め込んで勝利。
 フィニッシュ・シーンが少々段取り悪かったけど、そこそこ楽しめたワ。
ARingmaster Rumble Match :
 JT Smith, Don E. Allen, Bulldog Brower Jr, Michael Bruno,
 Cry Baby Waldo, Ghetto Blaster, Hoss, Jimmy Jannetty,
 Johnny O, Glenn Osbourne, Rick Perez, CN Redd, Rockin' Rebel,
 John Rock, Sabu, Mr,Sandman, Wild Child, Larry Winters
  18人参加(ワシが数えたら、19人居たような?)のランブル戦。オ
 ーバー・ザ・トップ・ロープ・ルールで、1分間隔で新手が入場するって
 WWEでもお馴染みの形式や。で、ここに参加するのは有象無象の
 選手達なんやけど、それでも良く見ていると、若き日のロッキン・レベ
 ル軍曹、“ミスター”・サンドマン、裸足で現れるサブゥ、JTスミスなど、
 これから長きに渡ってフィラデルフィア周辺を、いや北米大陸を、いや
 いや世界中を股にかけてワシらプロレス・ファンを熱狂させてくれる選
 手達もちらほら。サブゥが早い時間帯に戦線から脱落したのは残念
 やったけど、ドン・E・アレン、ロッキン・レベル、サンドマン、JTスミス
 の4人残りからアレン、レベルと脱落し、最後はサンドマン対JTの直
 接対決となって、JT渾身のラリアットでサンドマンが脱落するところま
 で、実に興味深く観戦出来ましたワ。尚、このランブル戦を制したJT
 には、セミでTWAヘビー級のタイトルを保持するDCドレイクへの挑
 戦権も与えられたみたいでっせ。
BRussian Chain Match :
 "The Russian Beaf"Ivan Koloff (w/Nikita Koloff)
 vs. "The Raging Bull"Manny Fernandez
  互いの手首を紐で繋ぎ、相手をKOして、4つのコーナー・ポストにタ
 ッチすると勝利。これってテキサス式のブル・ロープ戦が代表格の試
 合形式で、狼酋長のワフーが大得意としたインディアン・ストラップ戦
 なんかがこの亜流。で、ルールはこれらと全く一緒なんやけど、ロシア
 出身がギミックのイアン・コロフがやると、ロシアン・チェーン戦と呼称。
 ホンマ、プロレス界って適当やね(苦笑)。イアン、レフリーの失神スポ
 ット中に相方のニキタを介入させ、マニー・フェルナンデス(懐かしい)
 を一蹴しとります。尚、資料によるとイアン&ニキタは第44、46代の
 NWAタッグ王者。また第50代タッグ王者であったフェルナンデスは、
 相方リック・ルードのWWF(当時)転出でパートナーを失い、いきなり
 イアンをパートナーとして指名し、第51代タッグ王者を名乗ったそう。
 今回あちこち調べて(間違ってたらゴメンね)、勉強になりましたワ。
CFalls Count Anywhere Match :
 Cactus Jack vs. "Hot Stuff"Eddie Gilbert
  ステッペン・ウルフの「ワイルドで行こう」で入場のカクタス、ドナ・サ
 マーの「ホット・スタッフ」で入場の故エディ・ギルバート。おぉ、この両
 者がエニイ・ウェア戦で激突するんやからこれは注目、と思わず身を
 乗り出したワシですが、少々期待外れの結果に...。
 そう、組み合った途端、場外へと戦場は移り(前述した様に薄暗い会
 場やし、ハンディ・カメラも両者を全く追い切れていない)、延々場外戦
 が続いた末にやっとリングに両者が戻ったと思ったら、カクタスのラリ
 アット一発でエディが轟沈ではねェ。ま、会場で生で観戦していたのな
 ら、これとは全く正反対の感想を抱いたんやろけど......。
DGoodhart Derivers :
 The Original Sheik vs. Abdullah The Butcher
  今夜の興行、中締めとなったのは故シーク爺と御大ブッチャーとの
 一騎討ち。試合はシークの凶器によるメッタ突きで幕が上がり、序盤
 はセコンドの積極介入もあってシークのペース。で、中盤ブッチャーも
 何処からか(苦笑)取り出した五寸釘を手にし、シークに対し倍返しの
 猛攻を開始や。ただし頭に血の昇った(いや、努めて冷静であった?)
 ブッチャーは勢い余ってレフリーにまで手を出し、これで無念(苦笑)の
 反則負け...。けど今夜はこれではお開きとはなりまへん。下った裁
 定などそっちのけで両者は乱闘を続け、これでは収拾がつかないと
 けに入った若手達にも次々と魔手が...。尚、サブゥがシークのセコ
 ンドに飛び掛った様に見えたシーンもあったのですが、この当時のサ
 ブゥって、公式にシークの甥であると発表されていたんやろか。
 サブゥの日本デビューは1991年11月20日、大阪府立体育館にて
 開幕となったFMWによる『世界最強総合格闘技タッグリーグ』であっ
 たはず(当然ワシは現地に行ってたデ)。少なくともそれ以前に、シー
 クにはサブゥって名の甥が居るなんて報道は日本国内ではなかった
 様に記憶するんやけど...。どちら様か、1991年初頭のサブゥの事
 について詳しい方は居られますやろか?。

★★DISC-2★★
@Barbed Wire Match :
 Tony"Hitman"Stetson vs. Johnny Hotbody
  リングからロープは撤去せず、そこに申し訳程度有刺鉄線を巻き付
 けて死闘(?)の舞台は整いました。申し訳程度に巻き付けられた有
 刺鉄線同様、申し訳程度のブレード・ジョヴがあって、確かステトソン
 が逆さ押さえ込みで勝ったはずです。あ、FMWやW★INGなどの興
 行でセミ前に行われた外人選手同士の有刺鉄線マッチがこんなどん
 よりとした曇り空みたいな感じだった様に記憶しております。
ATWA Heavyweight Championship :
 JT Smith vs. "Mad Dog"D.C.Drake (w/Woman & Donn E..Allen)
  DISC-1のAでタイトル挑戦権を勝ち得たJT、DCドレイクの保持す
 るTWAヘビー級のベルトに勇躍チャレンジや。しかし後にECWのマ
 ットでは『ヘタレのJTスミス』で名を馳せるJTがタイトル戦をやってい
 たとは、これはホンマに驚きでした。また王座に就くドレイクは、ウー
 マン女史に鎖で繋がれての入場で、所謂『怪奇派』に属しとるみたい。
 ドレイク、JTとの試合では間が持たないと判断したか、お客さんと口
 汚く罵り合う事に終始(あの“麦わら氏”も居たように見えました)し、
 試合はダラダラと15分以上が経過...。ここでJTが意を決したか、
 へっぴり腰から繰り出す花道へ向けてのダイヴ⇒リングに戻ってドレ
 イクにチョーク、と一気に攻勢に出ます。けど不幸な(苦笑)レフリーの
 失神があり、サブ・レフリーとしてリングに現れたのはドレイクらと徒党
 を組んでいるラリー・ウインターズ(DISC-1のAに出場)。こうなっては
 JTに勝ち目なんてこれっぽっちもなく......。
BUSWA Unified Champship Audience Lumberjack Match :
 Jerry"The King"Lawler vs. Terry Funk
  セミ前、セミと少々低調な試合が続いた今夜の定期興行ですが、メ
 インはなかなか豪華。緑色のマントと緑色のコスチュームでバッチリ決
 めた“南部の帝王”キングさんと、ヒール・バージョンで御出馬のテリー
 御大のランバー・ジャック戦での一騎討ちですんや。しかもこの試合、
 只のランバー・ジャック戦ではなく、客席から募った(?)と思われるち
 ょっと体格の良い素人さん達がランバー・ジャッカー。各エプロン下に
 4名程度、合計15〜16人がスタンバイして試合は開始されました。
 ま、試合と言ってもキングさんが十八番のパンチ攻撃をガンガン繰り
 出し、テリー御大がそれを真正面から受けつつ持ちネタを四方八方に
 振りまくって黄金パターン。またランバー・ジャッカーとのやりとりにつ
 いても、相手が素人さん(ホンマやろか?)なのでちょっとした絡みに
 もヘンな緊張感が漂いなかなかグッド。最後はキングさんのフィニッシ
 ュ・ムーヴであるフィスト・ドロップをしのいだテリー御大が突然(苦笑)
 レフリーに暴行を加え、キングさんの首をベルトで締め上げる大暴走。
 しかもまだまだやり足りないと思ったか、テリー御大は素人さん(くど
 いけど、ホンマやろか?)のランバー・ジャッカーにまで襲い掛かり、
 名誉の反則負けを選択や。ウーン、御大らしい、なかなか立派な散り
 際やんか(笑)。

 追記:ヒール・バージョンのテリー御大なので当然と言われればそれ
 までなんやけど、この試合でテリー御大に付いていたセコンドって、D
 ISC-1のDでシーク爺に付いていた奴でもあるんや。これ、ちょっと面
 白いでしょ。

 追記−A:あ、この試合にはテリー御大の保持するUSWA【United S
 tates Wrestling Association】認定のベルトが懸かっておりましたんや。
 尚、このベルトなんですが、キングさんの私物と言っても過言ではな
 い代物で、89年末の制定(勿論初代王者はキングさん)から97年夏
 までの期間に、なんとキングさんは27回も王座に就いております。
 ま、キングさんにより制定⇒A選手へ流出⇒キングさん奪回⇒B選手
 へ流出⇒キングさん奪回⇒C選手へ流出ってのが延々続いていたん
 やね。これまたなかなか興味深い事実でしたワ。
 蛇足ですがネットで調べたところによるとUSWAのプロモーターは88
 年の旗揚げより96年12月までがジェリー・ジャレット(JJの親父さん)
 で、そこから97年11月の団体の店じまいまでがキングさんであった
 そうです。


トップへ
戻る